イタリアの名門スポーツカーメーカー「マセラティ」の2ドアクーペ「グラントゥーリズモ」がフルモデルチェンジを発表した。
かつて現行型の生産終了を告げる特別仕様車「グラントゥーリズモ ゼダ」のお披露目の際には、次期型はピュアEVにシフトすることが表明されたが、それは選択肢のひとつに過ぎないようだ。アンベールを迎えた新型グラントゥーリズモの最新情報をお届けしよう。
文/大音安弘、写真/マセラティ ジャパン
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■ブランドアイコンの2ドアクーペが第2世代へ
マセラティは2022年10月3日、イタリア・モデナにて、マセラティの2ドアクーペ「グラントゥーリズモ」の新型モデルをお披露目した。
初めにグラントゥーリズモの歴史を少し振り返ろう。初代グラントゥーリズモは、2007年3月のスイス・ジュネーヴモーターショーで発表。2009年には、ソフトトップを持つオープンカー「グランカブリオ」を追加。当初は、4.2LのV8エンジンのみであったが、4.7L化したハイパワーなV8エンジンの搭載する上級グレード「S」やモータースポーツからのフィードバックを得たピュアスポーツ「MCストラダーレ」など、着実な進化を遂げてきた。
2019年11月に、初代モデルの生産終了を告げるワンオフモデル「グラントゥーリズモ ゼダ」の制作を発表。その際、公式発表として後続車がマセラティ初のフルEVとなることが予告され、世界中のファンを驚かせたことは記憶に新しい。
今回のアンベールでは、すべての情報が開示されたわけではないが、基本となるグレード構成とパワーユニットの種類、一部の機能などが明かされている。
■EVに加え、ピュアエンジンモデルも継承
新型グラントゥーリズモは、大きくふたつに分類される。登場が予告された完全電動化を図ったBEV、そして、サプライズとなるピュアなガソリンエンジン車だ。
BEVとなる「フォルゴーレ」は、グラントゥーリズモらしい低く流麗なスタイルが与えられ、ビジュアル面も、ほぼエンジン車と同等に仕上げられている。その美しいフォルムの内側には、電動フォーミュラカーレース「フォーミュラE」で培われた最新技術で開発された電動パワートレーンを搭載。300kWの強力な電気モーターを3基搭載した4WD仕様となっている。
搭載される駆動用リチウムイオン電池の容量は、92.5kWh。放電容量は560kWとし、連続的に約760psをタイヤに伝達することができるハイパワーマシンに仕上げられているというから驚きだ。
クーペらしい低いフォルムを実現できた秘密は、Tボーンと呼ばれるバッテリーパックの形状にあり、通常のEVのようにフロア下にバッテリーモジュールを配置せず、主にセンタートンネル周辺に移動させることで、車高を落とすことを可能としたとしている。
イタリア車の魅力のひとつであるピュアエンジン仕様が提供されることが公表されたのは、まさに朗報。マセラティの次世代エンジンとして開発された3L V6ツインターボ「ネットゥーノ」が、フラッグシップスポーツ「MC20」やミッドサイズSUV「グレカーレ」に続き、グラントゥーリズモにも搭載される。
ガソリン車はいずれもネットゥーノエンジンを搭載するが、出力が異なる「モデナ」と「トロフェオ」の2種類を設定。ベースとなるモデナの最高出力は490psで、ハイパワー仕様となるトロフェオは550psまで性能向上が図られている。
■発売を記念した限定車も計画中
インテリアの画像は非公表だが、最新のデジタル技術を搭載したインフォテイメントシステムやヘッドアップディスプレイなど、最新のマセラティにふさわしい機能が用意されるという。
さらにサウンド体験にもこだわっており、電動車でもマセラティの象徴的なエンジン音による「360°サウンド体験」を保証。それを実現するために、グラントゥーリズモには、ソナス・ファベール社製の3Dサウンドシステムが搭載される。
昨今、電動車のドライビングの演出のひとつに、電子エキゾーストサウンドが活用されており、官能的なエンジンサウンドでファンを虜にしてきたマセラティがどんな魔法をかけるのか、注目される。
最新情報では、発売時にマセラティのグラントゥーリズモの原点となる1947年発表の「A6 1500」の誕生から75周年を記念した限定車シリーズ、「プリマセリエ75thアニバーサリーローンチエディション」が用意されることが明かされている。
初代グラントゥーリズモは、モデナ工場で行われていたが、こちらではミドシップスポーツ「MC20」の生産が行わており、新型グラントゥーリズモは、トリノ・ミラフィオーリ工場製に変更される。
ただ、100%メイド イン イタリーのプライドもしっかりと継承されている。現時点での日本への上陸タイミングは不明だが、世界的な新車供給問題が解消を見せぬなか、早めのアプローチが重要なことは確かだろう。
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