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「ファミリー用」としてかなり気になる存在!? トヨタ新型シエンタ サイズ感・走り・快適性・燃費を「家族目線」で公道チェック!!!

 フルモデルチェンジを果たしたトヨタのコンパクトミニバン 新型シエンタに、2人のお子様を抱え家族用のクルマを真剣に検討中の自動車評論家、岡本幸一郎氏が試乗! 「ファミリー目線」で見たシエンタの実力はいかほどか!?

●300文字くらいでわかる新型シエンタ…トヨタ製コンパクトミニバンの3代目。高く支持されているボディサイズは全長と全幅が不変で全高のみ20mm拡大。プラットフォームは1列目までTNGAを採用し、2列目以降は従来型の改良版となる。2列目シートの前後スライド量を80mm拡大したほか、頭上や左右のクリアランスを拡大し窓面積を拡げるなど居住空間の改善が図られている。2列5人乗りと3列7人乗りが全車で選べるが、従来あった6人乗りの設定はない。エンジンは1.5L3気筒となり、ハイブリッドの2WDはWLTCモード28km/L台の低燃費を達成。ガソリンは2WDのみで、10速シーケンシャルシフトマチックを備えたCVTが組み合わされる。4WDはプロペラシャフトの不要なE-Fourに変更された。

※本稿は2022年9月のものです
文/岡本幸一郎、写真/TOYOTA、ベストカー編集部 ほか、撮影/茂呂幸正
初出:『ベストカー』2022年10月26日号

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■日本にちょうどいいサイズのまま、扱いやすさアップ

トヨタ 新型シエンタ。アクティブ系のデザインを採用していた旧型(写真右)と比較すると、機能性を重視した落ち着いたデザインになった

 6歳と4歳の子どもがいる我が家の妻用として、コンパクトなサイズで使い勝手に優れるシエンタはかなり気になる存在だったりする。

 実際、「このサイズがイイ」という人は少なくないらしく、その声に応えて全長と全幅は変更なし。全高だけ20mm高くなり、室内高も広くなった。

 アースカラーが主体のボディカラーもイマドキっぽくてよい。

 見た目のアクセントにもなっている黒い部分は、ぶつけやすい箇所を黒くすることでキズを目立たないようにという配慮による。

 インテリアはソファのような生地のシートをはじめ質感がグンと高められていて雰囲気は上々。収納スペースもくまなく配されている。

愛着のわくデザインを追求したインテリアデザイン。シートはファブリックを採用するが、防水、防汚加工が施されている

 初代はセンターメーター、2代目はハンドルの上にメーターがあったが、3代目は一般的なレイアウトになり、さらにダッシュが低められてフード先端が持ち上げられたことで見切りがよくなり、車両感覚がつかみやすくなった。

 低いサイドシルはそのままに、スライドドアの開口部の天地高が増して、より乗り降りしやすくなった。

 2列目に乗り込むと、ヘッドクリアランスと、頭の横方向の余裕が増していることがわかる。3列目も乗り込んでしまえば外見の印象とは裏腹にちゃんと座れる。

2列目は一番後ろまでスライドさせた状態で、ご覧の広さ。小さい子どもが立った状態で着替えをすることも可能
3列目は凄く広いというものではないが、つま先が2列目シート下に入るので、あまり窮屈な姿勢にならず座れる

■エンジンも足回りも予想を超えた仕上がりを見せる

自然吸気の1.5L直3エンジンだが、HVとはキャラが異なり軽快な走りを前面に押し出す

 走りも予想以上の仕上がりだ。本命のハイブリッドは、ヤリス以降に登場したクルマと同じく力強くて瞬発力もある。

 パワーモードを選ぶとさらに元気になるし、エコモードでも低速トルクに優れるモーターの強みでストレスがない。

 そういえば、バッテリーがアクアで採用されたバイポーラ型ではないわけだが、ニッケル水素のほうが薄く積めて室内空間を確保できて動力性能も充分に確保できることからシエンタには適すると判断したそうだ。

1.5L直3エンジン+モーターのハイブリッド。WLTCモード燃費は28.8km/L(X・5人乗り)が最高

 さらにはエンジンが3気筒になったのに意外と静かで驚いた。

 実は各部の遮音とともにルーフまわりに減衰特性を備えた構造用接着剤を配して効果的に雑音を吸収させるなど対策したそうだ。おかげで走りながら後席の人ともストレスなく会話できる。

 フットワークの仕上がりも上々だ。

 フロント側をTNGA化し、リア側は従来のものを大幅に改良したプラットフォームを用いたほか、バッテリー搭載位置の最適化が図られているのだが、その恩恵は小さくない。

 重心の高そうな感覚がなく、操舵フィールもスッキリとしていて一体感があり、挙動を乱しにくい。

 これなら同乗者もストレスなく乗れるだろう。

 小さなミニバンというよりも、コンパクトカーの延長上の感覚で乗れて、そのあたりはノア/ヴォクシーなどに比べてもシエンタを積極的に選ぶ理由になりそうだ。

 乗り心地は後席ではちょっとコツコツするが、概ね快適だ。

 15インチタイヤのみの設定となったことで路面への当たりもマイルドで、ハンドルの切れ角も確保できていて小回りも効いてストレスがない。

 しかも、あらかじめ15インチに合わせて全体が最適にデザインされているので、15インチでも貧相に見えないこともお伝えしておこう。

 一方のガソリン車は軽快な走り味で、車両重量の60kgの差よりも軽く感じる。

 ハイブリッドがエンジンの存在を意識させないようにしているのとは逆に、むしろエンジンの吹け上がりを味わえるようにしたかのような印象だ。

 これまでガソリン車に設定されていた4WDが新型ではE-Fourになったのも大きな変更点だが、乾いた舗装路で乗るぶんには、2WDと乗り比べても重量増の影響はほとんど感じられなかった。

 インフォテイメント系や運転をアシストする装備も、このクラスでこれ以上はないほど充実しているのもありがたい。

 本当に、どこにもストレスがなくて感心した。新型シエンタ、よくできているじゃないか! 妻用の有力候補に急浮上!?

●トヨタ 新型シエンタ(G ハイブリッド 5人乗り)諸元表
・全長×全幅×全高:4260×1695×1695mm
・ホイールベース:2750mm
・エンジン:1490cc、直3DOHC
・最高出力:91ps/5500rpm
・最大トルク:12.2kgm/3800~4800rpm
・モーター最高出力:80ps
・モーター最大トルク:14.4kgm
・WLTCモード燃費:28.4km/L
・価格:265万円

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