14日の東京株式市場で日経平均が反落し、下げ幅が一時、前日比800円を超えた。8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る上昇率となったことを受け、景気減速への警戒感が高まり、アメリカ株式市場が急落。この流れを受けて、日経平均も幅広い銘柄で売り注文が優勢となり、一時、節目と言われる2万8000円を割り込んだ。
全面安の中でも旅行関連株は堅調
前場の日経平均は、業種を問わずほとんどの銘柄の株価が下落する全面安だったが、例外もあった。たとえば旅行業。海外旅行の総合代理店「旅工房」の株価は一時、前日比+7.56%だった。訪日観光客向けのパッケージツアーを手掛ける「ハナツアージャパン」は前日比+6.50%。世界中の旅行ツアーを予約できるサービスを提供する「ベルトラ」は前日比+5.73%。旅行大手の「HIS」も一時、前日比+5.70%だった。
また、国内旅行関連の銘柄もこの全面安の局面で堅調だった。国内旅行を中心とした格安ツアーを手掛ける「オープンドア」は、前日比+4.74%。航空券からホテル、レンタカーの予約までをワンストップで提供する「アドベンチャー」は一時、前日比+1.82%だった。ワシントンホテル、ホテル椿山荘東京など、日本全国でホテル・レストランを展開する「藤田観光」が前日比+0.78%。
旅行関連株は前日も値上がりする銘柄が続出していたが、ツイッターではこの局面での旅行関連株の強さに驚いていた投資家も少なくなかった。
旅行株 強い!インバウンド景気が来るね
旅行株は今日も全市場値上がり率上位50を独占だぁぁぁぁぁ
旅行会社強すぎ
日経平均下がってても旅行関係株はいい具合に上がってる
国内旅行やインバウンド需要への期待
旅行関連株の堅調の理由は、国内旅行とインバウンド需要への期待だろう。
政府は12日、「Go Toトラベル」に代わる全国旅行支援を早ければ月内に開始する方向で最終調整に入った。共同通信によると、9月下旬の3連休から年末までを対象期間とする案が浮上しているという。
インバウンド需要の期待も高まっている。政府は、今月7日から入国者数の1日の上限を2万人から5万人に緩和しているが、来月にも上限を撤廃する方向で検討しているという。合わせて、現在、ツアーに限定している外国人旅行者について、個人での旅行を解禁することや訪日ビザの免除も検討している。
こうしたことから、投資家の間で国内旅行やインバウンド需要への期待が高まり、旅行関連株に買い注文が集まった。個人投資家向け情報サイト「株探」では、「インバウンド」「円安メリット」「旅行」といったキーワードがトレンドの上位に並んだ。中には、「旅行関連株から全て撤収。次は、旅行関連設備投資株を買い集めます」という猛者もいた。