”Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen10は、超軽量で安定したパフォーマンスを発揮”
良い点 | 悪い点 | 評価 |
超軽量で非常に丈夫 | 専用GPUは非搭載 | 9.6/10 |
高性能で長時間バッテリー | スピーカーの低音が弱い | |
フルサイズの豊富なポート | 価格 2269ドル〜 | |
柔軟な構成 |
「Lenovo ThinkPad Carbon X1 Gen 10」は、多くの企業や人々が候補リストに挙げている”エグゼクティブ”なラップトップの1つです。長年そうでしたが、2022年モデルのX1 Carbon Gen 10はその限界を押し上げています。新しいディスプレイオプションと、昨年のモデルよりもコア数が大幅に多いIntel第12世代プロセッサを備えています。それでは見ていきましょう。
構成
今回レビューした機体のスペックは次の通りです。Intel Core i7-1260P、16GB RAM、512GB ストレージ(Samsung MZVL2512HCJQ-00BL7)、解像度 1900×1200で輝度 500ニトのタッチディスプレイ、Windows Hello対応ウェブカメラ、ThinkPad Privacy Guard対応。価格は2269ドルとなっており、その他の詳細についてはLenovoのウェブサイトをご覧下さい。
ThinkPad X1 Carbon Gen 10の構成はオプションが非常に豊富で、様々なバリエーションが用意されています。CPUは、Core i5-1235U(10+8コア)からCore i7-1280P(14+8)まで、9つのIntel第12世代のモバイルプロセッサから選択することが出来ます。とは言え、全てのCPUにはIntel Iris Xeグラフィクスが統合されており、専用GPUのオプションはありません。
主要なプロセッサは、マザーボード一体型の8/16/32GBのLPDDR5-2000 RAMとセットになっています。ほとんどの人には16GBで十分ですが、必要な方は32GBを選択しても良いでしょう。ストレージのオプションは256/512/1024/2048GBで、PCIe 4.0接続となっております(従来機はPCIe 3.0)。
幸いなことに、底面カバーを外すことで簡単にSSDドライブにアクセスすることが出来ますので、ユーザーは容易に交換やアップグレードを行うことが可能となっています。
デザイン
Lenovoは、ThinkPad X1 Carbonの全体的なデザインを、昨年のモデルから継続しています。Gen 9モデルからの変更点はありますが、全体的な雰囲気や筐体は遠くから識別するのが難しいほど似ています。
ThinkPad X1 Carbonが非常に人気がある理由は多くありますが、その内の1つが1.12kgの重量とシステムパフォーマンスの比率です。この非常に軽量な本体は、カーボンファイバーとマグネシウム構造によるものです。
デザイン性は多少損なわれますが、Lenovoは以前よりもはるかに多くのリサイクル素材(プラスチックを含む)を使用しています。パッケージも90%がリサイクルまたは持続可能な素材で作られています。
その耐久性(防滴キーボード、MIL-STD-810H認定)と相まって、他社に負けない地位を確立していますが、それはこの第10世代でも同様です。最後に、ハードウェア/ソフトウェアや物理的なセキュリティ(Kenshingtonナノセキュリティスロットや複数レイヤーのBIOSセキュリティ)によって、法人向けにも良い選択肢になりそうです。
キーボード・トラックパッド
キーボードは、ThinkPadの一般的なレイアウト(左下のFnキーを含め)を備えており、キーの深さはより大きなThinkPadシリーズには劣りますが、一般的な感触は使いやすく快適です。長年にわたって、一貫してキーボードに注力しています。
前述したように、キーボードは防滴仕様で、薄暗い場所でも読みやすいように2段階のバックライトを備えています。このキーボードは「空気の取り入れ口」として利用して、コンピューターを冷却するようにも設計されています。これは素晴らしいアイディアです。
ガラス製トラックパッドは、56x100mmと非常に大きく滑らかでした。表面の一部は3つの物理ボタンで占められており、それだけの価値があると考えています。また、クリックパッドでもあるため、トラックパッドを押して直接マウスを操作することも可能です。
ポート類
ラップトップの本体は十分厚く、必須のフルサイズポートを備えているため、ほとんどの場合にはハブは必要ありません。2つのUSB-A 3.2 Gen1と2つのUSB-C/Thunderbolt 4 (40 Gbit/s、Power Delivery 3.0、および DisplayPort 1.4a) は、外部ディスプレイに接続するための最良の方法です。
フルサイズのHDMI(4K/60)ポートは、ドングルやアダプタを忘れたり紛失したりすることを恐れることなくプロジェクターに接続する必要がある頻繁なプレゼンターにとっては非常に役立ちます。
最近の盗難を考えると、Kensingtonのナノセキュリティスロットは、一部の都市部では必須のようで、泥棒のターゲットから外れるかもしれません。また、昼休みにオフィスに一時的にラップトップを置いたままにする時の安心材料となります。
2x USB-C TB4 (1 USB-PD)
2x USB-A 3.2 Gen1 (左右それぞれ)
1x full HDMI 4K/60Hz
3.5mm (スピーカー+マイク)
Kensington 盗難防止ナノセキュリティロック
nano-SIMトレー (オプション)
オーディオ品質
音質は非常に良いです。クリアな音声で聞こえるので、映画やテレビ番組を楽しく視聴することが出来ますし、ビデオ会議にも最適です。音量は十分ですが、低音がもっと出ればさらに良かったです。ただ、このタイプの超軽量コンピューターには低音域は期待されていないので、文句を言うのは難しいかもしれません。
頻繁に旅行をする人は、ホテルの隣の部屋に響かない状態で空間オーディオを楽しむことが出来るヘッドフォンを使うことになる可能性が高そうです。
ディスプレイ
Lenovoは、画面比率16:10の14インチディスプレイのオプションを最大7つ提案しています。最もスタンダードなWUXGA(1920×1200)解像度で400ニトのものから、最も色精度の優れた4K QWUXGA(3840×2400)タッチスクリーンまで用意されています。
最も注目すべきオプションは、2.8K(2880×1800)解像度の有機ELディスプレイで、HDRに対応し、輝度は500ニトとなっています。最大輝度レベルはHDRコンテンツのみに対応していますが、通常マルチメディアアプリには有機ELが好まれます。プロのクリエイティブな作業では、IPS LCDの方がわずかに正確な色を再現してくれる場合もあります。
レビュー機は、解像度が1920×1200のタッチスクリーンが搭載されており、非常に明るく(500ニト)、色精度も優れています(100% sRGB, 1.3 Delta-E)。写真の編集やWEB開発といった軽めのクリエイティブ作業に最適で、私達が行うような作業にはこれ以上の性能は必要無いと感じました。ただし、Lenovoには4K HDR400等、より優れたオプションが多数あります。
ディスプレイは、180度リクライニング出来るので、テーブルの上に完全にフラットな状態で置くことが出来ます。これは、タッチスクリーンで何か作業をしたり、テーブルの反対側に座っている人にプレゼンテーションを行ったりする場合に便利です。もちろん、指1本で蓋を開けられます。
ThinkPad X1 Carbonは、Thunderbolt(5K/60)とHDMI(4K/60)のおかげで最大4つの独立したディスプレイを処理することが可能です(内蔵ディスプレイ+外部ディスプレイ3台)。
ウェブカメラ
レビュ=機に搭載されているのは、IR(赤外線)と電子プライバシーシャッターを備えたFHD 1080pカメラですが、よりお手頃な720pのオプションも用意されています。
1080pカメラは、ディティールやノイズの観点で、以前のLenovoラップトップに使用されていた720pのウェブカメラよりも著しく優れた性能を発揮します。頻繁にビデオ通話を行う場合は、カメラの仕様は1番良いものを選択することを強くお勧めします。
Lenovoには、コンピューターから離れた場合にラップトップを低電力モードにしてくれるという、カメラのソフトウェア機能もあります。赤外線カメラによって、超強力なパスワードを使うよりも高速で簡単にログインすることが出来ます。
システム性能
Intelの第12世代プロセッサ搭載ということから予想されるように、新しいThinkPad X1 Carbonは、昨年のX1 Carbonと比較して、純粋なCPU性能が非常に上がり、マルチコアパフォーマンス(Geekbench、Cinebench)のスコアが50%近く上昇しています。このCPUは、高クロックというよりは電力効率に最適化された低ワットモデルですが、それでもパフォーマンスの飛躍が見られます。
グラフィックスアプリケーションも正常に動作し、FortniteやDoom Eternal等の人気ゲームは30FPS(中程度の設定)でプレイ可能です。ただし、専用GPUは搭載していないため、それほど過度な期待は出来ません。グラフィック性能の高いものが必要な方のために、Lenovoには他のラップトップも用意されています。
ThinkPad X1 Carbonは、それほど発熱はしません。通常、表面の温度が44℃になると不快に感じ始めますが、このコンピューターに負荷をかけた際、最も高温な場所でも48℃だったので、それほどの熱さではありません。
システムはパフォーマンスを自己調整して、過度に熱が蓄積されるのを防ぎます。ファンの音もうるさくなく、排気システムもしっかりしています。このコンピューターが、オフィス業務や簡単なクリエイティブ作業を静かにこなすために最適化されていることは明らかです。
ネットワークの観点から見ると、今回の新モデルはWiFi-6E(前モデルはWiFi-6)に対応しており、5Gまたは4G接続に対応するオプションもあります。これにより、WiFiスポットを使わずに、常時接続とセキュリティ強化が保証されます。
最後に、SSDの性能は昨年から大幅に改善されており、このカテゴリで最高の数値を示しています。以下のグラフから、各モデルを比較することが出来ます。
バッテリー寿命
57Whのリチウムポリマーバッテリーは昨年から変更されておらず、このカテゴリにとっては十分なバッテリー容量です。予想通り、ThinkPad X1 Carbon Gen 10は優れた耐久性を示しており、11時間以上の動画再生が可能です。ローカルファイルの動画再生時間は、多くの場合、軽めのオフィス業務に使用した際のバッテリー持続時間の目安となります。
ディスプレイ解像度が高くなれば、バッテリーの消耗が早くなる点には注意して下さい。消費電力がさらに少ないUシリーズのプロセッサ(最小構成でCore i5-1235U)を選択することも出来ます。
充電速度は従来と同様に十分な速度(0.76Wh/分)で、変化は見られません。充電器は、引き続きLenovoのコンパクトな65Wモデルとなっています。
まとめ
Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen 10は、超軽量で高性能で、企業向けで最も人気な14インチラップトップの1つであるというのも納得出来ます。最近では、MacBook Proと合わせて従業員に支給している企業も見られます。
基本的なオフィス業務から、簡単なクリエイティブ作業や開発まで、多くのモデルで様々な効率的な構成が用意されています。
Yogaシリーズの製品には、同程度の性能でより低価格なモデルがあると考える消費者もいるかもしれませんが、ThinkPadが享受するセキュリティ、管理、および耐久性は備えていません。値段はそれに見合うものになっているはずです。
このラップトップを購入する理由
パフォーマンスと重量のバランス、セキュリティオプション、そして耐久性によって、ThinkPad X1 Carbonは他の超軽量製品とは一線を画しています。IT部門は、vProのリモート管理とセキュリティ機能を気に入るはずです。ただ、経理部はその値段によって明細を二度見することになるかもしれません。
競合製品
データによると、このラップトップを検討しているユーザーは、以下のコンピューターも検討しているようです。検討度合いが高い順番に、ThinkPad T14、Apple MacBook Pro、Dell XPS 13/13 Plus、ThinkPad P1、Yoga 9iとなっています。私達の意見では、ThinkPad T14は超軽量の競合製品ではありませんが、同等のセキュリティと耐久性を提供します。
XPS 13のディスプレイは13.5インチなので、本体はよりコンパクトになりますが、重量は増えてバッテリーはわずかに小さくなっています。Yoga 9iは消費者向けの強力な製品ですが、セキュリティや耐久性のレベルでは劣っています。
最後に、MacBook Proは素晴らしいコンピューターですが、それはMacかWindowsかというOSの選択によって決まり、ハードウェアは二の次です。Windowsユーザーの場合は、ThinkPad X1 Carbon Gen 10をお勧めします。
この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
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