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眩しすぎるフォグランプやハイビーム……灯火類の正しい使い方ちゃんと分かってる!?

 2020年4月以降に発売される新型車からオートライト機能が義務化されていますが、これってバッテリーの負担がめちゃくちゃ大きい気がしますが大丈夫なのでしょうか? しかもアイドリングストップ機構が付いているクルマもヘッドライトは点いているわけで……。

 さらに最新車の傾向として、特に上級グレードやカスタムグレードなどはフロントバンパー左右にフォグランプ(ヴェゼル付き)です。これ、眩しすぎます。

 また、LEDヘッドライトなので、ただでさえ眩しいのに、たまにハイビームで走っているクルマがいます。対向車が来てもロービームに切り替えない人もいます。

 ヘッドライトのモラルやマナー、ハイビーム走行についてモータージャーナリストの高根英幸氏が解説します。

文/高根英幸
写真/AdobeStock(トップ画像=DedMityay@AdobeStock)

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■多くのドライバーを悩ませる「眩しいヘッドライト問題」

夜間に走行するドライバーを悩ませる、対向車やミラーに映る後続車の眩しいヘッドライト。LEDヘッドライトが普及した今は耐えがたい眩しさだ(beeboys@AdobeStock)

 夜間、クルマを走らせているドライバーを悩ませている問題の一つに、「対向車や後続車のヘッドライトが眩しい」というものがある。そう、ヘッドライトがやたら眩しいのである。

 また純正装着のフォグランプも、この「ライト眩しい問題」の原因の一つになっている。フォグランプは文字通り濃霧などの視界不良時に使用するための装備だが、光が広範囲に散らばる配光のためオラオラ顔のミニバンなどでは煌びやかな印象が増すと思うオーナーが、夕暮れから点灯させているのだ。

 この問題は原因が一つではないことが解決を難しくしているが、すべてはドライバーの意識向上によって解決できるはずの問題なのだ。免許取得や更新のハードルが低いことから、免許を取得さえすれば後は自分勝手に解釈して運転してしまうドライバーが少なくない。

 2020年4月からは周囲の明るさに応じてライトを点灯させるオートライトが義務化されており、アイドリングストップと合わせてバッテリーの負担も増える傾向にある。

 オートライトは無灯火走行に対する対策としては有効だが、アイドリングストップのせいで車検ごとに高い専用バッテリーを交換させられているドライバーにとっては、さらにバッテリーの寿命を縮めかねないものだ。

 しかし大部分のドライバーはオートライトやアイドリングストップをキャンセルさせたり、バッテリーを補充電するなどの対策をするようなことはしない。車検時にディーラーや車検業者に言われるがまま、高いバッテリー代を支払うだけだ。

 ドライバーの1番の問題は、運転免許を取得してからは道交法や車両法(道路交通車両法)などの法令を遵守する意識が薄れ「運転免許を持っているから、公道でクルマを走らせる権利がある」という感覚に陥ってしまっていることだ。

 クルマの維持管理についても、本来は所有者の責任なのだが、思考停止に陥ってしまっているオーナーも少なくない。

運転免許を取ったら勉強終わり、というドライバーにも問題がある。交通ルールや車の維持管理について考えない人も少なくない(Kumi@AdobeStock)

 これを解決させる対策としては、運転免許更新時に学科試験を導入するなど、ドライバーの運転への責任感を維持する仕組みを作ることだ。そうすればハザード消し忘れやハイビーム点けっぱなしでメーターも見ずに走っているドライバーも減るハズである。

 免許センターの負担が増えることなどから、現実的ではないと考える関係者も少なくないだろう。しかしドライバーの質を向上させて、交通事故を減らしてマナーを向上させるためには、本来こうした努力を怠ってはいけないと思う。

 警察も道交法が昭和36年から変わっていない条項もあるにも関わらず、実態にそぐわないのにそのまま杓子定規に守らせようとしているところにも問題がある。

 ヘッドライト内部のカットラインで上限を設けることによって、眩しさをクリアできると思っているのは法律上だけで考えている人間だけだ。道路は平坦ではないし、小刻みに凹凸があるところだって珍しくない。信号待ちで車体が後傾すればロービームでもハイビーム並みの配光になってしまうことも多い。

 そろそろ自動車メーカーも購入者だけのメリットを強調する手法を改めるべきじゃないだろうか。明るく視界を確保するヘッドライトは、そのクルマのオーナーには安全で便利だが、周囲のドライバーには迷惑で危険ですらあることも少なくない。

 クルマには傾斜センサー(角度センサー)が組み込まれており、坂道発進や急な下り坂ではブレーキを自動制御してずり落ちを防いで安全に走行できるよう利用されている。

 これをヘッドライトの制御に使わないのは、そういう要望が上がっていないからなのかもしれないが、開発コストを抑えるため目をつぶっていることもあるだろう。

■ハイビームのままでは違法であることも周知すべき

道交法上、「ヘッドライトはハイビームが基本でロービームはすれ違い灯」というのは解釈としては正しいが、ロービームにしないというのはれっきとした交通違反なのだ(Creative Cat Studio@AdobeStock)

 クルマのヘッドライトではハイビームを使用するのが基本というのは、交通量が少ない時代の名残だ。今や高齢ドライバーが増殖中なのだから伝え方を考えるべきだろう。

 メガネの度さえ合っていない、もしくは白内障でハッキリと見えない高齢ドライバーがハイビームにすれば見えると思うような勘違いをしている可能性だってあるのだ。

 無灯火での走行が被視認性を低下させて交通事故を誘発することからオートライト機能が義務化されたのであれば、ハイビームのまま走行することを防ぐオートハイビームも義務化するべきではないだろうか。

 道交法上、「ヘッドライトはハイビームが基本でロービームはすれ違い灯」というのは解釈としては正しいが、実情では対向車や前走車がいない状況など都市部では深夜にしか有り得ない。つまりロービームが基本で、前方にクルマがいない状態でのみハイビームにすることになるハズなのだ。

 おそらく「ハイビームが基本……」ということを知ってハイビームにして走っているドライバーの中には、ロービームにしないと交通違反になることを知らないのではないだろうか。

 これは減光等義務違反といい罰則は減点1、反則金は6,000円だ。といっても、ただハイビームで走行しているだけでこの交通違反で検挙されることはほとんどないようだ。

 だが周囲のドライバーを幻惑してしまい、それが交通事故などの原因になったことが判明すれば、責任を追求されることになる。最近はドライブレコーダーの装着率も高まっているので、そうした行為を後から証明される恐れもあることを知っておくべきだろう。同じことはフォグランプについても言える。

 警察がハイビームの使用を奨励するようになったのは、夜間の視界不良が原因で交通事故を起こすケースがあったからだ。確かに夜間、街灯が少ない道路を走っていると前方が見えにくく歩行者や自転車が突然現れたように気付いて驚くことがある。

 この対策にハイビームを使用するのは正しいことであるが、もう一つ、危なそうな道路やシーンだと思ったら、速度を落とすことが大事だ。

 スーパーの駐車場や高速道路のPAなどでも、速度を落とさずに走行しているクルマを見かけるほど、一般のドライバーの中には速度感覚をもたずに周囲のクルマに合わせるだけで走っている人が多い。

 クルマが省燃費のために低抵抗になり、走行時の静粛性や安定性、乗り心地が向上していることも影響しているのだろうが、ドライバーは安全に運転する義務があるのだから、最後はドライバーが判断して操作しなければならないのだ。

 交通違反になるか、ならないかで判断するだけでなく、安全かそうでないかを見極めて、必要に応じて速度を落として走行することを意識していることが大事だ。

 警察も軽微な交通違反と放っておかずに、ハイビームのままの走行やフォグランプ/リヤフォグランプの不適切使用などは注意したり警告することで、マナーやモラルが欠如したドライバーも減らすことができるはず。交通トラブルに発展する可能性もあるだけに、こうした問題は減らしていかねばならないはずだ。

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