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グレード構成&価格も判明 スバル XV改め新型「クロストレック」は先代から何がどう進化したのか

 2022年9月、スバルのクロスオーバーSUV「XV」の4代目モデルが世界初公開となり、併せて国内向けの車名を北米と同じ「クロストレック」へ統一されることが発表された。

 先代とほぼ同じボディサイズを維持しながらも、見た目と走りでFUN(楽しさ)を追求したという新型に、自動車評論家 松田秀士が試乗。先代のXVとともに、新型のFF、AWDを比較した。

■スバル 新型クロストレックのPOINT
・ボディサイズはXVとほぼ同じで扱いやすい
・グリルが大型化されて高級感が増した
・最低地上高は200mmと悪路でも安心
・2L、水平対向4+モーターのe-BOXERのみ
・X-MODEが進化してさらに使いやすくなった
・新世代アイサイトはスバル車史上最高の性能
・FF、AWDの全車オールシーズンタイヤが標準

※本稿は2022年10月のものです
文/松田秀士、写真/平野 学、SUBARU
初出:『ベストカー』2022年11月26日号

【画像ギャラリー】新しいデザインはあり?なし!? XV改めスバル「クロストレック」走りの様子をギャラリーでチェック!(22枚)画像ギャラリー


■XV改めクロストレックとして再出発

スバル クロストレック。ボディサイズはXVとほぼ同じ4480×1800×1580mm。扱いやすい!

 2010年に3代目インプレッサのクロスオーバーモデルとして誕生した初代インプレッサXVから数えて4代目となるクロストレックが間もなく正式発表される。

 現行の3代目はご存知「スバルXV」というモデル名。

 今回車名変更したのは北米(3代目から販売)での車名「クロストレック」に統一したから。

「クロスオーバー+トレッキング」の意で、街中からアウトドアまでシーンを選ばずクルマと過ごす時間を楽しんでもらいたいのだという。

クロストレックはオールシーズンタイヤを全車に標準装着。ウェット路面でどのようなポテンシャルを見せるか!?

 このようなキャラクターゆえ全車にオールシーズンタイヤを標準装備しているのが興味深い。

 幸か不幸か、試乗当日は雨。風も強い。タイヤ性能を評価するにも絶好のコンディション。

 さらに比較試乗に旧型となるXVにはサマータイヤを装備。そこまでしていいのか? スバル! ということは新型に相当な自信があるということか。

 エクステリアの基本的なデザインはひと目見ただけでXVの進化系とわかる。

 LEDをふんだんに使うなど、全体に彫りが深くなり、都会的な印象だ。とはいえ一般に常態化しているモデルチェンジごとのサイズアップは行わず現行XVと同じサイズ。

 車幅1800mmは国内ユーザーにはうれしい限りだ。

 ところでサイズ変更はしていないのに新型では何をしたのかというと、「FUN」を突き詰めて開発したのだという。

 そのなかで外せなかったのが走りを支える高剛性なボディ。レヴォーグで採用されたフルインナーフレーム構造のスバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用している。

2Lのe-BOXERのみ。2L、水平対向4気筒(145ps/19.2kgm)+モーター(13.6ps/6.6kgm)のスペックはXVと同じ

 さらにスポーティでシュアなハンドリングを実現するために2ピニオン式の電動パワーステアリングが奢られる。

 プリクラッシュブレーキの応答性を向上させる電動ブレーキブースターも備わる。パワートレーンは2L、水平対向4気筒+モーターのe-BOXERのみとなるようだが、FWDモデルが新たに追加されている。

■クロストレック登場もXVの実力を再認識

性能面よりも、FUNな部分の進化にこだわったというだけあって、クロストレックはXVより走って楽しいし、走り自体も洗練されている

 ではまず現行モデルのXVから走り始める。

 ダッシュボード中央に小型ディスプレイを配置したコックピットは機能性を重視したスバルらしいデザイン。

 雨のなかでもその走りは安定性が高く、サマータイヤということもあるがコーナリングも速くよく曲がる。

 モデル末期なのに現在北米で爆発的に販売を伸ばしているという理由がよくわかる。そうか! 新型がデビューしたら現行モデルの中古車は買いだな! と独り言。

 続いて新型のFFモデルに試乗。

 まず驚くのはコックピットのデザイン。レヴォーグと同じ11.6インチのセンターディスプレイが採用され、インテリアを含めすべてが一新されて高級感が格段アップ。

インテリアの質感アップ! シートにも大きなこだわり

 走り始めて気付くのは室内の静粛性。現行モデルより圧倒的に静か。

 ルーフの共振を抑える弾性接着剤を採用するなど、各所に音対策をしているのでウェット路面のザーザー音などが気にならない。

 ただしオールシーズンタイヤゆえか、若干リアが軽い感じでグリップ感が低い。そのぶん切り込めばよく曲がるけど。

新型のFFモデルに試乗。走破性、スタビリティはAWDに及ばないが、乗り心地がよく、街中専用という人にはオススメ

■AWDクロストレックはリアのグリップで安定感増加

 そしていよいよAWDモデルのステアリングを握る。

 コックピットはFFと同じで大きなセンターディスプレイが今時の流行を物語る。走り始めるとAWDモデルはFFとは異なるリアのグリップ感。

 コーナーに高い速度で飛び込んでも全体にスタビリティ(安定性)が高い。

AWDモデルに試乗。4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールする「X-MODE」は従来40km/h以上になると自動解除されていたが、新型では35km/hを下回ると自動復帰する制御を採用

 もちろんタイヤはFFと同じオールシーズンタイヤ。

 これぞスバルのシンメトリカルAWDと言わんばかり、直進安定性が高くリアがしっかりグリップしているのに奥の深いコーナーでもよく曲がる。

 新しくなったエクステリアデザインからもAWDがよく似合う。

グレード名は公表されていないが、装備で差別化された標準グレードと上級グレードの2タイプがあり、それぞれにFFとAWDが設定される

 ところでクロストレックは多くのシステムをレヴォーグからキャリーオーバーしているので、アイサイトも広角タイプの新型ステレオカメラを搭載している。

 そしてさらに広角の単眼カメラが追加されていて、二輪車/歩行者へのプリクラッシュ性能がアップしているという。この単眼カメラは今後レヴォーグにも展開する予定だという。

 走りの楽しさとデザイン、快適さと安全性をアップして登場するクロストレック。大きく進化しているぞ!


【番外コラム】クロストレックに進化してココが変わった!!

 上級グレードに標準装備される11.6インチセンターインフォメーションディスプレイはレヴォーグよりも進化。

 群馬大学と共同開発したシートはこだわりの逸品で、骨盤を支える構造により乗り心地を高めると同時に疲労軽減、安全性の向上にも貢献する優れもの。

 レヴォーグと同じステレオカメラに加え、車両付近の人物や二輪車を識別できる広角単眼カメラを日本のスバル車として初採用し、アイサイト史上最高のプリクラッシュブレーキ性能を実現。

新世代アイサイトを搭載

 ドライバーの異常を検知するシステムはクロストレックで初採用。ただし、アイサイトXのハンズオフ機能はない。

 ハイ&ロービーム、ポジションに加えてターンランプもLED化。約35km/h以下の速度で作動するLEDコーナリングランプをスバル車で初採用。

スバル車初のフルLEDヘッドランプ

 交差点などで進行方向を照らすため安全に大きく貢献。これは上級グレードに標準装備される。

 標準グレードは従来のバルブタイプだが、オプションで装着可能だ。

●スバル クロストレック(上級グレード AWD)主要諸元
・全長×全幅×全高:4480×1800×1580mm
・ホイールベース:2670mm
・室内長×室内幅×室内高:1930×1505×1200mm
・車両重量:1610kg
・最低地上高:200mm
・最小回転半径:5.4m
・パワーユニット:2L、水平対向4気筒+モーター
・エンジン最高出力:145ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:19.2kgm/4000rpm
・モーター出力:13.6ps/19.2ps
・タイヤサイズ:225/55R18 オールシーズン

(※追記。販売店情報によると、新型クロストレックのグレードは標準の「ツーリング」と上級の「リミテッド」の2グレード構成。各グレードにFFと4WDを設定しており、「ツーリング」のFFが税抜き242万円~、同4WDが税抜き262万円~となる。ツーリングは17インチタイヤ装着が標準に。また「リミテッド」はFFが税抜き279万円~、4WDが299万円~で、リミテッドのタイヤは18インチとなる模様だ)

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