2022年12月の登場が予想される新型プリウス。新型プリウスはどんなモデルになるのか興味は尽きないが、なかでも最大の注目は燃費ではないだろうか。
現在、WLTC燃費トップはヤリスハイブリッドXのWLTCモード燃費36.0km/L。それに対し、現行プリウスの最高燃費は32.1km/Lと約4km/Lもの大差を付けられている。
はたして新型プリウスは、ヤリス超えを果たすのか? 圧倒的なアドバンテージとなる40Km/L超えとなるのか、解説していきたい。
●低燃費トップ3
1位:ヤリスハイブリッドX:2021年2月、WLTCモード燃費=36.0km/L
2位:アクアB=WLTCモード燃費35.8km/L
3位:プリウスE=WLTCモード燃費32.1km/L。Aプレミアム、A、Sは30.8km/L、各ツーリングセレクションは27.2km/L(いずれも2WD)
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカーweb編集部、トヨタ
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■現行型プリウス異例の早期オーダーストップ
今は新車の納期が長く、6ヵ月以上を要する車種も多い。そうなると2022年12月から2023年1月頃にフルモデルチェンジする車種は、9月下旬の時点でも、次期型の受注を開始せねばならない。しかしその準備はできないから、販売を早々に停止する。今では買えないクルマが増えた。
この代表がプリウスだ。販売店では以下のように説明する。
「プリウスは2022年12月頃に次期型にフルモデルチェンジすると思われる。通常なら現時点(2022年9月下旬時点)では従来型を販売しているが、今は納期が長いから中止した。受注の再開は次期型で、12月上旬になるだろう。その後に正式発表され、販売店に試乗車が配車されるのは、2023年の1~2月になると思う」
■時期型プリウスの楽しみな「あの」ポイント
そこで気になるのが次期プリウスの概要だ。
●歴代プリウスの燃費変遷
・初代プリウス(1997年12月発売):10・15モード燃費=28.0km/L。最終モデル=31.0km/L
・2代目プリウス(2003年9月発売):10・15モード燃費=35.5km/L。2007年9月、JC08モード燃費=29.6km/L
・3代目プリウス(2009年5月発売):Lが10・15モード燃費=38.0km/L、JC08モード燃費=32.6km/L。そのほかのモデルは10・15モード燃費=35.5km/L、JC08モード燃費=30.5km/L
・4代目プリウス(2015年12月発売):EがJC08モード燃費=40.8km/L、WLTCモードが32.1km/L。S、A、AプレミアムがJC08モード37.2km/L、WLTCモード燃費30.8km/L。S、A、AプレミアムのツーリングセレクションがWLTCモード27.2km/L
※いずれも2WDの数値
まずプリウスの立場は、年々変化している。1997年に発売された初代モデルは、世界初の量産ハイブリッドだったから、ライバル車はいなかった。2003年に2代目に切り替わった時も、ハイブリッドは少数派であった。
それが2009年に3代目になった時は、ほぼ同時にホンダから価格を安く抑えたインサイトが登場して、ハイブリッドの選択肢が増え始めた。
さらに2015年に4代目の現行プリウスが登場した時は、トヨタにはプリウスと同様のハイブリッド専用車で、ボディを5ナンバーサイズに抑えたアクアがあった。
さらにカローラアクシオ&フィールダー、先代ノア&ヴォクシーなどにもハイブリッドが設定されていた。レクサスを含む大半のトヨタ車にハイブリッドが用意され、プリウスの存在感も以前に比べて薄れていた。ホンダもハイブリッドを充実させている。
この変化に伴って、プリウスの登録台数は下がった。先代プリウスは、発売の翌年となる2010年に1ヵ月平均で約2万6000台を登録したが、現行プリウスは発売の翌年となる2016年の登録台数が1ヵ月平均で約2万台だった。この後は下降して、コロナ禍の影響を受ける前の2019年でも約1万台だ。
それでもプリウスは、今では25年の伝統に支えられたハイブリッドで、認知度も高い。トヨタにとっては、クラウンのような大切な存在だ。
特に最近は、内燃機関を否定する論調が目立つ。ホンダは2040年までに、ハイブリッドを含めた内燃機関をすべて廃止して、電気自動車と燃料電池車に切り替える方針を発表した。
そこでトヨタは、二酸化炭素を排出しない内燃機関として、水素エンジン搭載車でレースを行ったりしている。何事によらず技術は、その時のニーズに応じて最適な選択を行うべきもので、否定はあり得ないからだ。
特にトヨタの商品は、世界中で売られている。ランドクルーザーは約180の国と地域で販売され、その中にはアフリカのように、車両への充電が困難な地域も含まれる。世界各国に車両を供給するには、内燃機関を廃止できない。
その意味でもプリウスは重要だが、今はトヨタ車の大半にハイブリッドが用意されるから、専用車のプリウスは必要不可欠の存在ではなくなった。そこで次期プリウスは、ハイブリッドを象徴するイメージリーダーとして、燃費性能をさらに向上させる。改めて燃費ナンバーワンを目指す。
国内で購入可能な4輪車の中で、WLTCモード燃費が最も優れているのは、今はヤリスハイブリッドXの36.0km/Lだ。この次がヤリスハイブリッドGとアクアBの35.8km/Lになる。
現行プリウスでは、Eが32.1km/Lで、SやAは30.8km/Lだ。新型ではこれをどの程度まで向上させるかが注目される。
ちなみに先代アクアのWLTCモード燃費は、最良のLが29.8km/Lで、売れ筋のSやGは27.2km/Lであった。新型アクアはBが35.8km/L、GとZは33.6km/Lだから、同じ位置付けのグレード同士で比べると、新型のWLTCモード燃費は先代型の120~124%に相当する。
■次期プリウスのWLTCモード燃費はリッター40Km超えは確実か!?
そうなると新型プリウスの燃費数値も、現行型の120~124%くらいを狙ってくるのではないか。現行プリウスでWLTCモード燃費の最も優れたグレードは前述のEで32.1km/Lだ。
次期プリウスのEに相当するグレードが、燃費数値を現行Eの124%に向上させれば39.8km/Lになる。この点を踏まえると、次期プリウスの開発目標として、WLTCモード燃費を40km/Lの達成に置いている可能性が高い。
ハイブリッドのパワーユニットは、ノア&ヴォクシーで新採用された第5世代だ。先代ヴォクシーハイブリッドのWLTCモード燃費は19km/L、現行型は23km/Lだから、現行型の数値は先代型の121%になってアクアの120~124%に収まる。
つまりパワーユニットの新旧比較でも、次期プリウスの40km/L達成は可能性が高い。
外観は従来型と同様の5ドアハッチバックだが、次期型は燃費に特化して、空気抵抗を抑える5ドアクーペ風のデザインに発展する。PHV(プラグインハイブリッド)については、エンジン排気量を2Lに拡大して、効率を最適化する話もある。
いずれにしろ、次期プリウスは驚愕の燃費性能を達成して、内燃機関の可能性をアピールするに違いない。内燃機関をナメんなよ! これが次期プリウスが発信するメッセージだ。
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