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 都営バスの停留所2つが9月から改称された。その一つである若潮橋停留所を訪ねた。停留所施設や付近の公園、廃止になった系統、なぜか新幹線までなかなか興味深いスポットだった。

文/写真:小野寺利右
編集:古川智規(バスマガジン編集部)


「若潮橋」というバス停とは

 2022年9月に停留所名が変わった若潮橋だが、この橋は東京都品川区東品川五丁目にあり、主要地方道日本橋芝浦大森線の天王洲南運河に架かる橋である。2007年から橋の架け替えが始まり、2022年8月に両方向とも新しい橋に架け変えが終了した。

改称前の品98系統

 当地に向かうために乗車したバスは、都営バスの品99系統・大田市場行きだ。出発地は品川駅港南口だ。駅を出て10分足らずで目的地に着いてしまう。今回はバス系統の乗りバスではないので下車する。

変更前は見るも無残なバス停ポール

 目的の停留所に着き、バス停のポールを見てみたが、変わる前は残念ながらポールが錆びていて停留所は判別できなかった。その後に新しく変わって再度訪れた時にはしっかり直されていた。

以前の停留所は少々長い名称だった

 この若潮橋停留所は、8月31日までは「大井火力発電所」という停留所名だった。この火力発電所は石油による発電所で、1971年に1号機が運転開始し、その後1973年に3号機まで完成し総出力105万KWだった。

 運河を挟んだ北側の品川火力発電所と合わせて総合運営で行っていたが、大井火力発電所は2016年に老朽化により稼働停止となり、2022年3月に廃止になった。隣の品川火力発電所は現在も稼働中だ。その為、若潮橋の架け替え完成を待って停留所名も改称したようだ。

発電所跡の一部は水素ステーションに!

 実際の火力発電所跡まで歩いて行ってみたが、看板はまだそのままで、敷地内は当然見れないので、中がどうなっているのか分からないが、解体するなど目立った動きはまだないようだ。また隣には水素ステーションが出来ていた。最後は東京電力からJERAという合弁会社に移管されていた。

実は3つある海上公園

 バス停傍の運河には緑道公園があり、そこに周辺案内図があった。東京都海上公園案内図とあり、この辺りは大井ふ頭地区になる。海上公園とは、東京都が埋立地に都民が海や自然とふれあい、スポーツやレクリエーションを楽しめる公園として整備したものの総称である。海上公園は3つあり「海浜公園」「ふ頭公園」「緑道公園」に分類されるようだ。

東京都海上公園案内図

 埋立地なので、この大井ふ頭地区だけではなく、主に臨海部の地域はほぼ公園が整備されている。お台場海浜公園や若洲海浜公園もこの一例である。

かつての系統はどんな感じ!?

 案内図やバス停傍の看板に、すでに走っていない系統がまだ残っていた。それは海01系統である。海01系統は門前仲町と品川駅東口(現在の港南口)を結んでいた。

 平成に入り台場地区を折り返したりしていたが、りんかい線の開業により品川側は短縮され東京テレポート駅前発着になった。当時は首都高速の東京港トンネルを通りお台場側に出ていた。

新幹線の回送に遭遇!

 この地域には橋と道路と並走している鉄道線路がある。東海道新幹線の大井車両基地への回送線で大井ふ頭方向へ伸びている。ちょうど訪れた時に回送電車が走っていたので撮影することができた。

ドクターイエローも通るか?

 最初は改称されたバス停を撮影する目的だったが、降りて付近を回ってみたところ、工場大好きな趣味人にはなかなか楽しい地域だと考えられるし、新幹線電車も通過するのでなかなか興味深い地域だ。

 普段は通るだけで何もないように思えても、実際に下車して掘り下げると色々と地域の事情が見えてくる。探求心をフル活用して近くの停留所散策をしてみてはいかがだろうか。

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