宮内庁は30日、来年度予算案の概算要求を発表し、SNSなどで積極的に発信していくことを明らかにした。この件について、SNS上の誹謗中傷問題など詳しい国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)准教授の山口真一氏に見解を聞いた。
宮内庁では今後、積極的な広報展開の体制整備として、参事官1人の新設や職員2人の増員を行うという。具体的にどの媒体を使うかは決まっていない。
毎日新聞などの報道によると、担当者は
宮内庁が積極的に情報発信すべきだとの声があった。SNSという新しい媒体などを検討し、情報発信を進める
今まで以上に宮内庁で正しい情報を積極的に提供して、より正しい姿を国民にお伝えする必要があるのでは、という声も踏まえて今回要求した
などと話している。宮内庁がここにきてSNS発信を始める背景の一つには、近年、眞子さんと小室圭さんの結婚を巡る騒動などで週刊誌によるスキャンダル報道が相次いだこともありそうだ。
今回の宮内庁の取り組みについて、山口氏は「意義のある興味深い取り組み」と前向きに評価した上で、こう語った。
コロナ禍で行事などが中止になり、各地に直接出向くことが難しいなかで、国民との距離を縮める意義があると言えます。また、誤った情報や誤解を招くような情報について、宮内庁として正しい情報を伝えることもできる意義も大きいでしょう。
イギリスやスペイン、オランダ、デンマークなどヨーロッパの王室ではすでにSNSの活用が進んでおり、決して珍しい取り組みではないという。
英国王室ではエリザベス女王がイギリスの代表的キャラクター『くまのパディントン』と一緒にお茶会をしている様子を投稿したり、過去の歴史的な秘蔵写真を公開するなど、王室の品位を落とすことなく上手に活用しています。
品位を保った上で国民に親しみを持ってもらうというのは、なかなか塩梅が難しい。特に心配なのは、クソリプと呼ばれる心無い投稿が寄せられる可能性が高い点だ。
多少の問題は起こりうることですが、問題を加速させるのは結局オールドメディアであることも多い。一般論ですが、個人の見た目や人間性といった部分にまで踏み込んだ報道は、誹謗中傷と紙一重であり、今後も十分注意が必要です。
イギリス王室では、SNSでの対応についてガイドラインを設けているという。
メーガン妃に対して、SNS上で誹謗中傷が殺到しました。その後、イギリス王室は2019年にガイドラインを策定・公開しています。
ガイドラインでは、指針に従わないユーザーをブロックする権利を有していると述べているほか、必要に応じて司法機関と協力して、捜査してもらうと明記している。
SNSの運用は、今のところ2023年4月開始を想定しているという。どんな投稿が見られるのか、期待したい。