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 BMWのフラッグシップSUV(BMWではSAVと呼ぶ)である「X7」が、フェイスリフトを含むマイナーチェンジを実施した。日本では、フラッグシップサルーン「7シリーズ」のフルモデルチェンジと同時に発表されたが、大胆にもエクステリアデザインも新生7にふさわしい共通デザインのフロントマスクへと進化している。

 SUVブーム真っただなかの今、自動車ブランドがプライドを掛けて送り出すフラッグシップSUVとの戦いに挑むべく、大きく進化を遂げた新生X7の特徴を解説しよう。

文/大音安弘、写真/BMWジャパン

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■フェイスリフトを受けた新型X7が日本上陸

 BMWは2022年11月15日、BMWのSUVラインナップの頂点に立つフラッグシップSAV「X7」のマイナーチェンジを発表し、同日より販売を開始した。右ハンドル仕様のみとなり、新価格は1339万~1698万円となる。

マイナーチェンジを受けた新型X7は、フロントマスクを大胆に変更している

 X7は、2019年6月にBMWのSAV「Xシリーズ」の最上級ラグジュアリーモデルとして登場。5mオーバーのラージSUVのサイズを活かし、BMWのSAV初の7人乗りを可能とした。大がかりな改良は、今回のマイナーチェンジが初となる。

■新世代THE7を象徴する特徴的なエクステリアにリニューアル

 新デザインとなるエクステリアの最大の特徴となるのが、新しいフロントマスクだ。新7シリーズサルーンにも採用される上下2分割のヘッドライト「ツイン・サーキュラー&ダブル・ライト」と暗闇で光を放つ新たなキドニーグリル「アイコニック グロー キドニー グリル」の採用だ。

X7の新アイコンとなる「ツイン・サーキュラー&ダブル・ライト」とアイコニック グロー キドニー グリル」。いずれも特別感ある光の演出が特徴だ

 この新ヘッドライトの機能を簡単に紹介すると、上部がターンインジケーターを含むLEDデイタイムライトニングで、下部にはアダプティブマトリックス機能も備えたLEDヘッドライトとなる。このため、上部のライトは、ウィンカー点灯時には、光が白からオレンジへと変化する仕掛けだ。

 モデルラインは標準仕様だと、風格たっぷりなスタイルを備えるラグジュアリー志向の「エクスクルーシブ」と、Mエアロ仕様となるスポーティな「Mスポーツ」を設定する。Mスポーツには、アップグレード仕様となる「Mスポーツパッケージプロ」を新設定。

「Mスポーツブレーキハイグロスブラック」や「Mスポーツエキゾーストシステム」、「Mシートベルト」など、ビジュアル面の強化にだけでなく、走りの質を高めるアイテムも追加されるのは嬉しいところだ。また、新型ではアルミホイールが23インチまで用意されており、迫力満点のドレスアップも可能だ。

リアスタイルでは、テールランプデザインやアンダガード風アクセントのデザインなどを変更

■さらにデジタル感を高めたコックピット

 コックピットの最大の変化は、カーブドディスプレイの採用だ。12.3インチのメーターパネルと14.9インチのコントロールディスプレイを一体化。フレアレスなので、ドライバーの目前にワイドディプレイが広がる未来的な雰囲気となる。

 さらにセンターコンソールに備わるシフトレバーとiDriveコントローラーの周辺がリデザインされ、シフトはコンパクトなレバー式に変更されるなど、すっきりしたものに。グリップ式シフトレバーがなくなったことでフロント周りの空間もより広々した印象になっている。

大型のカーブドディスプレイが備わる新コックピット。助手席側には新たなデザインアクセントが加わった

 シートレイアウトは、2+3+2の7人乗りを基本とするが、オプションで2列目が独立したコンフォートシートとなる6人乗り仕様も用意。6人乗り仕様では2列目と3列目シート間がウォークスルー仕様となるため、車内での移動も楽になる。

7人乗りを基本としたレートレイアウト。2列目が独立した6人乗り仕様も選べる

■主力となるクリーンディーゼルが続投

 標準車となる「xDrive 40d」のパワートレーンは、48Vマイルドハイブリッド仕様の3L直列6気筒DOHCクリーンディーゼルターボエンジンを継続。最高出力352ps、最大トルク720Nmを発揮と性能向上が図られている。このエンジンに、フルタイム4WDのxDriveと8速ATを組み合わせる。

 足回りは、「オートマチック セルフレベリング コントロール付きアダプティブ2アクスル エアサスペンション」と「電子制御ダンパー付きアダプティブ サスペンション」を組み合わせた豪華な仕様が標準装備される。また改良型でも、標準モデルにはガソリン車は用意されない。

 もちろん、フラッグシップモデルにふさわしい先進機能も充実しており、安全機能運転支援システム「ドライビングアシストプロフェッショナル」や完全自動駐車が可能な「パーキングサポートプロフェッショナル」も全車標準となる。

■バージョンアップされたMパフォーマンスモデルを用意

 BMWらしいフラッグシップモデルの世界観を提供するべく、X7にはMパフォーマンスモデルを用意。従来の「M50i」から新型では「M60i」へとアップグレードされている。新フロントマスクに合わせて、Mエアロデザインもリニューアル。より力強さとスポーティさが増した雰囲気は、標準車の持つ快適なフラッグシップSUVのイメージを覆すものだ。

Mデザインのエアロで武装したX7 M60iは迫力満点。ドアミラーもMパフォーマンスミラーキャップとなる

 搭載されるエンジンは、従来同様の4.4L V8DOHCツインターボエンジンだが、48Vマイルドハイブリッド化がトピックのひとつ。スペックは最高出力530ps、最大トルクは750Nmと従来型と同等だが、マイルドハイブリッド化によるアシストによる性能向上が期待できる。

 また、走りを強化するアイテムとしてMスポーツディファレンシャルやMスポーツエグゾーストシステムなどを搭載する。もちろん、4WD仕様となり、8速ATが組み合わされる。その性能の高さを示す0-100km/h加速は、4.7秒と公表されている。

V8をアピールするエンジンカバーを採用したX7 M60i。最大トルク750Nmのパワフルさを誇る

 BMWの新フラッグシップサルーン「7シリーズ及びi7シリーズ」と同時発表された改良型X7。細やかなアップデートは明かされていないものの、デジタル機能の強化と次世代を先取りしたフロントマスクデザインなど、BMW最先端の存在となっている。

 セダンでは満足できないアグレッシブなエグゼクティブの期待に応える好戦的なSUVに仕上がっていることだろう。納車開始は、今年12月以降としているため、早ければ年内に街中で、その雄姿を目撃できそうだ。

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