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待った甲斐はある?? 「次世代e-POWER&e-4ORCE」搭載 日産 新型エクストレイルを自動車評論家3名が試す

 2022年7月20日に4代目となる日産の人気ミドルクラスSUV「エクストレイル」が日本デビューを果たした。歴代のテーマであった「タフギア」感はそのままに、4代目からは上質感と高品質を追求。

 1.5LのVC(可変圧縮比)ターボ+e-POWERを搭載。さらに、日産アリアB9に先駆けて、2モーター4WDのe-4ORCEを搭載し、市販化したことも注目ポイントだ。

 そんな新型エクストレイルについて、今回は山本シンヤ氏、橋本洋平氏、片岡英明氏の3名に評価をお願いした。はたしてどんな評価となるのか?

※本稿は2022年8月のものです
文/山本シンヤ、橋本洋平、片岡英明、写真/NISSAN、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年9月10日号

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■「新プラットフォームとe-4ORCEの相乗効果で意のままの走りを実現」(山本シンヤ)

「タフギア」を謳った初代から22年。上質さに磨きがかかった4代目

 北米向けから2年遅れで導入された新型。

「結局、海外優先じゃないか」と思っていたが、遅れた理由は、初導入となるVCターボを組み合わせた「次世代e-POWER+e-4ORCE」を搭載したためだ。

 エクステリアは初代/2代目のボクシーさと3代目のアーバンさを上手なバランスで融合。インテリアは先代よりも乗用車テイストを高めた印象でSUVらしい堅牢さと両立させている。

 乗ったらどうか? 新世代e-POWERは、常用域はほぼEVでエンジンが始動しても存在をほぼ感じず。逆に加速時は大排気量並みのトルクによる力強さを実感。

 e-POWERはエンジンと駆動系に機械的な繋がりはないが、エクストレイルのそれは、まるでそこに繋がりがあると思うくらいリニアで自然なフィーリングだ。

 フットワークも先代から激変。クラストップレベルを感じる。具体的には「SUVらしからぬハンドリング」と「プレミアムセグメントに匹敵する質の高い快適性」を両立。

 このあたりは新プラットフォーム採用による基本素性の高さとe-4ORCEの相乗効果だが、「機械が曲げている」と言う感じはなく、まるで運転が上手くなったかのような意のままの走りを実現。

 先代に対して明確にスポーティな味付けで、快適性は若干コツコツ感はあるものの、全域でアタリの優しい乗り心地だ。

 エクストレイルDNAの「タフギア」に加えて、最新SUVの「上質さ」、日産独自の「先進技術」がバランスよく盛り込まれている。ズバリ、待っていた甲斐がある一台だ。

●山本シンヤ 採点表
・ハンドリング:9点
・加速性能:8点
・4WD性能:9点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:7.5点
・コストパフォーマンス:8.5点

(TEXT/山本シンヤ)

■「静粛性の高い走り味は新鮮。8年の進化が随所にちりばめられている」(橋本洋平)

1.5L、直3のVCターボ+e-POWERを搭載。驚くほどの加速を見せる

 8年ものロングセールスを記録した先代エクストレイルだけに、新型の登場は何から何まで新鮮。

 エンジンはVCターボを発電機とするe-POWER。低負荷走行では高圧縮、低過給で、加速に入れば瞬時に圧縮比を下げてターボにより過給圧をアップ。

 そんな複雑なことをやっているとは微塵も感じさせずに、エンジン回転数はアクセルの入れ方に応じて、じわりとリニアに吹け上がるという制御で心地よい。

 まるで、エンジンが遠くに搭載されているかのように感じる静粛性が得られた。

 シャシーはアウトランダーPHEVと共通で、e-4ORCEもまた三菱のS-AWCと基本的に同じだが、制御は日産独自にアレンジしたというもの。

 どちらかと言えば安定方向に仕立てられたイメージがあるが、少ないハンドルの操舵角でグイグイ曲がっていくところは共通。

 フロントタイヤへの依存度が少なく走れるところは好感触だ。

 18インチタイヤの5人乗りはキビキビとした身のこなしが運転を面白くさせていた。かつてのタフギア感が伝わるのはコレ。

 一方、20インチで7人乗りのオーテックはタイヤ銘柄の違いもあってラグジュアリーな乗り味。アウトランダーと肩を並べたいのであればコッチかもしれない。

 いずれも電動パワステの設定が、セルフアライニングトルクが強めの設定。砂地に入ったとしても即座に直進に戻す目的があったというが、個人的にはそれが若干クセに感じた。

 いずれも従来とは別次元の乗り心地。8年の進化は、誰が乗っても即座に感じられるだろう。

●橋本洋平 採点表
・ハンドリング:8点
・加速性能:7点
・4WD性能:8点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:7点
・コストパフォーマンス:8点

(TEXT/橋本洋平)

■「3気筒とは思えないほど上質なパワーフィール。加速は痛快そのもの」(片岡英明)

質感の高い標準仕様のインテリア。写真のインテリアは、オプション設定のナッパレザー仕様だ

 タフな走りと先進性を売りにした歴代のエクストレイルは世界中でヒットを飛ばしている。その4代目は最新技術をテンコ盛りして登場した。

 心臓は自慢のe-POWERになり、発電用エンジンには可変圧縮比のVCターボと名付けた1.5Lの直列3気筒ターボを採用している。

 モーターも高出力だから1.8tの重量ボディを軽々と加速させ、瞬発力も鋭い。

 アクセルを踏むと瞬時にパワーとトルクが立ち上がり、強いGを背中に感じながら痛快な加速を見せつける。

 応答レスポンスは鋭く、低回転からパワー感が強いのでアクセルを強く踏み込まなくても流れをリードすることが可能だ。アクセルペダルを緩めて回生と減速を行うeペダルも、コントロールしやすくなった。

 プラットフォームは三菱、ルノーとの共同開発。前輪駆動の2WDもあるが、主役はe-4ORCEと名付けた4WDだ。

 シャシーなどの剛性は高く、足もよく動く。

 サスペンションは懐が深く、軽やかなハンドリングを見せつける。高いスタビリティ能力を確保しながら、コーナーでは狙った方向にきれいに向きを変える。

 S字コーナーでもロールの収束は速やかだ。

 アンダーステアを上手に抑え込み、奥の深いコーナーでも上手に狙ったラインに乗せることができるから運転がうまくなったように感じさせる。

 快適性も高い。段差や目地のショックを上手に受け流し、快適な乗り心地だ。

 また、3気筒エンジンとは思えないほど上質なパワーフィールを身につけている。走行中はタイヤの音が気になるほど、キャビンは静かだった。

●片岡英明 採点表
・ハンドリング:8点
・加速性能:9点
・4WD性能:9点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:7点

(TEXT/片岡英明)

●日産エクストレイルG e-4ORCE主要諸元
・全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
・ホイールベース:2705mm
・車重:1880kg
・最低地上高:185mm
・最小回転半径:5.4m
・エンジン:直3DOHC VCターボ、1497cc
・最高出力:144ps/4400-5000rpm
・最大トルク:25.5kgm/2400-4000rpm
・モーター(フロント):204ps/33.7kgm
・モーター(リア):136ps/19.9kgm
・WLTCモード燃費:18.4km/L
・価格:449万9000円

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