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ポルシェにはSUVのルーフを開ける勇気はなかった。スポーツカーメーカー初の高性能SUV、ポルシェ カイエンで、ポルシェは多くのことを成し遂げた。しかし、彼らにはSUVのオープンカーを世に送る勇気はなかった。

今年はポルシェ カイエンの誕生20周年となる。20年前、ポルシェはカイエンを市場投入した。発売前後の悪評や非難、不吉な運命の予言にもかかわらず、「カイエン」は、ベストセラーとなり、その結果、「本物の」スポーツカー研究開発のための資金をポルシェにもたらした。

しかし、そのベストセラーとなったSUVで、当時多大なる勇気とガッツを示したポルシェも、ルーフを開ける勇気まではなかった。

このコンバーチブルスタディモデルは、すぐに運転できるプロトタイプではなく、走行できない機能パッケージモデル(PFM)であり、2種類のリアバージョンを見ることができる。

ポルシェは今回のアニバーサリーで、2002年のカイエン発売直後に制作されながら量産に至らなかったコンバーチブルスタディモデルを初公開した。

7人乗りの「ロングホイールベースカイエン」も同じ運命だった。2019年に現実のものとなるのは、当時もテストされていたクーペだけである。

ポルシェの「オープントップカイエン」が市場投入されなかったことを惜しい、残念だと思うのは我々だけではないだろう。次世代カイエンにコンバーチブルモデルが登場することに期待を込めて、楽しみに待ちたい。

【ABJのコメント】
SUVのオープンといえば、やはり「レンジローバー イヴォーク」の前のモデルにあったアレが印象深い。出た当初は「なんでこんなもの出すんだろう」といぶかったものだが、出てしまえば(なんとも現金で申し訳ないけれど)、なかなかいい感じで、こういうしゃれっ気のあるモデルも悪くないじゃないか、と思うようになった。実際、少しだけ試乗させてもらったことがあるが、オープンで真冬に走った場合、速度を上げなければそこそこ快適だったものの、速度を上げるとものすごい風の巻き込みだったことを思い出す(当たり前だ)。

でもそんなことはこの手の車の場合、まったく短所にはならないし、あくまでもオシャレの道具として乗るための、流行のスポーツウエアのようなものなのだろう。現在はフォルクスワーゲンのラインナップにもSUVオープンモデルはあるが、もともとドイツにはこういうオープンモデルが存在していたし、「カイエン」のオープントップモデル悪くないじゃないか、と思う。まあ個人的には「ボクスター」か「911カブリオレ」のほうが好みではあるけれど、4人で乗って楽しむオープンモデルのポルシェ、そんなのがあってもある一定数は売れそうだと思うのだが・・・。(KO)

Text: Michael Gebhardt
加筆: 大林晃平
Photo: Porsche AG