どうやらイマドキの若者はクルマへの興味が薄いらしい。しかし、いわゆるZ世代と交流する機会が多い筆者が彼らと杯を交わすなかでわかったのが、運転がうまい人はかっこいいと感じるという若者は多いということ。これに関しては今も昔も変わらないようだ。
そこで今回は、そんな若者たちに「運転うまっ!!」と思う瞬間をインタビュー。おじさんがちょっと嬉しい答えもたま~に返ってきたのでご報告しよう。
文/藤原鉄二、写真/写真AC
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MT車の洗礼を受けたおじさんは運転がうまい…と思っている
突然結論のような流れだが、今回のインタビューでわかったのは、若者たちの多くがMT車を運転してきたおじさん(筆者含む)は運転がうまいと思っているということ。
「MT車を運転できなくても日常生活において不自由を感じることは皆無なんですが、それでもうまく乗りこなせるってのはかっこいいと思います。親父がクルマが大好きでいまだMT車乗っているんですが、運転うまいなと思います。ちょっと褒めたらオヤジは面目躍如って顔してました(笑)」
「会社でも社用車の運転を見ていると上司のほうが圧倒的に運転がうまいです。同僚とかの横に乗るよりも安心感があります。MT車という難関をくぐり抜けてきた猛者は強しって感じですかね(笑)」
このように、MT車の洗礼を受けた世代のほうが運転スキルは高いと考えているようなのだ。
番外的だが、こんなユニークな意見も。
「うちの母親は若い頃からMT車に乗っていたということもあり、AT車が普及してからもかなり長い間、乗り慣れているからと頑なにMT車に乗り続けていたんです。
ある時ちょっと事情があってMT車しかなくて、みんな「えーっ……」という感じだったんですが、母親が躊躇することなくドライバーを志願し、スムーズに運転したことがあって。ちょい尊敬しましたね」
ということで、ここからは具体的にどんなシチュエーションの時に運転がうまいと若者たちが感じるのかを紹介していこう。
コーナリングがうまい
運転の腕の良し悪しがわかるのはどんなシチュエーションかを質問してみたところ、ほぼ全員がコーナリング時の運転と答えた。
「自分は運転が下手なんでカーブを曲がる時のスピードとハンドルの切り方の調整が難しくて、急カーブでヒヤッとすることがけっこうあります。だから、適度なスピードでスムーズに曲がることができる人の横に乗ると、うまいなと思います」
回答で多かったのが、カーブを「適度なスピード」で曲がれるとうまいと感じるということ。ゆっくりすぎてもトロくて下手と感じるし、速すぎても恐怖を感じるからとのこと。
「若い頃、クルマ雑誌とかで運転テクニックの記事を読みまくっていたというおじさんが会社にいて、その人のカーブの曲がり方はうまい。やっぱり何も考えずに運転していると何年運転してもうまくならないって思いますね」
おじさん世代のなかには、ドリフトに憧れて、コーナリングを“こそ練”したという経験がある人も多いはず。こんな意見を聞くと、こそ練の甲斐があったというものだ。
合流がスマート、かつ譲り合いの精神がある
運転下手を自認する人にとっての難関のひとつが合流。渋滞路で強引さも感じさせず、スムーズに合流を果たせるドライバーはめちゃ運転がうまいと感じるらしい。
「東京に来て運転をするようになって一番ビビッたのは首都高での合流ですね。渋滞して完全に流れが止まっちゃっているような時はまだしも、少し流れているような時の合流がものすごい怖かった……というか、いまだに慣れないです。だから、合流がうまい人は尊敬もの」
「ススーッと何事もないように流れに入っていく人の横に乗ると感心します。あと、他車をスムーズに入れてあげられるのもうまさの証かなと。自分は入れ方が下手で1台入れた途端、雪崩のように割り込まれちゃうことがあるんで……」
と、なかなか合流上手は高評価。
「かっこいいと思っていた先輩の横に乗っていて、首都高の合流で自分はしっかり入れてもらっておきながら、いざ入れてあげる立場になったらツメツメにして入れてあげなかった。かなり幻滅しましたね」
これは運転技術というよりマナーの問題だが……。いずれにせよ、合流時の挙動はかなり観察されているということを意識して運転したい。
ヒール・アンド・トゥができる
これは1名、同意者3名と少数意見ではあったものの、死語だなんだと言われるテクニックを尊敬の眼差しで見る若者もいるということをお知らせしておきたい。
「叔父がクルマが趣味でちょい古めのMT車(ロードスター)に乗っているんですが、横に乗せてもらった時ブーンとちょっとアクセル踏んで、シフトダウンするとかしてて。理由を聞いたら「なるほど~」と、ちょっと感心しちゃいました。ゲームがうまい人を見ているような感覚でしたね」
ヒール・アンド・トゥはAT車しか運転したことがないような人にとっては化石のようなテクニックだが、間近で体験するとなかなか面白い、すごいテクニックと感じるようだ。ただし、うまくキマればのハナシだが……。
ちゃんと降りる人のことを考えて停車してくれる
これは女性からの声。クルマを停める時に助手席から降りる人のことを考えてガードレールや隣接するクルマとの間を空けて停めてくれる人は運転がうまいと感じるらしい。
「運転技術じゃないかもしれないですが、気遣いを感じますよね。降りる人はガードレールや隣のクルマにドアをぶつけちゃいけないからスペースが狭すぎると降りる時にほんとにドキドキする。ワンボックスから降りる時に、隙間が狭すぎてずり落ちて……。ドアはガードレールにぶつけるわ、お尻を強打するわでひどい目にったことがあって。それからすごく気になりますね」
これは気遣いができるかできないかもあると思うが、車両感覚の良し悪しもあるだろう。車両感覚がうまくつかめないから、気遣いをしたくてもできないという人もいるはず。
最近のクルマはモニター付きのものが多く、運転技術がなくても気遣いスペースはつくりやすくなったので、以前ほどテクニックを要するものではなくなったが、助手席からの乗降のしやすさを考慮して駐車できるというのも、運転上手と思われる要素のひとつであることは間違いなさそうだ。
車間距離のとり方が絶妙
長距離を走った後に運転がうまい人の横に乗ると疲れが少ない、逆に下手な人の横に乗るとぐったりしてしまう。これが運転がうまい人と下手な人を区別する時の大きな判断基準というのは全員一致。特に疲れの原因となるのが車間距離ツメツメ運転。
「横に乗っていて車間距離ツメツメで思わず足を踏ん張ってしまうようなことが多々あるとクルマを降りた時のぐったり感はハンパないです。こういう人って下手でしょ」
「あまりに車間距離を空けないんで指摘したことがあったんですが、「俺は運転うまいから大丈夫!」とキレられたことがあります。車間を空けずに走って何かあっても対応できると思っているんですね。自信過剰でかっこ悪い」
逆のパターンもあり。
「会社の同僚がものすごい車間距離をとるんです。で、いつも間に割り込まれてヒヤッとする。トロいっていうか、下手でしょ。ということで、その同僚とクルマ移動する時は自分が運転するようにしてます」
「車間距離のとり方が絶妙な人って運転にゆとりを感じて「うまいなぁ」と思います。横に乗っていて恐怖を感じることがないってのが嬉しい」
車間距離のとり方は運転のうまさの指針となることは間違いなし。事故は運転がうまいだけでは回避できないことも多々ある。適切な車間距離は事故を回避するうえで絶対に必要と肝に銘じておきたい。
今回は全員が運転に自信がないという若者ばかりだったので、ありがちなことも多かったものの、共通していたのは「怖さを感じさせない」「疲れを感じさせない」運転がうまいと感じる要素ということ。
若者たちから「かっこわりー」と思われないためにも安全運転を心がけてほしい。
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