家庭の電気代が高騰している。政府は補助金の支出などを検討しているようだが、筆者は過度な期待を抱かず、エアコンの暖房温度を下げるとかテレビを消すとか、ケチケチ作戦に大わらわだ。
そんなことを考えて交差点で信号待ちをしていたら、ふと疑問が浮かんだ。「この信号機だって電気使ってんじゃね?」「信号機ってどのくらい電気食うのだろう?」。思いついたら確かめずにはいられない。読者を代表して東京都の信号機の運用元である警視庁に、「信号機の電気代っていくらですか?」と聞いてみた!
文/ベストカーWeb編集部、写真/Adobestock(トビラ写真=正人 竹内@Adobestock)、ベストカーWeb編集部
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東京都内にある信号機の数は1万6002基!
「警視庁に聞いてみた!」と元気よく書いてはみたものの、筆者も最初は信号機をどこが管理しているのか明確に知らなかった。「市道、県道、国道で管理者が違ったりして?」などと考えたりもしたのだが、調べてみたら「各都道府県の公安委員会が設置・管理する」というのが正解。とはいえ実際の運用を行っているのは各都道府県警察(東京都の場合は警視庁)なので、警視庁の広報部にお尋ねしたというわけだ。
関連する疑問にも回答いただいたので、早速ご紹介しよう。
Q:そもそも東京にはどのくらい信号機があるのですか?
令和4年3月末日時点で、信号機は1万6002基が設置されているとのこと。東京都の面積は2194平方kmなので、1平方kmあたりおよそ7.3基の信号機が設置されている計算になる。ちなみに令和3年末時点での全国の信号機の数を比べてみると意外な順位が出た。1位が帝都・東京なのは当然としても、2位は愛知県の1万3171基、3位は北海道の1万2956基で、大阪は4位の1万2339基となるのだ(全国総計は20万7421基)。信号がないという印象の強い北海道だが、碁盤の目のような都市部に多くの信号機が設置されているということだろうか。
Q:信号機の運用にかかる電気代はいくらですか?
標準的な交差点ひとつの年間電気料金を調べたところ、約25万円(令和4年8月現在)になるとのこと。ここからは編集部の勝手な試算だが、一般的な十字路の交差点に4つの信号機があるとすれば、1基あたり6万2500円、1か月あたりの電気代はおよそ5208円ということになる。ちなみに東京都内の信号機は、2017年に100%LED化を完了しているとのことで、旧い電球式に比べると6割ほどのコスト削減につながっているそうだ。
いかがだろうか。筆者はこの数字を始めてみたとき、「意外と電気代かかるんだなあ」と感じた。信号機のことを「LEDライトの延長だろ?」程度に考えていたからだ。しかしちょっと考えてみれば、それが間違いであることが分かる。信号機は交通管制センターなどとつながっていて遠隔制御も可能だし、24時間365日稼働させられるための冗長性も求められる。通信機能を備えた小さなコンピュータがLEDを制御していると思えば、1か月5000円余という電気代は高くはないと考えなおした。
なお、ひとつの交差点にかかる費用は信号機の電気代だけではない。信号機の通信回線や保守点検にもコストがかかるうえ、信号機以外の感知器や交通監視カメラといった機器もあるからだ。それらをすべてあわせた経費は、1交差点あたり年額で平均44万円になるとのこと。ぎょへー。交通の秩序と安全を維持するため、交差点ひとつにもこれだけの費用がかかることを、私たちドライバーはもっと知っておくべきかもしれない。
Q;信号機のトラブルや運用上の留意点を教えてください。
最後に、信号機が作動しなくなる不具合について聞いてみた。信号機の運用にあたっては、信号動作は正常か、腐食や損傷がないか、電源電圧などに電気的な異常がないかといった点に留意して行っているとのことだが、それでもトラブルは起こるようだ。主な原因は「信号制御機の故障」「交通事故による損壊」「落雷による障害」とのこと。信号機のLED自体は非常に長寿命だが、制御側の不具合で点灯しないということは起こり得るそうだ。自らの安全のためにも「信号機は消えることだってある」ということを念頭において、クルマを運転すべきだろう。
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