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今週後半の政治ニュースで世間を驚かせたのが、消費省庁が14日に発表した、日本アムウェイ合同会社への6か月に渡る取引停止命令だ。

米フロリダにあるアムウェイセンター(JHVEPhoto /iStock)

初の処分に政治決断?

アムウェイはアメリカで1959年に創業したネットワークビジネス(連鎖販売)の事業者で、日本には1979年に進出。90年代にブームを起こした一方、消費生活センターへの苦情件数が度々報じられるなどトラブルが絶えなかった。

アムウェイの日本社会への浸透は侮れない。大手企業の社員でも“副業”にしている人が少なくないとされる。大手損保に勤務する40代女性は「うちの会社にもアムウェイに関係している人が一時は何人もいて懸念したことがあった」と打ち明ける。

そんな「曰く付き」のアムウェイだが、意外にも同社への行政処分は初めて。それだけに河野太郎・消費者担当相による「政治決断」が背景にあったのではないかとネット上では取り沙汰された。

河野氏はすでに旧統一教会問題で、霊感商法の対策検討会を立ち上げるなど積極的に立ち上げており、アムウェイへの処分が報じられた直後からツイッターでは

河野太郎の実行力やべーってなってる。批判を恐れない世襲議員って最高

河野無双してサクサク進みますね

などと、河野氏を評価する声が続出した。

「共和党支持基盤ばかり」

河野氏自身は15日夜時点で、アムウェイへの処分に関する公の場での発言は報じられていないが、河野氏に好意的な意見が増える中で、今回の事態に政治的な背景を指摘する見方もある。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「叩かれる側にも問題はあると思いますが、消費者庁の叩く先がアメリカの共和党支持基盤ばかりで草生えます」と投稿した

トランプ前大統領と河野消費者相

渡瀬氏は、2016年のアメリカ大統領選当時にはトランプ氏の当選予測を的中させるなど共和党の動向に詳しい。その指摘通り、旧統一教会もアムウェイも共和党、それもトランプ氏の基盤となった同党保守派との関係が深い。

旧統一教会との関係でよく知られているのはワシントンタイムズの存在だ。レーガン政権が発足した80年代初頭、首都ワシントンの日刊紙は、民主党寄りのリベラル論調のワシントンポストしか存在しなかった。これに対抗しようと、1982年、統一教会系のメディア企業が廃刊になった保守系紙の記者などを引き継ぐ形でワシントンタイムズを創刊。「レーガン大統領がベッドルームに持ち込む唯一の新聞」との触れ込みで存在感を示した。

一方、アムウェイと共和党の関係はさらに深い。共同創業者の一人、リッチ・デヴォス氏(1926〜2018)は創業から亡くなるまでの70年近くで6000億円の資産を築いたとされるが、本業の傍ら政治にも積極的に関与。共和党の組織を統括する全国委員会の財政長官を務め、息子のディック氏はアムウェイの親会社の経営を経験した後、ミシガン州知事選に同党から立候補(落選)。さらに同氏の妻、ベッツィ氏はトランプ政権で教育長官に就任している。

トランプ系や保守派嫌い!?

こうして振り返ると短期間に消費者庁が「叩いた」ことや、河野氏が大臣だったタイミングでの処分は偶然なのだろうか。渡瀬氏は「CSIS系はトランプ系や保守派が嫌いなので、ジャパンハンドラーズの皆様への阿り方が露骨すぎ」と意味深な指摘もした

「CSIS」とはワシントンにあるシンクタンク、戦略国際問題研究所。政治家になる前の小泉進次郎元環境相も米留学時に在籍するなど日本との関係も深い。また「ジャパンハンドラー」とは知日派の有識者で、CSISでは、ブッシュ(ジュニア)政権で国家安全保障会議(NSC)のスタッフも務めたマイケル・グリーン氏が副理事長を務めている。河野氏はグリーン氏とも親交があり、CSIS主催の講演会やシンポジウムで度々登壇したこともある。

また河野氏はジョージタウン大学への留学時代、のちに民主党クリントン政権で国務長官を務めたオルブライト氏の下で学び、同党議員のインターンを経験したこともある。米留学時代の政治活動の原点は確かに「民主党」だ。

もちろん「接点」があるからといって、一国の大臣が同盟国の有力者の言いなりになるというわけではない。しかし、安倍元首相の銃撃事件から脚光を浴びた旧統一教会だけではなく、これまでトラブルが取り沙汰されながらも行政処分がなかったアムウェイに消費者庁が取引停止を命じるには「唐突感」を覚える人が多いのも確かだ。

今回の行政処分を決めた経緯や背景について、週明けも社会的な関心が集まりそうだ。