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アウトバック フォレスター アウトランダーPHEV RAV4… 最低地上高200mm以上の人気国産SUV13台の実力診断

「最低地上高」とは車両の最も低い位置と路面との距離のことをいう。

 最低地上高が高い最大のメリットは、オフロードを走ったりする時に「腹打ち」しにくく、走破性が高くなる点にある。

 厳密にいうと、オフロード性能はアプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプオーバーアングル、悪路でも確実にトラクションを得ることができる4WD性能を備えていることが重要で、たっぷりとした最低地上高はその最低条件と思っていい。

 普段オフロードは走らないという人でも、災害などに遭う確率はゼロではなく、最低地上高が高いと力強い味方になってくれることもある。

 一般にオフロードを走る場合は、最低地上高は180mm程度欲しいと言われるが、本企画では、それを凌駕する最低地上高200mm以上の国産SUVの走りの実力について徹底診断する!!

※本稿は2022年8月のものです。※星の後ろの+は5点満点を突き抜けるレベルを意味します
文/鈴木直也、斎藤聡、松田秀士、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年9月10日号

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■トヨタ ランドクルーザー(最低地上高225mm/510万~800万円)

ランドクルーザーには走破性能を最大限に引き出すためマルチテレインセレクトが装備される。AUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP SNOW/ROCKの6つのモードを自在に選択できる優れもの

 言わずもがなだけど、ランクル300の凄いところは悪路走破性とタフネスだ。これは歴代ランクルすべてに共通するDNAで、地球上で最も過酷な環境で酷使されることを前提に造られている。

 だから、市街地などで使うと過剰な部分はもちろんある。たとえば、オンロードでの乗り心地や軽快感は、同じセグメントのベンツGクラスやレンジローバーほど洗練されていない。

 そりゃま当然で、シティユースならモノコックやビルトインフレーム構造などで軽く造って、足回りには軽量アルミパーツを使えばいい。ランクル300ほどヘビーデューティに造る必要はない。

 しかし、絶対的な信頼性こそが、ランクル300の譲れないテーマ。ランクルは世界中の過酷な現場に向けた、実は「働くクルマ」なのだ。

 だから、これだけ高度なオフロード走破能力を備えたクルマなのに、エントリー価格510万円! 常識では考えられないコスパの高さだよね。

●トヨタ ランドクルーザー採点
・オンロード性能:★★★★☆
・オフロード性能:★★★★★+
・コストパフォーマンス:★★★★★+

(TEXT/鈴木直也)

■スバル フォレスター(最低地上高220mm/293万7000~330万円)

スバル フォレスター。SGP+低重心かつ優れた重量配分でハンドリングがよく、e-BOXERで気持ち加速がオンロードで感じられる

 SGP+低重心かつ前後左右の重量配分に優れたシンメトリカルAWDの基本レイアウトはスバル車に共通で、フォレスターの魅力は、4輪の駆動力、ブレーキなどを適切にコントロールしてくれるX-MODEとe-BOXERだ。

 e-BOXERは燃費志向ではなく、重いフォレスターに瞬発力を与えるなど、走りを活性化。オンロードでは気持ちのいい加速感と低重心を活かしたシャープなハンドリングが魅力で、オフロードは220mmの最低地上高により悪路の登りなどで威力を発揮。

 価格が安く、ミドルクラスSUVでピカイチのコスパだ。

●スバル フォレスター採点
・オンロード性能:★★★★
・オフロード性能:★★★★
・コストパフォーマンス:★★★★★

(TEXT/松田秀士)

■スバル レガシィアウトバック(最低地上高213mm/414万7000~429万円)

レガシィアウトバック(スバル)は50:50に近い前後重量配分を持ち、ドライブシャフトを等長にすることでオフロード性能を発揮する

 レガシィをベースとするだけにオンロードにおける走りのパフォーマンスは言うまでもない。

 FRベース車のようにエンジンを縦置きにすることで重いトランスミッションを車体中心に近づけてマウント。これによって前後荷重配分が50:50に近づき、シャープでバランスのいいハンドリングを達成しているのだ。

 また前後のドライブシャフトを等長とすることで駆動トルクの不均等を解消、これがオフロードや滑りやすい雪道などで威力を発揮するシンメトリカルAWDだ。インテリア質感を含めコストパフォーマンスも高いモデル。

●スバル レガシィアウトバック採点
・オンロード性能:★★★★
・オフロード性能:★★★
・コストパフォーマンス:★★★★☆

(TEXT/松田秀士)

■三菱 アウトランダーPHEV(最低地上高200mm/462万1100~532万700円)

アウトランダーPHEV(三菱)のリアモーターはフロントモーターとほぼ同等のパワー/トルクを発生する

 リアモーターが高パワー/高トルクの電動AWD。一般的にリアの駆動を電動化したモデルの弱点はそのトルクの貧弱さだが、このクルマはフロントモーターとほぼ同等のパワー/トルクを発生するリアモーターが採用されている。

 これはもちろんプラグインハイブリットゆえの豊富な電力量によるもの。さらにモデルチェンジで発電エンジン(駆動もするが)をよりパワフル化したことも大きい。

 このAWDの走行性能はオンロードでもアジリティの高いハンドリングだ。100V/1500Wの電源を備えた利便性の高さも魅力。

●三菱 アウトランダーPHEV採点
・オンロード性能:★★★★☆
・オフロード性能:★★★★☆
・コストパフォーマンス:★★★★★

(TEXT/松田秀士)

■マツダ CX-5(最低地上高210mm/267万8500~407万5500円)

CX-5(マツダ)は雪道や泥濘の登坂でしっかりした走りを見せる。もちろんオンロード性能も高く元レーシングドライバーも高い評価を与えるほどだ

 初代から現行になってさらに質感がアップした。210mmの最低地上高を生かしたオフロード性能はマツダ独自の4WDマネージメントによって雪道や泥濘の登坂でしっかりした走りを見せる。

 もちろんオンロード性能も高く、シャープで粘り腰のコーナーリング性能は筆者のような元レーシングドライバーも高い評価を与えるほど。ハンドリングの高さは言うまでもない。

 さらに内外のデザイン性が高く、所有することの喜びも大きく、その点輸入モデルに引けを取らない。ディーゼルもあり、コスパも高い。

●マツダ CX-5採点
・オンロード性能:★★★★☆
・オフロード性能:★★★★
・コストパフォーマンス:★★★★

(TEXT/松田秀士)

■スズキ ジムニー(最低地上高205mm/155万5400~190万3000円)

オフロード車と言えばジムニー(スズキ)!! 20年ぶりのフルモデルチェンジでロングドライブをこなせるほど乗り心地が向上した

 軽自動車でありながら本格的な4×4システムを持っているジムニー。20年ぶりのフルモデルチェンジとなったジムニーの最大の進化のポイントは快適性だ。最近の軽自動車のプラットフォームの進化は華奢だった骨格を高剛性化し軽自動車の走りを一新した。

 ジムニーも例にもれず進化した結果、サスペンションが格段にスムーズに動くようになり、ロングドライブだって楽しくこなせるくらい乗り心地がよくなった。

●スズキ ジムニー採点
・オンロード性能:★★★
・オフロード性能:★★★★★
・コストパフォーマンス:★★★★★

(TEXT/斎藤聡)

■スズキ ジムニーシエラ(最低地上高210mm/186万3400~208万4500円)

ジムニー&ジムニーシエラはラダーフレーム+リジッドアクスル式サスを伝統的に採用。その強靭さが世界から愛され続けている理由

 シエラはジムニーとプラットフォームを共有するがトレッドが広くそのぶん乗り心地がしなやかに。

 搭載される1.5Lエンジンは102psと出力は控えめだがそれでも1100kgを切る軽量ボディには充分。

 ジムニー、シエラともにヒルホールドコントロールやヒルディセントコントロール、ブレーキLSDトラクションコントロールなど電子制御が導入されたことで、実はオフロード性能も大きく進化!

●スズキ ジムニーシエラ採点
・オンロード性能:★★★★
・オフロード性能:★★★★★
・コストパフォーマンス:★★★★★

(TEXT/斎藤聡)

■トヨタ RAV4(最低地上高200mm/277万4000~539万円)

RAV4(トヨタ)は2.5LのHV&PHVと2Lガソリンが用意されているが、2Lガソリンモデルはオフロードも積極的に走りたい辛口SUV

 FFもあるが主力はAWD。2.5LのHV&PHVと2Lガソリンが用意されている。

 PHVはオンロードでパフォーマンスを発揮。モーター駆動の強力な加速は思わず声が出るほど強力。

 2Lは、オンロードでの快適性も備えながらオフロードも積極的に走りたい辛口SUV。

 特に上級グレードのアドベンチャーとZパッケージには、後輪左右のトルクベクタリングと前後トルク配分、ブレーキLSDを組み合わせたダイナミックトルクベクタリングAWDが搭載され、オンデマンド式AWDとして最も優れた悪路走破性を持つ一台。

●トヨタ RAV4採点
・オンロード性能:★★★★
・オフロード性能:★★★★★
・コストパフォーマンス:★★★★★

(TEXT/斎藤聡)

■まとめ

 最低地上高が200mm以上の現行国産SUV13台のオンロード/オフロード/コストパフォーマンスについて個別に診断してきたが、どのクルマもそのポテンシャルの高さがわかったはず。

 しかしいざ手に入れようと思っても、新型コロナ禍、半導体などの部品供給の遅れにより、ランドクルーザー、レクサスLXはオーダーストップになり、ジムニー&ジムニーシエラは長い納車待ちが続いているし、そのほかのモデルも納車は長い。

 常識的な納期となる日をベストカーは心待ちにしている。


【番外編コラム01】日本未発売のマツダCX-50に乗った!!

CX-50はマツダのSUVで最もワイルドな雰囲気を持つ

 CX-50はマツダの北米専用モデルで、CX-5の兄貴分。ただし、中身はCX-30と同じスモールアーキテクチャで、ホイールベースを159mm、全幅を125mm広げてアメリカンサイズに仕立てている。

 ところが、このサイズアップがCX-50を野生的でカッコよく見せている。試乗したのは 2.5Lターボで、256hp/44.3kgmというスペック。グイグイくるトルク感と、CX-30に比べるとゆったり目のハンドリングが、いかにも大陸的で魅力的だったなぁ。

(TEXT/鈴木直也)

【番外編コラム02】日産 新型エクストレイルは2WDのみ最低地上高200mm

旧型エクストレイルは最低地上高200mmを超えていたが、新型は2WDのみ200mmだ。e-4ORCEのおかげでオフロード性能にも期待できる

 旧型エクストレイルの最低地上高は、ガソリンモデルが205mm、ハイブリッドが200mmだったが、1.5LのVCターボe-POWER専用車となった新型は、2WDが200mm、2モーター4WDのe-4ORCEが185mmとなっている。

 オンロードでのe-4ORCEのコントロール性の高さ、トラクション性能、安定感からもオフロード性能が極めて高いのは確実。楽しみな一台だ。

【番外編コラム03】FJクルーザー中古車情報

FJクルーザーは過去をオマージュしたパイクカーと思われがちだが最高レベルのオフロード性能を有す

 FJクルーザー(トヨタ)は2006年3月に北米でデビュー。日本では2010年12月から2018年1月までの約7年間販売された。

 ランクルプラドと共通のラダーフレームに4L、V6を搭載するパートタイム4WDは悪路走破性に優れ、最低地上高は230mm! FJ40をオマージュしたレトロなデザイン、観音開きドアの採用など根強い人気を誇った。

 中古車相場は150万〜530万円と幅広く、安いモデルは低年式かつ15万kmオーバーのモデルも目に付く。タマ数は豊富にあるが、人気が高まっていて相場は上昇傾向にある。左ハンドルの並行輸入車は、日本にない6AT+フルタイム4WDを買う以外はオススメしない。

(TEXT/編集部)

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