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新型スズキS-CROSSはミニ カントリーマンに勝てるのか?街中を軽やかに、あるいは悪路や平地を安全に – スズキS-CROSSとミニ カントリーマンは、他のSUVよりも多くのことをこなすことができるといえよう。

この2台は似ているようで、違う。「ミニ カントリーマン」と「スズキS-CROSS」は、全長4.3mの小型SUVクラスである。このサイズのリーグでは当たり前のように全輪駆動は別料金だ。

でも、似ているのはそこまでである。「カントリーマン」は、ユニオンジャックのテールライト、トリムストリップ、ブラックのアクセントを随所に配し、英国の雰囲気を漂わせている、もう一台の「S-CROSS」はSX4という名称は正式に廃止し、大きく変貌をとげた。

ルックスの違い:S-CROSSがショーエフェクトを使わないのに対し、Miniはあらゆる種類の装飾で自分を飾っている。

ミニはより多くの虚栄心を満たす

インテリアでは、「S-CROSS」は、9インチのタッチスクリーンを大きくして大幅に解像度を高めた新しいインフォテイメントシステムを投入した。センターコンソールのかなり高い位置にシステムが設置されているので、邪魔になることもなく、かなりスムーズに操作することができるが、音声操作は完ぺきではない。それ以外のコントローラー類と見やすい計器類は扱いやすいが、多くの安っぽいディテール(例えば、自動機能付きの運転席窓のみ、床のフェルト、多くの硬質プラスチックなど)は、いまいちである。これは、36,000ユーロ(500万円弱)という試乗車の価格を正当化するものとは到底思えないものといえよう。

シックなワークプレイス: ミニのすべてが上質に感じられる。操作性が少し遊びすぎなところがある。

カントリーマンはインテリアの質感が高い

印象やインフォテインメントはミニの方がずっと上だ。すべてがリッチであるが、やや遊び心がありすぎるくらいである。中央の丸い計器は、照明の色が常に変化するディスコボールモードになっており、これが非常に気になってしまう。ナビゲーションシステムのコントローラーは、左に回さないと下にスクロールできないのが不便である。その一方で、音声コントロールは完璧に機能した。また、ミニはその名前とは異なり、スペースが広い。前席は十分な広さがあり、後席はスズキよりも頭や足のスペースが少なくなっている。また、ラゲッジスペースも450リットル対430リットル、背もたれを倒した状態で1390リットル対1230リットルと、「カントリーマン」がリードしている。テストした「コンフォート+(Comfort+)」トリムでは、「S-CROSS」はパノラマルーフを標準装備しており、多くの光を提供する後部座席の乗員が窮屈になってしまうことも事実だ。

S-CROSSでは、1.4リッターのガソリンエンジンとオートマチックがうまく調和している。さらに、スズキはミニよりも経済的で、スプリントも速い。

S-CROSSに搭載されたドライブデュオは説得力がある

新型1.4リッターターボと6速コンバーターのコンビはなかなか良いコンビネーションをみせるし、129馬力のエンジンは活気にあふれ、マイルドハイブリッドによるアシストは常に顕著な盛り上がりを見せる。ギアボックスの動きは穏やかで、「S-CROSS」の柔らかさとよくにあっている。また、リッターあたり15.8kmという適度な消費量は、エコタイヤが寄与しているが、制動距離が約39メートルと長すぎることも一因だ。

カントリーマンはやや燃費は劣る

136馬力と220ニュートンメートルのミニの3気筒エンジンも、特に部分負荷領域ではかなり強力だ。神経質な8速オートマチックは、通常、早めにシフトアップする。1.6トンのミニは、「S-CROSS」より300kg近くも重いのだから当然である。

ミニのシャーシはしっかりしている

ミニのサスペンションはタイトだが、カーブを曲がるのが楽しい。

スポーティで硬めのサスペンションによって、ワインディングロードでは、英国車はほとんど傾くことなく、楽しく運転することができる。ダイレクトなステアリングは好感が持てるが、普段使いではもう少し緩急をつけた方が良い。どちらも全輪駆動で、もちろん駆動配分などは自動で作動する。スズキのパワー配分がノブで操作できる(50:50のロックモードもある)のに対し、ミニは一般的な走行モードしかない。ドライコンディションでは、どちらもトラクションの問題は感じられなかった。

電子デバイスによるアシスタントの面では、どちらもまだまだである。スズキでは、車線逸脱警報システムが厄介で、ドライバーがとっくに車線に戻っているのにまだ鳴っていることがある。ミニのアダプティブクルーズコントロールは、レーダー式ではなくカメラ式で、140km/hで停止する。テストの詳細は、画像ギャラリーでご覧いただこう。

ミニ カントリーマン対スズキS-CROSS

街中をシックに走るのも、悪路や平地を安全に走るのも、全輪駆動のおかげで「ミニ カントリーマン」と「スズキS-CROSS」は、他の多くのSUVよりも多くのことができるのだ。その2台に我々の比較テストに参加してもらった。
「カントリーマン」は、ユニオンジャックのテールランプ、トリムストリップ、ブラックのアクセントを随所に配し、英国車らしい華やかさを演出している。
スズキはそれほど贅沢ではない「S-CROSS」を、全く新しい世代と言えるほど大々的にリノベーションした。「SX4」という名称は正式に廃止されたが、フェイスリフトととらえることもできる。
インテリアでは、「S-CROSS」の大きな革新は基本的に1つ。9インチのタッチスクリーンを大きくして大幅に解像度を高めた新しいインフォテイメントシステムだ。音声コントローラーを使っても操作することができる。はっきりと読み取れる計器類が気に入っている。
印象やインフォテインメントはミニの方がずっと上だ。すべてがリッチに見え、価値を感じることができる。操作性はオリジナルで、時には少し遊び心がありすぎるくらいだ。音声コントロールは模範的な動作で、最初の試行で興味のある場所を認識することもできた。
そして、その名前に似つかわしくないほど、ミニは空間が広い。フロントは広々としているし、リアはスズキよりも頭や足が入るスペースがあるのだ。
そして、トランクルームの広さに関しても、450リットル~1390リットル対430リットル~1230リットルと、「カントリーマン」は「S-CROSS」に対してリードしている。
「S-CROSS」にはパノラミックルーフが標準装備され、多くの光を取り入れることができるが、後席では1.80m以上の高さの人はルーフにぶつかっては窮屈になる。
スズキにオートマチックがないと?新型1.4リッターターボと6速トルクコンバーターは実にいいコンビだ。129馬力のエンジンは活発な印象で、マイルドハイブリッドによるアシストは常に顕著なブーストを発揮する。
ギアボックスの動きは穏やかで、「S-CROSS」の柔らかく、やや揺れ動くシャーシとよく合っている。
1リットルあたり15.8kmという適度な消費量はエコタイヤが寄与しているが、制動距離が約39メートルと長すぎる。
136馬力、220Nmと、ミニの3気筒エンジンもかなりパワフルで、特に走りは実力派だ。神経質な8速オートマチックは、通常、早めにシフトアップする。
1.6トンもあるミニは、スズキより300kgキロも重い。
0から100km/hに到達するまでに11秒もかかり、1リットルあたり13.5kmという燃費も、重量増を反映している。
スポーティで硬めのサスペンションは、のんびりした性格の人にはちょっと物足りないかもしれないが、この英国車はワインディングロードでもほとんど傾くことなく、楽しく走れる。ダイレクトなステアリングは好感が持てるが、普段使いではもう少し緩急をつけた方が良い。両モデルとも全輪駆動を搭載しており、駆動配分などは自動で作動する。
ドライバーアシストの面では、どちらももう最新ではない。スズキでは、車線逸脱警報システムが厄介で、車線に戻ってからずいぶん経つのにまだ鳴き続けることがある。
ミニのアダプティブクルーズコントロールはレーダー式ではなく、カメラ式で、140km/hで解除される。
試乗車の価格は41,500ユーロ(約580万円)。しかし、充実したプレミアムパッケージが搭載されているため、この価格自体はまだ許容範囲内であろう。
スズキは36,040ユーロ(約504万円)で、テスト車には必要な装備がすべて含まれていた。また、税金、保険、燃料費もそれほどかからないし、装備もほとんど不満はない。総合的に見て、明らかにコスト面で勝っている。

第2位 800点満点中501点: スズキS-CROSS 1.4ブースタージェット ハイブリッド オールグリップ
生き生きとした走りを実現する全輪駆動車の確立。ブレーキや内装の素材がチープで良くないのが残念だ。

第1位 800点満点中536点: ミニ カントリーマン クーパーALL4 AT
礼儀正しく、行動的な才能を持つ立派な英国車。重量が重いため、必要以上に喉が渇く(燃費が悪い)のがマイナス点。

結論:
「S-CROSS」は、マイルドハイブリッドガソリンエンジンを搭載し、完全な最新型となった。しかし、全体的に見ると、「カントリーマン」を追い越すにはスペースと敏捷性に欠ける。「カントリーマン」はより高価だが、よりモダンで高品質に見える。そしてどちらもそれなりに本格的なSUVであるとは言える。

【ABJのコメント】
「カントリーマン」に限らず、ミニというのは言ってみれば他にライバルはない、というようなセグメントの自動車なのではないだろうか。ミニが欲しい人はとにかくミニ。ミニが欲しくない人の場合はミニというチョイスは眼中になく、ミニ以外を購入する、と。そういう車がミニなのでないか? であるからして、本来比較テストなどして優越をつけたとしても、絶対数値やドライなハードウエアの出来不出来で勝ち負けなど決まることなどおそらくないだろう。

しかし今回のレポートはそういうソフトな部分や雰囲気とか演出部分での勝ち負けで評価されていないということを感じた。つまりそれほどまでに今やミニの偏差値は高く、コスメティックスの部分を除いても完成は高く、走行性能は高い、そういうことなのだろう。そしてもう一つ気がついたことは「スズキS-CROSS」の価格の高さである。300万円程度だろうか、と思って調べてみたところ、今回の一台は500万円を超えている・・・。かつての「エスクード」など、一連のスズキSUVを知っている身としては、500万円のスズキというのはちょっとビックリだ。通貨の問題や所得の問題などもあるにせよ、500万円を超えるというプライスを見るとなんとも複雑な気持ちになってしまうのは私だけではないはずだ。(KO)

Text: Berend Sanders and Jonas Uhlig
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de