月曜朝の名物となりつつある、テレビ朝日系「モーニングショー」における、タレントの石原良純氏と同局コメンテーターの玉川徹氏のバトル。月曜レギュラーの石原氏が出演した5日も両者による一触即発のバトルが繰り広げられ、ネット上でも大きな話題となった。
玉川氏「日経新聞に蓄電技術が載っている」
今回、両者が激論を繰り広げたのは、再生可能エネルギー。パキスタンでの洪水やヨーロッパ、中国での干ばつの原因を温暖化による異常気象だとして、玉川氏は電力を再生可能エネルギーで賄うことを主張。これに石原氏は「再生可能エネルギーで日本のエネルギーを賄えるわけがない」と反論。石原氏の反論に対して玉川氏は「原発のことを言いたいんだろうが、自然エネルギーは問題ない」と再反論すると、「自然エネルギーは頼りにならない」と石原氏は反発した。
さらに、石原氏は「蓄電技術がなければ再生可能エネルギーの有効利用はムリ」と、蓄電技術がなければ再生可能エネルギーだけでは、この冬の電力需給のひっ迫を乗り切れない」と主張した。これに対して玉川氏は「日経新聞を読めば、いろんな蓄電技術は載っている!」などと反論していた。
玉川氏がよりどころにした日本経済新聞では、確かにさまざまな蓄電技術が紹介されている。しかし、1日の「電力需要はピークの1割減、発電能力は増加 なぜ逼迫?」という記事では、蓄電池について「蓄電池があれば昼間の太陽光で発電した電気をためておけるが、現状ではコストが高く、普及が進まない」と、その課題を指摘していた。日経新聞を愛読しているとみられる玉川氏だが、この記事は目に留まらなかったようだ。
蓄電池が普及しない理由は価格
なぜ、蓄電池の普及が進まないのか。日経新聞が指摘するように第一の理由は、コストの高さだ。電力会社の送電網とつなぐことができるタイプの場合、家庭用で1台百万円から数百万円かかる。産業用となると、規模によっては数千万円かかってしまうものもある。
コストが高いために蓄電池の普及が進まないことは、政府も認識しており、昨年1月に公表された経済産業省資源エネルギー庁の「定置用蓄電システムの普及拡大に関する取組」では、家庭用蓄電池の価格を7万円/kWh以下まで下げる目標を掲げている。しかし、現状は約20~23万円/kWhで、政府目標との乖離は大きい。容量が4kWhほどの小さな蓄電池でも、工事費込みで90万円から100万円ほどするが、これをポンと買える人は多くない。
蓄電池が十分普及しているならともかく、現状では蓄電池は普及していない。そうした現実にある今、「蓄電技術がなければ再生可能エネルギーの有効利用はムリ」という石原氏の発言の方に分があるように思える。
そもそも、石原氏が心配していたのは、この冬の電力需給のひっ迫だ。玉川氏は、この冬までの数か月間で蓄電池がこの価格のまま、急速に普及すると考えているのだろうか。ネットでも、「どうみても石原氏が正論」「良純氏は真っ当」「良純が正しい」といった意見が多くを占めていた。