PlayStation 5用の次期VRヘッドセット「PlayStation VR2(以下、PS VR2)」は、2023年初頭に発売すると発表済みだ。今なお日本では、PS5本体の供給も不足気味のため、PSVR2についても「生産台数が絞り込まれるのでは」と危ぶむ声もあった。
その一方で、ソニーグループは2023年3月までにPSVR2を200万台生産する予定という、なんとも破格な噂が伝えられている。
米Bloombergの望月崇記者によると、ソニーは世界経済の停滞を度外視した野心的な見通しを立てているそうだ。PSVR2の量産は9月から始まり、まだサプライチェーンの制約に直面していないという。ただし、生産台数は2023年初頭に発売される同製品の販売状況によっては調整される可能性があるとのことだ。
たしかに日本を含めて全世界の消費は落ち込み気味であり、しかもVRヘッドセット市場の規模から考えると、この噂話が本当だとすれば、かなりの賭けといえそうだ。
たとえばPS4向けの初代PSVRは、100万台を販売するのに約8ヶ月(2016年10月~2017年6月)かかっている。そして今最も人気のあるMeta Quest 2も、発売から3ヶ月で280万台を出荷したとのこと。
仮にPSVR2の発売が来年1月だとして、3月までに200万台を出荷とすれば、Quest 2よりは控えめで現実的とも思える。だがQuest 2は、当時としては破格の安さであり、しかもスタンドアローンで動作する「これだけを買えばすぐに遊べる」製品だ。それに対してPSVR2はあくまで「PS5の周辺機器」であり、顧客もPS5ユーザーに限られている。
PSVR2の成否は、価格設定に大きくかかっているだろう。ソニーは「いくらになるか」を発表していないが、4K HDRの有機ELディスプレイや視線トラッキングなどを実現する数々のセンサー、ヘッドセットの外も精彩に見えるパススルーといった強力な仕様を考えると、安くはならない可能性が高い。
またソニーは、PSVR2は初代PSVR用ゲームとの互換性がないことも明らかにしている。ゲーム専用機の命ともいえるゲームライブラリは、新規にゼロから築き上げていくしかない見通しだ。
さらにいえば、上記のようにPSVR2は「PS5の周辺機器」であるため、PS5の普及台数に命運がかかっている。今年秋から出荷が始まった改訂版PS5(CFI-1200シリーズ)では内部設計が一新されるとともに、搭載SoCも初代の7nmから6nmチップに変更され、ダイサイズが小さくなったことで量産性が上がったと推測されていた。
PSVR2以前に、まずPS5が年末商戦で潤沢に供給され、ゲーマーがPSVR2を迎え入れる準備ができるよう期待したいところだ。
- Source:Bloomberg
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