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 フォルクスワーゲン(VW)のホットハッチ「GTI」シリーズの弟分であるポロGTIが、ポロに続き、マイナーチェンジを受けた。標準車同様に、フェイスリフトを含むエクステリアの変更に加え、機能もアップデートされた。無論、VWの高性能車として名を馳せたGTIブラザーズの一員だけに、性能の磨き上げにも抜かりはない。マイチェンを受けたポロGTIの進化のポイントを解説する。

文/大音安弘、写真/フォルクスワーゲン グループ ジャパン

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■全方位で進化を果たしたニューポロGTI

 フォルクスワーゲングループジャパンは2022年11月21日、コンパクトハッチバック「ポロ」の高性能モデル「GTI」のマイナーチェンジを発表し、同日より販売を開始した。新価格は、411万3000円だ。

 新ポロGTIは2022年6月に先行して、マイナーチェンジを受けた新型ポロをベースとしたもので、エクステリアの刷新に加え、上位モデルより受け継いだ先進安全運転支援機能の搭載などが行われた。もちろん、GTIを名乗るだけに性能面でもアップデートが図られている。

■フェイスリフトでゴルフGTI譲りのフロントマスクに……

 エクステリアでは、先進的デザインとより鮮明な視界を提供する「IQ.LIGHT」を標準搭載し、ヘッドライトとフロントグリルを一直線で結ぶLEDライトによる新たなシグネチャーが追加された。

 GTIグリルとの組み合わせで、よりスポーティな顔立ちとなっているが、さらに注意を引くのはフロントバンパーだ。ロアグリルが、ゴルフVIIIGTIと同様のハニカムメッシュデザインとなり、兄貴分のGTIとの親和性も高まっているのは、GTIファンには嬉しいニュースだ。

ゴルフⅧGTIとの親和性の高いハニカムグリルデザインを採用し、より力強いスタイルになった

 リアスタイルでは、LEDテールランプデザインが一新され、ワイドスタンスを強調。GTIエンブレムも、控えめなサイド配置から中央配置へと変更し、特別感をアピールする。

 全体的な迫力は増しているが、ボディサイズは全長4085×全幅1750×全高1430mmと、従来型との比較で全幅が+10mm、全高が-10mmと変化しているが、ほぼ同等といっていい範囲だ。

テールランプの拡大で、迫力を増したリアスタイル。よりワイドとなった印象だが、全幅はしっかりとキープする。

■性能を強化したGTIパワーユニット

 力強い走りを司る専用パワーユニットは、2L直列4気筒DOHCターボエンジンだが、エンジン変更を受けてパワーアップ。最高出力が+7psの207ps/4600~6000rpmに。最大トルクは320Nmのままだが、発生回転域が1500~4500rpmとよりワイドに。従来型と比べ、圧縮比も高められている。

 また、もうひとつの大きな変更が、トランスミッションだ。DCTタイプのDSGであることに変わりはないが、1速追加された7速ギアとなり、加速のよさはそのままに、高速域での燃費向上と静粛性を高めている。

パワーアップとさらなる多段化で走りにも磨きを掛けた新ポロGTI

 機能面では、足回りは専用のスポーツサスペンションだが、従来型で標準だったアクティブダンパーを備える「“Sport Select”シャシー付スポーツパフォーマンスキット」がオプション化に。

 新型では、18インチアルミホイールと215/40R18タイヤとの組み合わせで、12万1000円高となる。標準の17インチか、アクティブダンパー付きの18インチか、購入検討者は大いに悩むことになりそうだ。

■デジタル機能が強化されたコックピット

 インテリアでは、デジタル機能を強化。従来型ではオプションだったデジタルメータークラスターが、アップデートされた「Digital Cockpit Pro」に進化し、標準化。セットオプションだった「スマートフォンワイヤレスチャージング」も備わる。

レイアウトは同じだが、デジタルメーターやインフォメーションシステム、エアコンパネルは最新仕様にアップデートされている

 先進機能は、ポロシリーズのなかでも充実した内容を誇るGTIだが、標準車も安全機能が強化されたことで、より充実。同一車線内全車運転支援システム「Travel Assist」を初め、後側方接近車警告機能のレーンチェンジアシスト「Side Assist Plus」、ステアリング操作を自動化した駐車支援機能「Park Assist」などの上級機能もしっかりと押さえている。

 シートデザインは、GTI伝統の赤いタータンチェック柄を継承。ステアリングデザインは、新タイプに変更されながらも、お約束の赤のステッチ入りに。ATシフトレバーも新デザインのものとなる。

 この新シフトレバーでは、シフトパターン表示が、シフトサイドからシフトレバー上に変更されている。また、クルマ好きからは使いやすさに定評のあるハンド式サイドブレーキレバーは健在だ。

伝統の赤いタータンチェック柄のシート。もちろん、形状はスポーツタイプとなる

■ポロGTIでも価格は400万円越えに

 最大の悩みは、400万円越えの価格だろう。装備や仕様が異なるとはいえ、導入当初の344万8000円と比較すると、66万5000円アップにもなる。ただ、標準車も大幅な価格上昇が見られ、消費税が10%に増税されたこともあり、致し方ないところもある。

 そこで最新ポロのなかでのコスパに注目してみた。マイナーチェンジを受けた新型ポロの標準車のスポーティグレード「R-Line」との価格差は、81万4000円にもなるが、最新のR-Lineは、従来型の1.5L TSIエンジンではなく、ほかの標準車と同じ1.0L TSIとなった。

 エンジンの優位性がない今ならば、いっそ背伸びしてGTIを選ぶほうが満足度は高い。ただ、そこまで予算を上げると、ゴルフGTIの存在も気になる。しかし、ゴルフGTIは、今や500万円に迫る486万2000円のプライスを掲げる。

 同じGTIでも、ポロとゴルフの価格差は、74万9000円もある。そうなればエンジンスペックだけを見れば、ポロGTIのコスパがよく思えてくる。改良型ポロGTIの実力次第では「エントリーGTIこそ、ベスト」という意見も聞こえてきそうだ。

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