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近年再評価著しいFRポルシェ

1977年に登場したポルシェ928は、元々911の後継車種として企画・開発されたものだった。1960年代から連綿と改良を続けてきた911は、1970年代半ばには新鮮さを失いつつあり、また主要な輸出先の北米では、ストイックなスポーツカーより安楽なパーソナルカーを好むユーザーが増えて、メルセデス・ベンツSLCが高級クーペ市場を食い荒らしていた。これに対抗するためポルシェは、911よりふた回りも大柄な車体のフロントに水冷4.5L V8エンジンを搭載するという、大変革を決断したのである。

【画像78枚】量感あるボディが魅力的な928GTSとその工程を見る!

40年以上を経た今の目にも斬新に映る928のスタイリングは、GMから移籍してきたアナトール・ラピーヌによるもの。デビュー当初は、旧来の自動車らしさから懸け離れた異形と受け止められたカタチだが、居住性や視界の確保、取り回しの容易さなどを突き詰めた機能的なデザインであり、重量配分を重視したトランスアクスル・レイアウトや、先進的な後輪操舵「ヴァイザッハ・アクスル」など、大型FR車の機動性をとことん追求したシャシー設計も高く評価され、スポーツカーとして初めて欧州カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。

だが、この先進的なスポーツカーに対して市場の目は冷たく、911の後継に相応しくないという声が高まるにつれ、翳りを見せていた911の人気が蘇り、結果的にタイプ964の開発が促されたのは、運命の皮肉と言うほかないだろう。それでもポルシェは928を投げ出すことなく、928S、928S4、928GTと改良を続け、1992年に現れた最終型GTSでは排気量を5.4Lに拡大、足周りも強化している。

ホイールはドイツのガレージメーカーによるパーツを使用
928の登場時期は、日本ではちょうどスーパーカーブーム(末期)にあたり、グンゼ、ニットー、クラウンなど多くのメーカーがプラモデル化したが、現在通常ルートで入手可能な1/24キットは皆無だ。ただし、1990年代にリリースされたフジミの928S4は近年まで販売されていたので、現在も入手はさほど困難ではないだろう。エンジンはなく前輪ステアも省略されたシンプルな構成だが、プロポーションは非常に良い。S4のほか、928S(S3)とGTがあり、合計で3種が存在する。

ここでお見せしている作例は、このフジミのS4をベースに、リアフェンダーのブリスターをパテで造形し、スケールプロダクション製の17インチ・カップホイール、フジミ964ターボのドアミラー、タミヤ996のエアバッグ付きステアリングホイールなどを流用し、キットの存在しないGTSとして制作したものである。ヘッドライトは開閉選択式だが、透明部品をもう1セット用意し、ネオジム磁石を仕込んで開閉二態を再現可能とした。

なお、日本国内の現存車の多くはフロントにオーバーフェンダー(アーチエクステンション)が装着されているが、これはタイヤのはみ出しに厳しい国内法規の要求に沿ったもので、本来はオプションであり、欧州および北米仕様の素のGTSには装着されていない。法規の変更があったのか、最終年度となる1995年の正規輸入車では、装着されていない個体も少数あるようだ。これはひとつ前のGTでも同様で、フジミのGTにはオーバーフェンダーの部品が入っているが、日本仕様以外を作る際は必要なパーツではない。

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