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 2022年11月30日。北海道や東北の山間部などでは翌12月1日にかけて最大30cmの積雪などの大雪が予報されている。もちろん降雪地域の皆さんはすでにスタッドレスタイヤを装着済みかと思うが、首都圏をはじめ「まだ大丈夫でしょ」と思っている方は多い。

「夏タイヤでも雪道なら大丈夫」とか「ちょっとそこまでなら問題ない」とかよくわからない根拠で自信を持っていませんか!? 雪道での夏タイヤ運転、絶対ダメ!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカー編集部、横浜ゴム

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■スリップで傷つくのは自分だけじゃない

北海道でタイヤテストをする機会が多い編集部。この写真は横浜ゴムの「アイスガード7」で旭川の山間部を走行中。黒い部分は轍に見えるがブラックアイスバーンだったりする

 2022年11月30日、夜更けから12月1日にかけて北海道や東北で大雪予報が発表されました。当然ながら東北各県、そして新潟、長野など中信越の地域では早めにスタッドレスタイヤ装着を完了しているドライバーが多くいることと思います。

 いっぽうの首都圏など年に数回しか降雪しない地域では「ちょっとくらい平気だろう」という認識のオーナーが多く、未だに降雪時には坂道で立ち往生するクルマが後を絶ちません。

 そもそもの話になるが降雪時に雪道用タイヤを装着しないで走行をすると、都道府県道路交通法施行施工細則などの規定により違法状態となります。また反則金の有無についてだけではなく、雪道でスリップした際に自損事故で済むとは限りません。

 当然ながら他車との衝突、そして歩行者を巻き込んだ人身事故に発展する恐れもあります。その際の処分についても雪道を夏タイヤで走っていれば当然ながら運転者の過失も大きくなることは間違いありません。

首都圏のドライバーが注意したいのが積雪翌朝の凍結だ。画像は旭川市内の様子だが、雪道に慣れていないと黒い部分が安全に見える。しかし実際はツルツルの凍結路面なのだ

■進んでも止まれない!! 驚愕の夏タイヤの雪道性能

 JAFが2017年に行ったテストによれば夏タイヤとスタッドレスタイヤの制動距離(ブレーキをかけてから停止するまでの距離)はかなりの開きがありました。

 40km/hからの制動テストでは圧雪路でスタッドレスタイヤの制動距離は17.3m。一方の夏タイヤは29.9mとスタッドレスタイヤよりも12m以上の制動距離を要しています。12mといえば自動車2台以上の間隔であり、いざという時にこの差は大きいのではないでしょうか。

圧雪路は雪の抵抗がある分、夏タイヤでも発進することができる。しかし止まることに関しては危険だ。冬の道路を夏タイヤで走行することは絶対に避けたい

 さらに氷盤路で言うとスタッドレスタイヤの78.5mに対して、夏タイヤはなんと105.4mと30m近い制動距離の差がありました。これは40km/hのテストなので車速が上がっていけば当然ながら制動距離はどんどん伸びていきます。

 夏タイヤで雪道を走ることの恐怖はお分かりいただけたと思います。

■シーズンインの雪道ではスタッドレスタイヤを使いこなす「試し走り」を

道路状況が使みにくい雪道。そこでスタッドレスタイヤの性能を生かすには、ドライバーの感覚とスタッドレスタイヤの性能をアジャストしておく必要があります

 もし降雪地域の方でスタッドレスタイヤを装着して明日が初めての雪道なら、後続車がいないことや周囲の安全を十分に確認したうえで「強めの加速」、そして「強めのブレーキ」をしてみることをおすすめします。

 路面の状態と、タイヤのグリップ性能を体感するためで、せっかくのスタッドレスタイヤを生かすのには大切な試みになります。もちろん周囲の交通状況への配慮を忘れずに。

 年々スタッドレスタイヤの性能は向上していきますが、いくらスタッドレスタイヤが高性能になろうと物理の法則には逆らえません。急加速、急ブレーキ、急ハンドルなど「急」のつく操作は避けて安全な雪道走行をお願いします。

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