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父の実家は寺であるのに、わたしはなぜか神社が好きだ。理由はよくわからないけれど、鳥居や狛犬(こまいぬ)や、少しだけ非日常の気配に心が安らぐ。だから運動を兼ねて、しばしば神社に出かけ、そしてお賽銭(さいせん)を入れるたび、ある泥棒の記憶がよみがえる。もうずいぶん前のこと、新聞に賽銭…