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 2022年7月、UDトラックスから発売開始が発表された大型トラックのクオン2022年型モデル。「ECO+モード」が追加され、エンジンオイルの性能が向上し、低転がり抵抗タイヤを採用するなど環境性能を強化しているほか、ACC機能にも手を入れている。今回、クオンの2022年モデルに西村直人氏が公道で試乗。そのレポートをお届けする。

本文、写真/西村直人

【画像ギャラリー】UDトラックスのクオン2022年モデルは燃費もドライバビリティも向上!! 公道試乗でさっそくチェック!(8枚)画像ギャラリー


■2021年モデルと2022年モデルを比較試乗

2022年モデルのクオンが搭載する11L直6直噴ディーゼルターボエンジンのGH11TB。最高出力400ps、最大トルク2000Nmを発揮する

 UDトラックスの大型トラック「クオン」の2022年型と、比較用として従来型である2021年型に試乗した。試乗ルートは茨城県内の常磐自動車道と周辺の一般道路。アップダウンが連続し、トンネルも多い道路環境だ。

 まずは2021年型から。車型は「CG」で車軸配列は「8×4」(8輪のうち後4輪が駆動輪で、前4輪を操舵する)、「GH11TB」型を名乗る直列6気筒11L(10836cc)直噴ディーゼルターボエンジンは390ps/1750Nmを発揮し、ここに12速のシングルクラッチ方式AMT、「ESCOT-VI」を組み合わせる。

 運転支援技術のひとつとして2021年型のクオンから「UDアクティブステアリング」なるシステムを搭載している。これはステアリングギヤボックス上部に取り付けられた「電動モーター」と、車線を読み取る「光学式カメラ」、そしてそれらの情報を収集する「専用ECU」で構成される。

 狙った効果はさらなる直進安定性の確保と、ステアリングフィールから雑味を取り除き、ステアフィールを軽くしてドライバーの疲労を軽減することだ。各種センサーの感知回数は秒間2000回にも及ぶ。

■UDアクティブステアリングの効果を実感!

クオン2022年モデルのインテリア。運転支援技術として「UDアクティブステアリング」を採用しているのが2021年モデルとの大きな違いだ

 車両に積荷、そして乗員を含めたGVW(車両総重量)で25tにもなる大型トラックは、走行中に路面のうねりを受けるとステアリングが左右に細かく振られるため、ドライバーには終始それを見越した当て舵が求められる。さらに、トンネルの出口付近や橋梁で出くわす横風では車体が大きく振られることもある。

 UDアクティブステアリングは、最初に「うねり」や「横風」を運転に必要のない外乱であると判断。次にギヤボックス上部の電動モーターによって適切な反力を生み出し、これを疑似的な当て舵として活用する。結果としてドライバーが当て舵をせずとも外乱はみごとに打ち消され、車内は平穏な運転環境に保たれる。

 筆者は別の機会に空積状態で試乗していたが、今回はGVW20tの状態でその効果を実感した。いわゆる車線中央維持機能とは異なるが、大型車に最適な運転支援技術だ。

■2022年モデルはパワー、トルクともにアップ!

UDアクティブステアリングを装着している2022年モデルのクオン。直進安定性の確保とステアフィールを軽くすることでドライバーの疲労も軽減させる

 続いて、2022年型クオンに乗り換える。2021年型と同じCGで8×4、エンジン型式も同じGH11TBだが、最高出力を400psへと10ps向上させ、同時に最大トルクも250Nm増やして2000Nmまでアップさせた。

 2022年モデルの注目はトルク値で、アイドリング回転数の直上である800回転から最高出力を発生する1600回転まで2021年型を上回る値を発揮する。これらはエンジン単体での摺動抵抗の低減、シリンダーブロックの強化、燃料噴射圧の10%向上(220bar)などによってもたらされた。

 トランスミッションも同じ12速のESCOT-VIだが、燃費性能を向上させるためファイナルギヤを高速化した。具体的には2021年型比で約27%の低ファイナルレシオ化により、車速に対するエンジン回転数が下げられた。

 さらに12速ギヤをオーバードライブ状態から2022年型では直結状態になるようギヤ比を見直したことで、駆動力とエンジン回転マネジメントの最適化が図られた。

 結果として12速へのシフトアップ許容速度が、2022年型では55㎞/hへと低められており、一般道路の法定速度域でも燃費数値を高めることに成功した。また、エンジン常用回転数が低下したことから車内透過音も減少し、ドライバーによりいっそう優しい運転環境が提供されるようになった。

■ECO+効果でドライバビリティだけでなく、燃費も改善!

筆者とクオン2022年モデル。実際に試乗することでECO+モードの実力を体感できたという

 エンジンパワー&トルクが高められているので走行性能は当然、高められたのだが、燃費数値にしても2021年型に対して最大6%程度向上(UD社内測定値)しているという。

 ドライバビリティと燃費数値の両方を向上させることができた背景には、2022年型向けに新たに開発されたドライブモード「ECO+」が大きく貢献する。2021年型までのクオンが搭載するドライブモードは、ECO/ECOオフの2種類だったが、2022年型ではECO/ECOオフにECO+が加わり3種類のドライブモードから任意で選べる。

 燃費数値と走行性能のベストバランスを狙ったECO+では、走行性能重視のECOオフで感じたストレスのない動力性能をほぼそのままに、必要以上と判断される加速性能だけに的を絞り、自動的に過剰な部分を抑制してくれる。

 2021年型のECOはECOオフとの動力性能差が大きく、登坂路におけるECOオフの走行性能を100%とした場合、ECOでの走行性能は70%程度(筆者の体感値)にまで落ち込み、ドライバーにはアクセルペダルをわりと大きく踏み足す予測運転が常に求められていた。

 対して2022年型のECO+における走行性能は、ECOオフの85%程度(筆者の体感値)を確保する。また、アクセルペダルの踏み足しは直前、かつ少ない開度で対応できるため道路環境を問わずストレスが大幅に軽減した。エンジン単体がトルクフルで粘るから、キックダウンの回数も大幅に減っている。

 さらに2022年型では、ACC機能である「トラフィックアイクルーズ」を15㎞/h未満の低速域から完全停止の領域まで作動速度域を拡張し、ドライバーの操作による再発進機能まで組み込んだ。

 今回行なった2台の比較試乗では、新たな重量車モード燃費である「JH25モード」に対応する燃費数値を達成しながら、定評ある動力性能を両立させる2022年型の新たなパワートレーンの実力をECO+モードの緻密な作り込みとして体感することができた。

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