ほとんどのSA/PAに設置されているモノといえば、お茶や水がタダで飲めるアレ。ホットも選べるなど、タダにしては十分すぎるサービスだが、一体これはいつから提供がスタートしているのか。そして年間にどれくらいの茶葉を使用するのか? 素朴な疑問をプロにぶつけてみた!
文/鈴木ケンイチ、写真/HONDA、SUZUKI、TOYOTA、AdobeStock(トップ画像=健太 上田@AdobeStock)
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■開通当初パーキングはトイレすらなし!! 休憩するだけの場だった
高速道路のSA/PAには、どこも建屋があって、その中に売店やレストラン。もしくはフードコートがあり、テーブルとイス、そしてインフォメーションが揃っているのが、今では常識です。そして、テーブル席と椅子のある一角には、なぜだか無料のお茶が用意されています。
でも、最初に高速道路ができたときには、こうしたサービスは、まだ用意されていませんでした。それどころか、もちろんお茶の無料サービスなんてものはありません。
日本で初めての高速道路が開通したのは1963年(昭和38年)7月16日の名神高速道路・栗東~尼崎間です。そして、最初のSAである大津SAができたのは、2か月も後の9月16日。しかも、できたのは給油所だけ。そして翌10月1日にようやくレストランがオープンし、10月9日に修理所ができました。
高速道路ができたばかりなので、利用者も勝手がわからず、逆走による事故やオーバーヒート、燃料切れ、オイルや水切れなどの故障車が続発したそうです。そのため、高速道路のSAには、クルマの修理所が必須だったのです。
また、高速道路の開通直後のころは、トイレがあるのはSAだけ。PAにはトイレがありませんでした。これは当時、PAには売店を設置する計画がないため、管理人なしの無人での運用だったからです。
ところが、実際に高速道路が開通してみれば、やっぱりトイレは絶対に必要となり、あわてて追加されることになったとか。ただし、管理人不在のためトイレの扉や鍵などの破損が多発して、それはそれは苦労したそうです。
■53年前にお茶サービス開始!! 無料休憩所と同時にサービススタート
日本で初めての高速道路が開通し、その2~3か月遅れになりましたがSAやPAも開設されました。しかし、PAにはレストランどころか売店もトイレもなし。SAにあるのは、給油所とレストラン、そして修理所だけ。ちょっと休憩しようというときに過ごせるスペースはありませんでした。
そこで生まれたのが「無料休憩施設」。レストランや売店などを使わない人も休めるスペースです。第一号となったのは、東名高速道路の浜名湖SAで、オープンは1969年(昭和44年)7月。なんと、高速道路のオープンから6年後!
ここで、ようやく今と同じように、インフォメーション(道路案内)が作られ、お茶の無料サービスがスタートしたのです。当時の高速道路の管理は日本道路公団という特殊法人、いってしまえばお役所がやっていました。
また、SA/PAの運営は傘下の道路施設協会が担当していました。民営化した現在と違って、高速道路のサービスは、公共事業だったのです。ですから、“要望があれば応える”というスタイルで、無料休憩施設が作られ、そして無料のお茶の提供が用意されたというわけです。
■年間128トンの茶葉使用という衝撃! そもそもなんでタダ!?
現在の数字は見つけることはできませんでしたが、27年前の1995年(平成7年)に発行された「道路施設協会30年のあゆみ」(財団法人道路施設協会発行)によると、1年間に全国のティーサービスコーナーで使用された紙コップの数は8257万個。年間で消費するお茶の葉は、なんと64トンにもなるとか。
1995年当時の全国の高速道路の通行台数は1日あたり約378万台でした。2022年(令和4年)3月の統計では1日あたり約771万台。つまり、27年前より、現在の交通量は約2倍。無料で提供されるお茶も2倍近くになっていることが予想できます。つまり、年間で1億6514万個のカップで、128トンの茶葉となります。
今となっては、「なぜ、お茶が無料なのか?」というのが疑問に思えますが、そもそも高速道路のSA/PAは、公共サービスであり、「無料休憩所」という名称でお茶と共にテーブルやイスが用意されていたというわけです。
高速道路を管理する日本道路公団は、民営化されましたが、提供されるサービスは、公共のころのスタイルを残していた。それが、謎の無料のお茶のサービスの理由だったのです。
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投稿 タダで飲める!! パーキングエリアのお茶サービスはいつからあるの!? 年間の消費量もハンパなし は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。