台湾の国防部(国防省)は1日、中国・福建省近くの金門群島の空域に中国の民生用と見られる無人機(ドローン)が侵入したため、撃墜したと発表した。ロイター通信などが伝えた。
撃墜は12時3分に行われた。防衛区域の安全を維持するため、今後も調査と監視を継続するという。
台湾軍は30日、金門島付近の上空を旋回していた中国のドローンに実弾による警告射撃をしたばかりだった。台湾軍によるドローン撃墜は初めて。中国外交部はこれまで、中国のドローンが金門島付近を飛行し撮影などを行っていることについて、次のように答えていた。
中国のドローンが中国の領土を飛んだ。何ら大げさに騒ぐようなことではない。
また、31日にはこう表明していた。
台湾は中国の省の一つであり、「国防部」などというものは存在しない。台湾当局が緊張を煽ったところで、何ら意味がない。
中国の大手紙「環球時報」特約評論員の胡錫進氏は、ドローン撃墜のニュースが流れた1日、英語で以下のようにツイートした。
伝えられるところによると、撃墜された無人機は人民解放軍のものではなく、本土の民間無人機愛好家のものです。しかし、撃墜により、海峡の状況は、問題を解決するために発砲を使用するレベルにまで引き上げられます。台湾側はその結果を負担しなければなりません。(グーグル翻訳による)
The drone that was reportedly shot down definitely does not belong to PLA, but belong to mainland civilian drone hobbyists. But the shooting down will raise the Straits situation to the level of using opening fire to resolve issues. Taiwan side will have to bear the consequences. pic.twitter.com/pOKf2c8daN
— Hu Xijin 胡锡进 (@HuXijin_GT) September 1, 2022
問題解決のために「発砲が必要なレベル」と言及しており、穏やかではない。
一方、台湾メディア「中央通訊社」は撃墜を伝える記事で、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官の31日の発言を次のように引用した。
中国共産党が台湾海峡周辺で不必要な軍事的侵略や独断による脅迫行為を行っていることを考慮すれば、台湾の指導者の憂慮は理解できるものだ。米国は長年に渡り、どちらか一方による行動や武力による現状の改変を支持していない。これが我々の目下の政策である。
1日夜には西側メディアにやや遅れて中国のネット空間でも「撃墜」のニュースが伝えられた。中国のネット上では、次のように伝えられた。
台湾がドローンを打ち落としたことは両岸にとっての「最初の一発」であり、深刻な結果を招いたことについて、台湾は全面的に責任を負うことになる。
台湾が中国のドローンを撃墜し、挑発的な行動を実施したのであれば、事態の性質は変わってくる。人民解放軍はさらに厳格な対抗措置を取り、台湾も代償を払うことになるだろう。
台湾海峡は緊張状態が続いており、今後も注視する必要がありそうだ。