“空飛ぶクルマ”と表現される「eVTOL」(電動垂直離着陸機)の開発を続けていたKitty Hawkが、事業を終了することを明らかにした。LinkedInのページには「今後のことはまだ詳細を詰めている段階」と記している。
Kitty Hawkは2010年に設立された航空スタートアップで、小型機に多数のローターを装着したような、電動の垂直離着陸機を開発していた。こうしたeVTOLスタートアップ企業はここ数年の間に世界中で立ち上がり、それぞれが短距離航空輸送の事業化を目指している。
そして同社は2018年、前年に合併したZee AeroのeVTOLプロトタイプを改称した「Cora」と呼ばれる機体を発表し、その開発チームはボーイングとの合弁によるWisk Aeroとして分社化している。ただ、その後もオリジナルの機体である「Flyer」や「Heaviside」といった機体の開発は続けていた。
なぜ今の時期にKitty Hawkが事業を終了するのか不明だが、ラリー・ペイジとともに共同創業者のひとりであるセバスチャン・スラン氏が、Flyerの開発を終了した2020年当時に漏らした「どれほど探しみても、ビジネスとして成立する道を見つけることができなかった」という言葉がすべてを物語っているのかもしれない。
その後2021年の春ごろには、Kitty Hawkの内部でペイジ氏とスラン氏の間に対立の溝が深まっていると報じられ、主要な技術者のデイモン・ヴァンダー・リンド氏が会社を離れたことが明らかになっている。
ただ、それでも今年にはHeavisideの新バージョンとなる「H2」が発表され、そのプラットフォームを利用し小型、軽量、静音を特徴とする商用エアタクシーの開発に着手していると伝えられていた。
ちなみに、Kitty Hawkが事業終了を明らかにしたあと、Wisk Aeroの運営を支援するボーイングは「Kitty Hawkの事業終了の決定はWiskに対するボーイングのコミットメントを変えるものではない」「Wiskの運営に何らかの影響を与えることはないと考える」と述べている。
- Source:TechCrunch
- Source:Engadget