クルマを運転していると、ときどき「軽車両を除く」といった道路標識を見かけることがある。「軽車両って何? 軽自動車のこと?」などとも思うのだが、どうやらそうじゃないらしい。
そこで教習所で習ったことをもう一度おさらいしよう。いったい軽車両ってなんなんだ?
文/ベストカーWeb編集部、写真/AdobeStock(トップ画像=Diamond Fuji@AdobeStock)
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■まずは道路交通法をおさらい
まずは道路交通法を調べてみよう。第二条の十一項にこう書いてある。
「軽車両 次に掲げるものであつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。
イ.自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)
ロ.原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、車体の大きさ及び構造を勘案してイに準ずるものとして内閣府令で定めるもの」
なんだか難しそうなことが書かれているが、おおざっぱにいえば「原動機(エンジンやモーター)を持たない乗り物全般」のことだ。
具体的には自転車(電動アシスト付きを含む)や観光地などで使われる人力車、リヤカー、馬車などを指す。昭和の名宰相吉田茂は、外務官僚時代に白馬で登庁したというが、馬や牛も現在では軽車両に含まれる。
とはいえ紛らわしいものもある。以下のようなものは軽車両ではないので覚えておきたい。
・車体の小さな自転車、未就学児が乗る自転車(歩行者とみなす)
・車椅子や高齢者の使う手押し車、いわゆる「シニアカー」(歩行者とみなす)
・乗車せず手で押している自転車(歩行者とみなす)
・一輪車やキックボード、スケートボード(遊具とみなす)
■最近増えてきた電動キックボードは?
最近なにかと話題になる電動キックボードは軽車両なのだろうか。現状の道交法では、モーター出力が0.6kW以下なら原動機付自転車、0.6kW以上ならば出力に応じて小型二輪車や普通二輪車へ分類されるため軽車両とはならない。
都市部でみかけるシェアサービス型の電動キックボードだが、こちらは産業競争力強化法という別の法律で規定されていて、実証エリアを走行する限り「小型特殊自動車(農耕機やフォークリフトが当てはまる)」となり、これも軽車両ではない。ヘルメットは任意だが運転免許は必要なので注意しよう。
いっぽう2024年には新道交法が施行されて、最高速度20km/h以下といった一定の条件を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分に分類される。16歳以上であれば免許不要で乗れるが、こいつも軽車両とは別の乗り物となるので頭に入れておこう。
軽車両はあくまで「車両」のひとつなので、道路上ではルールに従わなくてはならない。違反をすれば処罰の対象となるし事故を起こせば刑事責任が問われる。軽車両の交通ルールをまとめると以下のようになるので、これを覚えておくといいだろう。
・前照灯と尾灯を備えなければならない(尾灯は反射板などでも可)
・車道は左側を走るのが原則
・基本的に歩道は走れないが自転車は例外として認められることがある
・道路を右折する時は2段階右折で行う
・追い越す時などをのぞき、並走してはならない
道路上を走る乗り物は複雑化してきており、将来的には前述の電動キックボードはもちろん、無人配送ロボットやマイクロモビリティと呼ばれる超小型自動車なども登場してくる予定だ。こうした環境を安全に走るためにも、軽車両のルールは覚えておくべきだろう。
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