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新型コロナ第8波? スマホの画面越しでクルマが買える「見ないで買い」はアリか

 一昔前では考えられなかったことだが、現車を見ずにクルマを購入する人が増えつつあるようだ。

 インターネットに接続できるPCやタブレット、またはスマホさえあれば、時間や場所を問わず中古車検索サイトで希望のクルマを探すことができる。

 新車や新古車、登録済み未使用車であれば「見ないで買い」もありだろう。しかし、中古車となると・・・。いくらインターネットが普及したとはいえ、実物を観ることで初めて分かることもたくさんあるという事実は変わらない。

 しかし、新型コロナの影響もあり、オンライン商談・販売は少しずつ浸透しつつあるようだ。では、「見ないで買い」のメリット・デメリットや、各企業のサービスについても触れてみたいと思う。

文/松村透
写真/レクサス、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ
※この情報は2022年10月31日現在のものです

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■「見ないで買い」のメリットとは?

新型コロナ第8波? スマホの画面越しでクルマが買える「見ないで買い」はアリか
新車や登録済み未使用車でない限り「見ないで買い」には博打的要素があるだろう

 メリットはズバリ「実車を確認する手間と時間、そして現車確認にかかる費用を抑えられる点」が挙げられる。

 販売店とのやりとりは基本的にメールや電話などで済ませ、自宅に納車してもらうように依頼すれば、店側の人といちども対面することなくクルマを買うことも可能だ。

 しかし「自分が納得のいく1台を見つけたい」という人は、長距離移動はもちろん、それに関連する時間やコストもいとわない。

 都内在住の人が、九州で出物を見つけたら即座に行動を起こし、その日のうちに飛行機で現地に向かった・・・といった話も珍しいことではない。

 この手の出物は基本的に「早い者勝ち」であり、仮押さえもせずに「ひと晩考えよう」なんてのんびり構えていると、翌日には売約済みといった「悲劇」を経験したクルマ好きも少なくないはずだ。失恋と同じで、あとあと妙に尾を引くところが何とも悔しい。

 「ビビッときた」ら、とにかく即行動を起こすことを強くオススメしたい。外れることももちろんあるけれど、直感って大事だ。

■「見ないで買い」のデメリットとは?

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現車確認を手間と考えるか、もっとも重要な安心材料と判断するかはユーザー次第だ

 「見ないで買い」のデメリットといえば『真実を知るのは納車のとき(しかも、基本的にキャンセル不可)』が挙げられる。

 購入希望者と販売店側をオンラインでつなぐことができれば、テレビ電話(小さい頃に絵本で見た世界が実現しましたね)でリアルタイムに現車確認ができる。

 しかし、そこはやはり「画面越し」であることは変わりない。良心的な店舗または担当者であれば、売り物の傷や汚れといったマイナスの情報もていねいに教えてくれるかもしれない。

 これについては店舗側が故意に隠すこともできるし、そもそも気がつかないこともある。オークションで仕入れたクルマが「修復歴なし」だったのに、その道の専門家が見れば「修復歴あり」という例も実在する。

 手間を惜しまない、現車確認をしないと見極めがつかないという考えであれば、「見ないで買い」の選択肢は除外した方が安心だろう。

■「見ないで買い」の最新事例紹介

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サブスク(サブスクリプション)でクルマを買うことが当たり前の時代が訪れるのだろうか?

 新型コロナの影響もあり、リモート会議が日常という人もかなり増えたはずだ。クルマの販売方法も例外ではなく、オンラインで行われるケースが増えつつある。その代表的なサービスをまとめてみた。

 オンラインで新車を購入する。100%とはいえないが、クルマの状態を心配する可能性はかなり低いといえる。
●KINTO ONE(トヨタ)
オンラインで完結できるサブスク。ペットの同乗、タバコ類や改造の禁止、過走行による差額支払いなどの制約がある。中古車も利用可
https://kinto-jp.com

●日産
2021年6月、電気自動車「アリア」の販売に合わせてオンラインでの予約できる専用のウェブサイト「CLUB ARIYA(会員登録が必要)」を開設
https://www2.nissan.co.jp/SP/ARIYA/CLUBARIYA/

●ホンダ
2021年10月、スマホ上で商談が可能な「Honda ON(ホンダオン)」をスタート
https://on.honda.co.jp

●テスラ
各モデルはオンラインで仕様決定、クレジットカードによるデポジット入金まで可能。納車は専用のデリバリーセンターで行う
https://www.tesla.com/ja_JP/

●ボルボ
2021年11月、エレクトリック クロスオーバーモデル「C40 Recharge」はオンラインストアのみで販売開始。ただし契約はディーラーで行う必要がある
https://www.volvocars.com/jp/build/c40-electric

●ヒョンデ
かつてのヒュンダイ、現在のヒョンデは、各地に実店舗を置かずウェブ(ホームページおよびアプリ)でクルマの販売を行っている
https://www.hyundai.com/jp/

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濃紺系のクルマは磨き傷が目立つ。これはオンライン商談では分かりにくいポイントのひとつだ

■オンラインで中古車を購入

 「実車確認派」にとっては驚くことかもしれないが、メーカーが本腰をいれている事例もある。
●トヨタ
2020年9月に「トヨタ中古車オンラインストア」を開設。ネット完結するため、注文前の実車確認はできない
https://toyota-outlet.gazoo.com

●カーセンサー
・ネット完結型のオンライン販売。中古車(購入またはリース)だけでなく、新車(サブスク)にも対応
https://www.carsensor.net/direct/
・オンライン商談
アプリは不要。スマホやパソコンに届いたURLをクリックするだけで利用可能
https://www.carsensor.net/lp/online/index.html

●goo オンライン商談
オンライン商談の日程が決まるまではメールでのやりとり。商談にはgooのアプリが必要
https://www.goo-net.com/lp/search/online/

●ORIX U-carオンライン
オンライン商談に使う端末にMicrosoft Teamsをダウンロード(無料)することで利用可能
https://www.orixcar.jp/ucar/online/

●楽天Car
EC店舗で中古車を販売。オンラインで商談を行い(支払い方法は銀行振込か楽天銀行オートローンのみ)、クルマとの初対面は納車時。楽天ポイントが付与される
https://car.rakuten.co.jp

■ネットオークション

 個人間売買ゆえに博打的要素が避けられないネットオークションだが、掘り出しモノが潜んでいる確率も高い。悩みどころだ。
●ヤフオク
https://auctions.yahoo.co.jp/list1/26360-category.html

●メルカリ
https://jp.mercari.com/search?category_id=1329

●ジモティー
https://jmty.jp/all/car

■「見ないで中古車買い」経験者の体験談

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エンジンなどの動力系のフィーリングは始動してみたり、実走行してみないと分からない

体験談1:ディーラー認定中古車を購入
・購入時期:2014年
・購入車両:2010年式 フォルクスワーゲン ゴルフ 6

 ディーラーの認定中古車を見ないで買いしたMさん。クルマはフォルクスワーゲンゴルフ6だ。初対面は納車のとき。初年度登録から4年落ちの割には全体的にきれいに乗られていたと感じたそうだ。

 それまでは中古車には抵抗があったそうだが、年間走行距離が3万キロ近いので、新車を買うのはもったいないと感じていた。ディーラー認定中古車には一定の安心感があるだろうと判断。その判断が吉とでた。その次に買い替えたゴルフも、同じ店舗で担当セールスが見立ててくれた認定中古車を選んだという。

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傷の程度も現車確認をしないと判別が難しいポイントのひとつだ

体験談2:ネットオークションで購入
・購入時期:2020年
・購入車両:2014年式 ホンダ N-ONE

 1台で何でもこなせて、使い勝手がよさそうなホンダN-ONEの購入を考えていたKさん。通勤や買い物で使う「足車」なので、コンディションよりも「そこそこの程度で割安感のあるクルマ」がいいと考えたのだとか。現行モデルの中古車は高い。そこで先代モデルで充分ということになったそうだ。

 しかし、中古車販売店で売られているN-ONEは強気な価格が多い。そこで個人間売買で消費税がかからないネットオークションで購入しようと考えたという。ETCやカーナビが装備されていた先代のN-ONEを35万円で落札。走行距離は約10万キロだった。

 実車を見てみると、たしかに年式相応。程度はまずまずとのことだったのでそれは納得をしたが、個人間売買のため手続きを自分で行わなければならないことがすっかり抜け落ちていたのだ。

 その結果、名義変更をはじめとする各種事務手続きで振り回されることに…。結果的に安く買うことはできたが、お金に換算できない手間がかかったという。

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これはかなり極端な例だが、ボディの状態をどこまでていねいに見せてくれるかは、販売店や担当者次第といえそうだ

体験談3:遠方の中古車店だったので画像のやりとりだけで購入
・購入時期:2019年
・購入車両:2006年式 ダイハツ コペン(初代)

 予算を80万円に設定し、中古車検索サイトで初代コペンを探していたTさん。シャンパンメタリックオパールという色にこだわったので、なかなか条件に見合う中古車が見つからなかったのだという。

 そしてついに条件に見合うコペンを見つけた。場所は和歌山県にある中古車販売店。当時、クルマを所有していなかったCさん。

 住まいがある神奈川県からレンタカーを借りて和歌山まで行ってクルマを見ることも考えたが、まだ運転に不慣れだったので1人で行くのは断念。そこで中古車販売店に連絡を取り「遠方で観に行けないから」とメールアドレスを伝え、コペンの画像を送ってもらうことにした。

 何度かのやりとりのなかでウィークポイントも教えてくれたので購入を決意。陸送してもらい、納車のときが初対面となった。

 肝心の実車はというと・・・10数年落ちだからある程度は想像していたものの、年式相応だったとか。画像では分からなかった小傷がボディや内装にいくつもあったそうだ。

 本人曰く「割と細かい性格なので気になってしまう方かも…」とのこと。その後、コーティング業者を見つけ、少しずつ手直しをしているという。

■結論:スマホの画面だけでもクルマが買える「見ないで買い」はアリなのか?

新型コロナ第8波? スマホの画面越しでクルマが買える「見ないで買い」はアリか
特に中古車の場合、「見ないで買い」は運試しだ

 「見ないで買い」はアリかナシか?の結論を出すとしたら・・・一概にはいえないが、以下のような特徴が考えられそうだ。

見ないで買い「アリ」の人
・未使用の新古車を狙っている
・中古車と割り切れる
・早く納車したい
・ささいな傷や汚れは気にならない
・どちらかというと大らかな性格

見ないで買い「ナシ」の人
・なんだかんだでコンディションにこだわりたい
・ささいな傷や汚れが気になる
・じっくり選びたい
・どちらかというと神経質
・高い買い物なので失敗したくない

 要約すると「博打を打てるかどうか」に尽きるかもしれない。つまりは「運試し」というわけだ。運試しでもok、あるいはコンディションにはそれほどこだわらないというのであれば「見ないで買い」はアリだろうし、「イチかバチか」でもいいのなら慎重派の人でも試してみる価値はありそうだ。

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