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 メルセデスベンツのEVブランド、「メルセデス・EQ」に、高級車の大定番であるセダンが初登場。しかもフラッグシップのSクラス級「EQS」とミドルクラスのEクラス級となる「EQE」の二車種を、同時上陸させる大胆な戦略に出た。

 しかもEQモデル初となる外部給電機能や高性能仕様のメルセデスAMGの設定など、新たな展開も見せている。メルセデスベンツが自信を持って導入を行う次世代ラグジュアリーセダンの詳細をお届けしよう。

文/大音安弘、写真/メルセデスベンツ日本

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■メルセデスベンツのEVセダン「EQS」と「EQE」を同時発表へ

 メルセデスベンツ日本は2022年9月29日、メルセデスベンツの電動車ブランド「メルセデス・EQ」シリーズ初となるセダンの「EQS」と「EQE」を発表した。

 価格はEQSが1578万~2372万円。EQEが1248万~1922万円となる。なお、EQEのエントリーモデル「EQE 350+」のみ右ハンドル仕様となり、ほかのモデルは、ステアリング位置の左右の選択が可能だ。

メルセデスベンツのEVにも、高級車の大定番であるセダンが登場。写真はフラッグシップセダンとなる「EQS」だ

 メルセデスベンツの電動車ブランド「メルセデス・EQ」では、コンパクトSUVである「EQA」、コンパクト3列シートSUV「EQB」、ミドルサイズSUV「EQC」とSUVを中心に投入を行ってきたが、今回の発表で、セダンラインアップが加わることになった。

 各々のワールドプレミアは、「EQS」が2021年4月の中国・上海モーターショーにて、「EQE」が2021年9月にドイツにて行っており、その後、各々にEVモデル初となる高性能車「メルセデス・AMG」モデルが設定されることも発表ずみ。そのため、日本のメルセデス・ベンツファンにも根強い人気を持つセダンを積極的に展開していくことを示すべく、異例の2車種の同時発表を決断したようだ。

■EV専用プラットフォームを初採用

 メルセデスベンツの新EVセダンの最大の特徴は、EV専用プラットフォームの採用だ。これまでのSUVのEVはエンジン車のプラットフォームを活用したものに対して、セダンのEVはプラットフォームを新開発することで、EVに適したボディ構造による高い安全性とロングホイールベースによる広々したキャビンなどの新たなメリットを生み出している。

 それらのメリットは内外装にも影響を与えており、特にエクステリアではエネルギー効率や静粛性の向上にも貢献。フラッグシップセダン「EQS」では、量産車最高値となるCd値0.20を実現させている。

EV専用プラットフォームによる理想的な構造が追求。電費や静粛性に効果的な空気抵抗の大幅な低減も実現。EQSの場合、量産車最高値となるCd値0.20を記録した

■EVとしても驚きの超未来的なコックピット

 メルセデスベンツとして初となるコックピットデザインも見所のひとつ。それが「MUBXハイパーディスプレイ」だ。EQSとEQEに採用される新スクリーンなのだが、なんとダッシュボード全体にモニターが広がる大胆な構造となっている。

 具体的には、メーターパネルを中心としたコックピットディスプレイ、有機ELメディアディスプレイ、助手席側の有機ELフロントディスプレイの3枚のモニターが内蔵され、ダッシュボード全体を一枚のガラスで覆うことで超ワイドなスクリーンに仕上げられている。

 助手席側のモニターはもちろん、エンタメ機能が楽しめるようになっているが、運転席側をカメラによる監視するシステムを備えている。ドライバーが助手席側のモニターのほうを見ると、特定のコンテンツが表示された際にディスプレイを自動的に減光することで、見えなくすることで安全運転を妨げることがないように工夫されている。

ド迫力のトリプルモニター仕様となる「MBUXハイパーディスプレイ」。メルセデスらしく安全対策も万全だ

■大容量バッテリーによる航続距離と給電機能が大きな武器に

 充電システムは、高出力となる150kWの急速充電(CHAdeMO式)まで対応するが、EV専用プラットフォームの恩恵で、大容量バッテリーの搭載を可能としているのも大きな強み。

 搭載されるリチウムイオン電池の容量は「EQS」が107.8kWh、「EQE」が90.6kWhを搭載している。これにより最も航続距離が長いEQS450+は、700km(WLTC)にも達する。逆に、EQEの高性能仕様車である「EQE 53 4MATIC+」の航続距離が最も短くなるが、それでも526km(WLTC)とロングドライブも充電なしで往復できる性能を備えている。

 さらに、大きな強みとなるのが、日本仕様車だけの特別装備となる外部給電機能だ。これにより「EQS」と「EQE」を動く蓄電池として活用することができ、日常では家庭の太陽光発電システムの余剰電力の貯蔵に。そして、災害時などの予備電源として活用することもできる。

EV専用プラットフォームの恩恵で、効率よく大容量バッテリーの搭載が可能に。日本専用仕様として、外部給電にも対応したのも朗報だ

■注目のパフォーマンスは!?

 ラインナップは、それぞれ2タイプを設定。「EQS」は標準車となる「EQS 450+」と高性能仕様の「メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+」。「EQE」が標準車となる「EQE 350+」と高性能仕様の「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」となる。

 標準車のEQS 450+は、1モーターの後輪駆動車で、最高出力245kW/最大トルク565Nmを発生。メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+は、4MATICの名が示すように、2モーターの4WDとなり、前輪側が最高出力174kW/最大トルク346Nm、後輪側が最高出力310kW/最大トルク609Nmと強烈。システム全体では484kW/950Nm、RACE START機能使用時は560kW/1020Nmまで強化。

 EQEは少しスペックが落ち着くが、それでも驚異的なスペックを備える。標準車のEQE 350+は、1モーターの後輪駆動車で、最高出力215kW/最大トルク565Nmを発揮。高性能なメルセデスAMG EQE 53 4MATIC+は、2モーターの4WDとなり、システム最高出力が460kW/最大トルク950Nmを発揮。RACE START機能使用時は560kW/1000Nmまで向上される。

ワルな雰囲気を醸し出すメルセデスAMG EQE53 4MATIC+。とてもエコカーには見えない迫力だ

 販売については、EQS 450+からとなり、ほかのモデルは予約注目を受け付ける。第2ステージへと歩みを進めたメルセデスベンツEVが、いかなる快適さと刺激的な走りを提供してくれるのか、注目だ。

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