EPEIOS JAPANは、IoT家電の新シリーズ“FoElem(フォーエレム)”の製品発表会を、本日11月17日に開催した。四元素をモチーフに開発、著名なファッションデザイナーを起用するなど、そのユニークな製品詳細が語られた発表会の模様をレポートしたい。
「四元素」「IoT」がキーワード。デザインにもこだわった「FoElemシリーズ」
EPEIOSは、2020年に東京に創立した「ライフスタイルをより豊かにするためのソリューションブランド」。発表会に登壇した代表取締役会長の金 成賛(きん せいさん)氏は、「コロナ禍で自宅の環境を充実させたいと思う方が増えたが、同時にライフスタイルと価値観に合う製品探しで悩む方が多いことにも気づいた。そんな方に一歩進んだ製品を合理的な価格で提供したいと思いEPEIOSを作った」と説明。
日本のものづくりのエッセンスを活かした製品開発は多くの方から好評を得ており、そのビジョンに共感してくれた企業とのコラボを実施したり、IoTテクノロジーを提供するTuyaをビジネスパートナーに迎えたりと、順調に発展しているという。
また代表取締役社長の駒崎 竹彦氏は「市場を見渡すと大量生産・大量消費の同じような製品ばかりが並ぶが、今は良いものを長く使う時代で、そのためには良い製品を作る必要がある。世界的にも目の肥えたユーザーが多い日本市場をターゲットに、IoTやデザイン、質感までこだわりつつも手の届く値段の製品を作ってきた」と語る。
今回発表されたFoElemは、「四元素」と「IoT」をキーワードとした家電シリーズ。四元素は世界の物質は水/火/土/空気という4つの元素で構成されるという概念で、古くから世界各国に広まり、ヨーロッパでは18-19世紀頃まで支持されていた。FoElemという名前も、この四元素(Four Elements)に由来したものだ。
四元素それぞれをテーマとして、“自然の中での変化”を感じ取れるデザインの4製品を開発。「あなたのひと時に、ひと息を。」というコンセプトのもと、目まぐるしく変化する時代のなかで製品を通じて“時のうつろい”を感じてもらい、そこから未来について想いを馳せることで豊かな人生を歩むきっかけになってもらいたい、という願いが込められているという。
大きな特徴といえるのが、エルメスのスカーフ&テーブルウェアのアートディレクターを務めるブノワ・ピエール エミリー氏と、エルメスやポール・スミス、資生堂など多くのブランドに携わったダミアン・オー シュリバン氏をデザイナーに起用したことだ。特にチーフデザイナーを務めるブノワ氏は今回が初の家電デザインであり、「普通の家電とも違う、ユニークで感性に響くデザインになった」と駒崎氏は自信を見せていた。
■水・火・土・空気モチーフに開発した4製品
四元素のうち「水」をモチーフとしたのが、スマート加湿器の「Heal(ヒアル)」。「心をうるおす」というコンセプトを実現するため、加湿に加えて音、光、香りという3つの機能を搭載しており、音楽やライティング、アロマによって自分好みの空間を作り出せるという。
また、加湿方式は「加熱超音波式」を採用。これは加熱式と超音波式をハイブリッドしたもので、ヒーター加熱で水を除菌しつつ、消費電力の低い超音波式で噴霧するという、両方式の長所を兼ね備えたものになっている。
デザインは雨が降ったあと、蒸発して空へ戻っていくという自然の摂理をイメージして制作。本製品は“あえて”詳細を伏せた状態でクラウドファンディングを行なっていたが、デザインへのこだわりが伝わったのか、通常のクラウドファンディングは男性ユーザーが多いのに対し、本製品の支援者は7割が女性だったとのこと。
実際、クラウドファンディング中は「デザインに一目惚れした」といった声が多数寄せられたという。手元に届いた支援者からの声も届き始めており、デザインや質感に加え、加湿レベル調整時のサウンドを水滴の音にしたことなど、細かいところのこだわりが好評を得ているそうだ。
本体のボタンでも操作できるが、EPEIOSのIoT家電専用iOS/Androidアプリ「EPEIOS Life」を使えば、より細かい操作が可能。ライティングは色や光量レベルを細かく設定することができ、気に入った設定を最大8つまでプリセットすることもできる。
音楽は日本の四季の移ろいから着想したという「春:雨の朝」「夏:海岸」「秋:深夜の雨音」「冬:焚き火」に加え、ヨガや瞑想に適したものなど計8曲を内蔵。なお、アップデートで再生曲数を増やしたり、好きな音楽を再生したりといった機能は「次回モデル以降の課題」とのこと。
「火」をモチーフとしたのが、スマートノンフライオーブンの「Chef(シェフ)」。近年のヘルシー志向で注目が高まっているノンフライヤー調理機とオーブンを合体させたハイブリッド家電で、12月中旬以降の発売を予定。価格はオープンとなっている。
同社ではノンフライオーブンの「The Non Fry Oven」を販売しているが、ヘルシーかつ放ったらかし調理ができることから子育て世代などにも支持されているという。今回のChefではスチーム機能も搭載したことで、ノンフライでもジューシーな料理を作れるようになっている。
ピザ窯をイメージしたというフォルムデザインで、前面には調理用の操作ボタンを装備。さらにEPEIOS Lifeにも対応し、アプリに記録したお気に入りの調理法を選択することなどもできる。
「土」モチーフのスマートコーヒーメーカー「Mocca(モカ)」、「空気」モチーフのスマートファン「Wind(ウィンド)」もお披露目されたが、ともに2023年4月以降の発売を目指して開発中のため、概要のみが発表された。
Moccaではハンドドリップで丁寧にいれたコーヒーを再現するため、テイストの部分に特にこだわって開発中。そのため、アジア人初のワールドバリスタチャンピオンに輝いた井崎英典氏に監修してもらう予定だという。
Windは「旅するサーキュレーター」というコンセプトの製品で、ファン部分は飛行機のエンジンをイメージしてデザイン。日本各地の風をシミュレーションしたり、香りや音を再現するモードなどを搭載する予定で開発を進めているとのこと。
■「コンセプトの四元素は『本質』だと思う」
発表会にはデザイナーのブノワ氏とダミアン氏の両名も登壇。デザイン面でのこだわりなどがその口から語られた。
チーフデザイナーのブノワ氏は、先述の通りエルメスのスカーフ&テーブルウェアのアートディレクターを務める人物。デザイナー/アートディレクターとして20年のキャリアがあるが、そのほとんどがファッション方面であり、日本でいえばKENZOやコム・デ・ギャルソン、資生堂といったブランドのプロダクトを務めている。
ダミアン氏もエルメスやポールスミス、ルイ・ヴィトン、資生堂など多くのファッションブランドに携わってきたが、フィリップスといった家電ブランドなども手がけてきたという。
今回のFoElemは、EPEIOSの松川クリエイティブディレクターがブノワ氏に話を持ちかけたことからスタート。話を進めていくうち、資生堂などで一緒に仕事をしたことがあり、かつ家電デザインの経験もあるダミアン氏にも加わってもらうことになったそうだ。
これについてダミアン氏は「家電とはちょっと離れていたので懐かしい気持ちがありつつ、日常で使う道具にクリエイティビティや発見など、何か素敵なものを入れ込めたら、そんなチャレンジだと思った」とコメント。
デザイン面について聞かれると、ブノワ氏は「コンセプトになっている四元素は『本質』ということだと思う。我々はテクノロジーに満ちた現代社会に生きているけれど、食べ物に火を通したり、風の心地よさを求めたりと、生きるうえで必要なものは大昔から変わっていない。それを家電に入れたいと思った」と述べた。
ダミアン氏は各製品のディテールを解説。Healは水の循環をイメージしたことやChefはピザ窯をモチーフとしたことに加え、「Moccaの『土』はコーヒー粉のことで、水が土を通って出てくるイメージ」「Windは大きくて目立たないよう隠すことができないため、美しいものを作ろうと思い、前面に日本の格子のモチーフを取り入れた」といったことを語ってくれた。
プロジェクトを通しての感想を聞かれると、ブノワ氏は「我々2人で考えたデザインを一丸となって製品化してくれたチーム力に感謝している。全てが家にあって何の違和感もない製品になって出てきたのは感動的」とコメント。
ダミアン氏は「プロジェクト自体がスピーディーで時間も押していたが、ある意味では直感的に物事を決められたのではないかと思う。また、我々は普段『これは実現可能か』と考えながら仕事をしているが、そういった考え方を受け入れてくれたことにも感謝したい」と述べた。