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Image:Getmilitaryphotos/Shutterstock.com

米陸軍は、マイクロソフト(以下、「MS」)製のMR(複合現実)ヘッドセット「HoloLens 2」の導入を計画している。現在はそのテスト中だが、HoloLensを用いた統合視覚拡張システム(IVAS)の使用が一部の兵士に吐き気や頭痛、眼精疲労などをもたらしていることが明らかとなった。

米BloombergとInsiderによると、MS製のゴーグルを使った実地テストでは「任務に影響する身体的障害」が発生したそうだ。また視野が狭いことや、ディスプレイが輝くことで遠くからも兵士の位置がわかってしまう懸念も指摘されている。

MS社員はInsiderに、IVASはあるテストで6つの項目のうち4つが不合格だったと語っている。国防総省の運用試験評価部長いわく、必須機能に対する失敗がまだ多すぎるとのこと。さらに兵士にも十分に受け入れられていないとの報告もある。

米陸軍による実地テストは、実世界の情報を集め、カスタマイズ版HoloLensを改良していく「ソルジャー・タッチポイント」プログラムの一部に位置づけられている。最終的な目標は、歩兵がゴーグルを通じて重要な戦場情報や夜間の視界を得られることである

これらの問題を米陸軍は認識しており、対処を進めているようだ。クリストファー・シュナイダー准将は、IVASは「ほとんどの」基準をクリアしているが「足りない」部分もあり、改善を続けていくと述べている。

また米陸軍の調達担当次官補ダグラス・ブッシュ氏は、8月に5000台のHoloLens初期ロットを受け取ったが「欠陥を直す」ため計画を修正しているとコメント。MSもIVASを「改良できるプラットフォーム」と見なし、ヘッドセットの初期納品を進めていると語っている。

今回の調査結果は、現行のIVAS設計に根深い欠陥があると意味するものではないだろう。しかし、期間は10年間にわたり、合計12万台を導入予定の契約で、この先に多くの課題が待ち受けていることを予感させる。

この米軍との契約はMS社内にも紛糾を招き、少なくない従業員らが「兵器」に関わることに反対していた。実際にMRヘッドセットが戦場で活躍できるようになるまでには、しばらく時間がかかりそうだ。