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 10月2日、MotoGP第17戦タイGPの決勝レースがチャン・インターナショナル・サーキットで行われ、MotoGPクラスはミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)がウエットコンディションのレースを制して今季2勝目を飾った。

 マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は一時、3位争いを展開して5位。中上貴晶の代役として参戦した長島哲太(LCRホンダ・イデミツ)は22位だった。

 決勝日はMoto2クラスの決勝レース前に雨が降り始めた。周回数が16周に減算されてスタートしたのち、9周目に状況の悪化により赤旗中断。Moto2クラスの決勝レースは雨とコースコンディションにより約30分間の中断ののち、いったんは再開に向けてウォームアップラップが行われたが再び雨がひどくなり、レースは再開されることなく終了となった。周回数の3分の2を終了していないことから、ライダーにはハーフポイントが付与されている。

 MotoGPクラスの決勝レースに向けスタート進行が始まる時間となっても天候は回復せず、ピットレーンオープンのディレイが発表された。その後、55分遅れでレースのスタートが発表された。また、周回数は当初予定されていた26周から、25周に減算されている。ライダーたちがグリッドについていたスタート数分前にも、安全上の理由からスタートディレイとなっているが、その数分後にはウォームアップラップが開始された。

 気温は27度、路面温度は28度。路面は当然、ウエットコンディションである。3年ぶりに開催となったタイGPのレースウイークは、MotoGPクラスではウエットコンディションでの走行機会がなく、ライダーたちは決勝レースで初めてレインタイヤを履くことになった。なお、スタート前にウエットレースが宣言され、レース中のバイクの乗り換えが可能となっている。

 水しぶきが上がったスタート直後の1コーナーで、ポールポジションスタートのマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)とホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)が大きくコースアウト。しかしベゼッチはすぐさまレースに復帰し、トップに立った。ベゼッチはその後、このトラックリミット違反によりレース中の1ポジション降格のペナルティが科されている。

 ベゼッチはこれによって3周目に2番手のジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)にトップを譲る形となった。トップはミラー、2番手はベゼッチ、3番手はフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が続き、その後ろには11番手スタートのオリベイラが大きく順位を上げて4番手に浮上している。

 5番手にはルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシング・チーム)がつけていたが、4周目の9コーナーで転倒。代わってマルク・マルケスが5番手に浮上した。

 トップを走るミラーは後方との差を築きつつあったが、激しく追い上げていたのはオリベイラである。オリベイラはバニャイア、次にベゼッチをかわすと2番手に浮上し、ミラーに迫っていった。オリベイラはファステストラップを叩き出すが、ミラーもそれに劣らないラップタイムで周回を重ねていた。そのふたりの後ろでは、マルク・マルケスもベゼッチをオーバーテイクして4番手に浮上している。

 レース中盤の12周目、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)は序盤のブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)との接触に対してロングラップ・ペナルティを科され、これを消化したために14番手。また、4番グリッドからスタートしたランキングトップのファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)はポイント圏外の18番手を走行する苦しいレースとなる。

 トップ争いは依然としてミラーとオリベイラによって繰り広げられていた。オリベイラは何度か最終コーナーでオーバーテイクを試みるも、ミラーのブレーキングによってパスすることができない。しかし15周目、最終コーナー前の11コーナー立ち上がりでオリベイラがミラーの前に出ると最終コーナーに先行して飛び込み、ついにミラーをオーバーテイク。ミラーもその翌周、3コーナーでトップを奪おうとするが、オリベイラがトップを守る。激しいトップ争いとなったが、その後、トップに立ったオリベイラが少しずつミラーを引き離していく。

 さらにその後方では、3番手のバニャイアに4番手のマルク・マルケスが接近し、残り6周にはザルコがマルク・マルケスに迫る。レース終盤、3番手争いはバニャイア、マルク・マルケス、ザルコの3人による接戦となった。

 残り5周、8コーナーでザルコがマルク・マルケスをパス。ザルコは前を走るバニャイアを追う。ドゥカティ同士の3番手争いとなったが、バニャイアがポジションを堅守する。

 オリベイラはトップをキープし、今季2勝目を挙げた。前回の優勝はインドネシアGP。このときも雨によりスタートディレイとなって、ウエットコンディションでのレースだった。2位はミラーで、日本GPに続く表彰台獲得。3位はバニャイアが獲得し、ザルコにオーバーテイクを許さなかった。

 4位はザルコ、5位はマルク・マルケスとなった。アレイシ・エスパルガロはロングラップ・ペナルティを消化したのち、ビンダーとのポジション争いとなり、ビンダーに次ぐ11位でゴール。クアルタラロは終盤にひとつポジションを上げたが、17位。ノーポイントでレースを終えた。長島は22位でフィニッシュしている。

 この結果、チャンピオンシップでは、ランキングトップのクアルタラロに対し、ランキング2番手のバニャイアは2ポイント差、ランキング3番手のアレイシ・エスパルガロは20ポイント差に縮めている。