10月1日、大分県日田市のオートポリスで行われたスーパーGT第7戦オートポリスの公式予選。GT300クラスでランキング2位につけているTANAX GAINER GT-Rは、今回GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ参戦のため第1ドライバーの富田竜一郎が欠場している。そんななか、第3ドライバーを務めている塩津佑介が第2ドライバーとして留守を埋めることになったが、公式予選ではいきなりの“大舞台”を任されることになった。
今季3回の表彰台獲得を果たし、ランキング2位につけているTANAX GAINER GT-R。トップのリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rとも僅差で、チャンピオン獲得に向けてこの第7戦オートポリスは重要なラウンドとなるが、大草りきと塩津という若きふたりを引っ張ってきた富田は、今季並行して参戦しているGTワールドチャレンジ・ヨーロッパへの挑戦を完遂するべく、このオートポリスは欠場していた。
2022年がスーパーGTデビューのふたりで挑む重要なラウンドとなったオートポリスだが、今季素晴らしいスピードをみせつける大草がQ1のB組で1分43秒243を記録。いきなりトップタイムをマークし、Q2を担う塩津に繋いだ。初めてのスーパーGTの予選が、いきなりトップタイムで繋がれてのQ2。「もうマジでさすがだなと思いましたね(笑)」と塩津は大草の速さに驚きつつ、当然ながらプレッシャーをかけられながらQ2に臨むことになった。
塩津にとっては、オートポリスでニュータイヤを履くのも公式練習が初めて。Q2までの間に大草のオンボード映像を観ながら、「いろいろなことを教えてくれて、イメージをある程度作ってからアタックにいった」というが、「それ以上に路面のグリップが上がっていて。公式練習から3秒くらいタイムが上がっていて未知の世界でした」と、このところ急激にコンディションが上がる予選Q2に戸惑いながらも、しっかりとアタックをこなし、12番手につけてみせた。
「うしろから来ている車両も分かりましたし、しっかり落ち着いてペースを上げて、クリアな状態でアタックできたと思います。焦りとかはなかったですね」と塩津は初めての予選を振り返った。
「タイムはまだまだでしたが、まずは無事に一日終えられて良かったです。もちろんまだ頑張らないといけないなとも思いましたが、クルマの調子も良いですし、りきにもいろいろなことを教えてもらったので、明日に向けてポジティブです」
まずは無事に予選日を終え、明るい雰囲気の塩津、そして大草だが、「スペインからも“プレッシャー”が来るんです」と冗談めかす。もちろんスペインとは、バルセロナで行われているGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのレースウイークを過ごしている富田のことだ。
ただ、プレッシャーと言っても実は“圧”ではない。富田からの適度な距離感のアドバイスだ。「良い意味で“突き放して”くれている感じがあります。今までは富田さんが敷いてくれたレールの上で走っていた感じがありましたが、今回はそれがなくて、自由にやっていいよ、気負わなくていいよ、と言ってくれています。また『楽しんで』と言ってくれるので、気は楽ですね」と大草。
9月30日の搬入日にも、コースウォークの際に富田は自らの走行直前までスマートフォンでビデオ通話をしながら、アドバイスをふたりに送った。「それを活かせて良かったですし、良い報告ができるようにしたいですね」と塩津は言う。
決勝はTANAX GAINER GT-Rにとっても重要なレース。「もちろんタイトル争いを考えても1点でも多く持ち帰ることができれば、最終戦のもてぎが楽になると思います」と大草は意気込む。ふたりともにオートポリスでの決勝は当然初めてだが、どんなレースをみせ、富田にどんな報告をするのか、楽しみにしたいところだ。