11月5日、スーパーGT第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』が開催されている栃木県のモビリティリゾートもてぎで、スーパーGTとFIA-F4をプロモートするGTアソシエイションは、2024年から導入される新シャシー『MCS4-24』をサーキット内でお披露目した。
世界的なフォーミュラ再編にともない2014年に誕生したFIA-F4は、日本ではGTアソシエイションがプロモーターとなり、2015年からスーパーGTの併催レースとして開催。初代チャンピオンの坪井翔をはじめ宮田莉朋、角田裕毅、佐藤蓮、平良響、野中誠太といった歴代チャンピオン、そして多くの国内外のトップドライバーを輩出している。
そんなシリーズだが、現在使用されている童夢F110が2023年に規定上使用できなくなることから、2024年から第二世代となる新シャシー導入を目指しているが、11月5日、新たなマシン『MCS4-24/トムスTMA43』が公開された。
すでに8月に発表されているとおり、新シャシーは東レ・カーボンマジックが製作。エンジンは引き続きトムスが開発した『TMA43』が使用される。新シャシーMCS4/24は高強度モノコックやリヤライトなどが採用され、高い安全性を備える。また、この第二世代からヘイローが備えられた。
MCS4-24は、この週末モビリティリゾートもてぎでスタートしたFIA-F4の専有走行で、服部尚貴FIA-F4プロジェクトリーダーが自らステアリングを握り、F110に混ざって走行。この日はピットウォーク中にデモランを行い、ファンにもその姿をお披露目している。
デモランが終わった後、GTアソシエイションの坂東正明代表は「皆さんの協力のもと、開催から8年経ったFIA-F4が2024年から第二世代となります。FIA-F4は世界各国で開催されていますが、きちんとした安全のもと、この台数で開催できているのは日本だけです。しっかりとした安定した環境で若手育成を行えています」と語った。
「このFIA-F4を乗り越え、世界中でドライバーが活躍しています。日本のモータースポーツを確固たる信念のもと育て上げたいという思いのもと、第二世代のFIA-F4も育て上げ、若手育成とともに日本のモータースポーツの認知度を向上させるため努力していきます」
またドライブを担当した服部プロジェクトリーダーは、ヘイローが付いたフォーミュラは初めてだったというが、走り出した瞬間からまったく気にならなかったという。「このクルマは今までよりも強度が非常に高まっています。FIAから求められた強度要件が大きく高まっており、そのルールを満たしています」と語った。
「再来年からこのクルマでレースが開催されますが、このFIA-F4からスーパーGT、スーパーフォーミュラ、さらにF1まで到達してくれるドライバーが育ってくれることを心待ちにしながら、このクルマを送り出したいと思います」
今後、12月に行われるFIA世界モータースポーツ評議会で決定するプライスキャップをベースに販売価格を決定し、2023年2月から受注を開始。10月から順次納車が開始される。初期ロットは35台を予定しているという。
MCS 4-24/トムス スペック
名称・形式:MCS 4-24
モノコック:ヘイロー対応カーボンモノコック
前後インパクトストラクチャー
フロア・カウル:カーボンコンポジット
サスペンション:四輪ダブルウィッシュボーンインボードタイプ+前後スタビライザー
ブレーキ:前後4ポッドキャリパー/ベンチレーテッドディスク
ギヤボックス:6速パドルシフト オープンデフ
シャシー:ヘイロー付カーボンモノコック
燃料タンク:FIAアプルーブド FT3-1999 容量35リットル
FIA規定エナジーストア搭載可能(ハイブリッドパワーユニット対応)
ステアリング:R&P
全長/全幅:4,795mm/1,750mm
ホイールベース:2,820mm
車両重量:575kg(空車マックス)
トレッド:1,510mm/1,470mm
ホイール:F8.0J-13 R10.0J-13(TWS)
タイヤ:F195/550R13 R240/570R13(ダンロップ)
エンジン
名称・形式:トムスTMA43
DOHC 16バルブ ドライブ・バイ・ワイヤ
排気量:1987cc
ボア/ストローク:80.5mm×97.6mm
最大出力:180PS(予定)
排気系:触媒つき
エンジン/ギヤオイル:ペトロナス