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純ガソリンエンジン搭載の「ファイナル」フェアレディZ見参!! 自動車評論家3氏は何を想う?

 新年(2022年)1月の「東京オートサロン2022」で日本初公開となった新型日産フェアレディZ。抽選販売となったデビュー記念のプロトスペックは240台の限定台数に対し1万人以上の応募が殺到、その倍率は40倍超!

 一方カタログモデルもエラいことになっていて、納車の目処が立たないという理由から、7月いっぱいで事前予約をいったん打ち切るなど想像を超える反響と人気だ。

 そのフェアレディZは、秋の発売開始を前に7月中旬に日産の陸別テストコースで一部のジャーナリストを対象に試乗会を開催。今回は国沢光宏氏、松田秀士氏、橋本洋平氏の3名に試乗記を依頼。新型Zの魅力はいかほどだろうか?

※本稿は2022年8月のものです
文/国沢光宏、松田秀士、橋本洋平、写真/NISSAN、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年9月10日号

【画像ギャラリー】優雅に、思い通りに、圧倒的に力強く…!!! フェアレディZの美しさをギャラリーでチェック!(22枚)画像ギャラリー


■「徹底的な先代のネガ潰しにより奥行きは別次元のレベルに到達!!」(国沢光宏)

2020年9月にプロトタイプが発表された日産の新型フェアレディZ。限定モデルの応募もすごいことながら、カタログモデルも大人気で事前予約を打ち切った

 新型フェレアディZのハンドルを握った日はあいにくのウェットだった。

 ドライ路面ですら1輪あたり100馬力というタイヤの限界を充分超えるスペックなのに、ウェットとなったら完全なるオーバーパワー!

 スーパーGTと同じくらいの乗り方をしなくちゃならないね、と考えながらスタート!

 広大なスキッドパッドということもあり、全開を試す! するとどうよ! 1速は当然ながら、2速でフルパワーかけてもホイールスピン! ばかりか3速までホイールスピンしやがる!

 ウェット路面とはいえ、3速ギアでブーストかかった瞬間ホイールスピン始まるのって久しぶり。

 最近ハイパワー車と言えば4WDで、400馬力ならウェットでもグイグイ加速。

 だからといってフェアレディZがアカンということでなく、むしろ「今時よくぞこんなクルマを作ったモンだ」と思う。

 さらに素晴らしいことにウェット走行で、滑るがコントロールできる。LSDの効き具合もちょうどいい。効かせすぎたらウェットの直線でどこに行くかわからなくなる。

 クルマの素性だけれど、今までのフェアレディZと奥行きがまったく違う。プラットフォームをキャリーオーバーしたため、先代でわかっているウィークポイントを徹底的に対策したという。

 リアハッチの剛性まで考えたというから細かい。エンジンもターボラグを“ほぼ”感じさせないほど素直。

 私は6MT仕様をオーダーしたが、9速ATの仕上がりもよかった。唯一の「イマイチ」はインテリアの色気。もう少しワクワクさせてくれたら100点でした!

●国沢光宏の採点表
・ハンドリング:9点
・加速性能:9点
・エンジンの気持ちよさ:9点
・シフトフィール(6MT):9点
・シフトフィール(9AT):9点
・乗り心地:9点
・コストパフォーマンス:10点

(TEXT/国沢光宏)

リアコンビランプは2重リングのLEDで、夜間にひと目でZとわかる。そのデザインはZ32をオマージュ

■「加減速によって前後荷重変化を思いどおりにコントロール可能!!」(松田秀士)

アドバンスドドライブアシストディスプレイは、新型Zの自慢の逸品でシーンに応じてデザインが選べる

 もうこのエクステリアデザインね! 昭和29年生まれのボクにとってはたまらんです!

「フェンダーミラーや昭和」のことを歌う、クレイジーケンバンドの曲があるけど、平成を飛び越して昭和のデザインを令和にアレンジしたらこうなるのね、って、スバラシイです! 

 まず注目したのがサスペンションフィールで、硬軟の中間よりは少し硬めだが硬いと感じないのはバンプ側にもリバンプ側にも最低必要量のストロークでスムーズに動くから。

 特にリアのストローク感は絶妙! アクセル、ブレーキ、加減速での前後荷重変化を思いどおりコントロールできる。

 スカイライン400R譲りのV6ターボユニットは、Z用にチューンされて、低中回転域でのピックアップが鋭くトルクフィールがリッチ。

 だからコーナリング中などアクセルコントロールに対して面白いように駆動輪であるリアタイヤのグリップコントロール可能。

 決してスライドさせなくとも機械式LSDをアクセル操作で機能的に右足でコントロール。昭和のZにはなかったなぁ、このハンドリング。

 コーナーを立ち上がって3速全開! ターボパワーでトルクが素早く立ち上がり、エンジンが唸りウェット路面でホイールスピン! この官能的感覚はEVでは無理。

 そのまま7000rpmのトップエンドまで踏み切る。少し籠もったようなウォーンという排気音が最高。これ実はスピーカーからの音。V型ゆえ片バンクずつ触媒が必要で、タービンなどネガティブな音には必須装備。許すよ、作り物のエキゾーストノートでも。このパワーフィールとピックアップだもの。

●松田秀士採点表
・ハンドリング:9点
・加速性能:8.5点
・エンジンの気持ちよさ:10点
・シフトフィール(6MT):7.5点
・シフトフィール(9AT):7.5点
・乗り心地:9.5点
・コストパフォーマンス:9.5点

(TEXT/松田秀士)

■「新型フェアレディZはノーマルで旧型のNISMO以上の性能だ!!」(橋本洋平)

バーガンディはツウ好みのシブさ

 旧型に1500km乗った後に新型に乗ると、直進安定性と乗り心地がかなり改善されていたこと、そして足がしなやかに動き、きちんと路面を捉えたことが衝撃的だった。こりゃ別モノだ。

 プラットフォームは共通ながら、ここまで進化させるとは! ワンダリングは少なく、トラクションもシッカリ。LSDがない標準タイプでもイン側が簡単には空転しない。

 トップグレードのバージョンSTでは機械式LSDのおかげでトラクションはさらに豊かだ。

 路面状況を把握しやすく、おかげで知らないテストコースのワインディングでもぶっ飛ばせる。

 スカイライン400Rと同じエンジンを搭載するために、かなりシャシーをやり直さなければならなかったというが、その甲斐あってこの走りなのだろう。

 19インチの限界域はややピーキーなこと、そして120km/h以上になると重くなりすぎるパワステは気になったが、それ以外はおおむね納得できる仕上がり。ノーマルで旧型ニスモ以上だ。

 VR30DDTTエンジンはリサーキュレーションバルブを新搭載したためか、どの領域もダイレクトに応答。豪快な速さだけじゃなく、音も含めて爽快!

 アクティブサウンドコントロール搭載車は、程よい演出がさらに加わる感覚。9速ATは細かなステップでシフトを繰り返し速度を重ねて行く。たぶんMTよりも速い。

 個人的な話で恐縮だが、実は乗る前にZをカタログ買いしたのだが、その賭けは間違いじゃなかった。あとは無事に来るのか? いつ納車されるのかが気がかりだ。

●橋本洋平の採点表
・ハンドリング:8点
・加速性能:7点
・エンジンの気持ちよさ:9点
・シフトフィール(6MT):7点
・シフトフィール(9AT):9点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:7点

(TEXT/橋本洋平)


●日産 フェアレディZ(バージョンST・6MT)主要諸元
・全長:4380mm
・全幅:1845mm
・全高:1315mm
・ホイールベース:2550mm
・車重:1590kg
・エンジン:3L、V6DOHCツインターボ
・最高出力:405ps/6400rpm
・最大トルク:48.4kgm/1600~5600rpm
・価格:646万2500円

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