「スーパーGT」は、年間約40万人もの観客数を動員した名実ともに国内No,1のレースシリーズだ。2022年は全8戦中、残すところあと2戦と終盤戦に差し掛かっているが、改めて国内最高峰のハコレース「スーパーGT」に着目し、その人気の秘密に迫っていく。
2022 AUTOBACS SUPER GT第7戦『FAV HOTEL AUTOPOLIS GT 300km RACE』の決勝レースが快晴に恵まれた天候の中、10月2日(日)オートポリス(65周)で行われた。
オートポリスの特徴は、阿蘇外輪山の北、大分県日田市に位置し、九州の雄大な自然に抱かれたテクニカルコース。タイヤに厳しいサーキットであり、摩耗が激しいばかりか、ピックアップと言いタイヤ表面から剥がれ落ちたタイヤカスが自らのタイヤに付着し、大幅にグリップダウンを余儀なくなれてしまうため、タイヤのチョイスが非常に重要だ。
またこのラウンドはサクセスウエイトが半減されることもあり、戦略図も変化する事が予想されていた。10/1(土)に行われた予選は、GT500クラスポールポジションを近藤真彦監督率いる#24リアライズコーポレーションZ 佐々木 大樹 / 平手 晃平 が今季初の獲得となった。
GT300はクラスは、今季4度目のポールポジション獲得の#61SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人/山内 英輝となった。
レースはポールポジション獲得の#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z佐々木が他車を引き寄せない走りでトップをキープ。2番手は#100 STANLEY NSX-GT牧野、3番手はNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra国本、4位は#17 Astemo NSX-GT松下と続いていった。
ドライバーランキング1、2位の#12 カルソニック IMPUL Z 平峰一貴/ベルトラン・バゲットが10位スタートだったが6番手まで浮上。さらに#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代勝正/高星明誠も予選13位から10番手へと順位を上げ、予選では下位に沈んだ上位ドライバーランキングチームも懸命な追い上げをみせてきた。
2番手の#100 STANLEY NSX-GTが牧野から山本へドライバー交代ミニマム周回数の22周に最初にピットインしたがタイヤ交換に手間取ってしまった。23周目には#17 Astemo NSX-GT松下もピットに向かい、素早くミスの無いピットワーとベストタイミングで塚越にドライバー交代とタイヤ交換を行いピットアウト。トップを順調に走行していた#24リアライズコーポレーションZは27周目までピットインを引き延ばす作戦をとったのだが、ピット作業に手間取り、#17,#100に先行を許してしまい3番手でコース復帰となってしまった。
終盤になると2位の#100のペースが落ち始めた、残り10周を切ると、ペースのいい#24号車が追いつき、クリーンなバトルが各コーナーで繰り広げられたが追い抜くことはできず、山本が平手を制してゴールとなった。
#17 Astemo NSX-GT17は2番手に10秒以上のマージンを築き今季初勝利を手にし、ホンダ勢がワンツーフィニッシュとなった。
第7戦を終えた時点でのGT500ドライバーランキングトップは、#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代勝正/高星明誠 が58ポイントで守った。2位は#12 カルソニック IMPUL Z 平峰一貴/ベルトラン・バゲットで55.5ポイント。 今大会で優勝の#17 Astemo NSX-GT 塚越広大/松下信治 が、54ポイントで3位となった。4位も今大会で2位獲得の#100 STANLEY NSX-GT 山本尚貴/牧野任祐で41ポイント。5位は予選時のトラブルからピットスタートだったものの9位フィニッシュとなり38ポイントとなった#37 KeePer TOM’S GR Supraサッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋。6位は38ポイントで#14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也/山下健太となっており、この上位6チームが年間タイトル獲得の権利があり、11/6(日)に行われる栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われるシリーズ最終戦に臨む事となった。
GT500ポイント圏内リザルト
1位 #17 Astemo REAL RACING Astemo NSX-GT 塚越広大/松下信治
2位 #100 TEAM KUNIMITSU STANLEY NSX-GT 山本尚貴/牧野任祐
3位 #24 KONDO RACING リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木大樹/平手晃平
4位 #14 TGR TEAM ENEOS ROOKIE ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也/山下健太
5位 #19 TGR TEAM WedsSport BANDOH WedsSport ADVAN GR Supra 国本雄資/阪口晴南
6位 #12 TEAM IMPUL カルソニック IMPUL Z 平峰一貴/B.バゲット
7位 #3 NDDP RACING CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代勝正/高星明誠
8位 #36 TGR TEAM au TOM’S au TOM’S GR Supra 坪井翔/G.アレジ
9位 #37 TGR TEAM KeePer TOM’S KeePer TOM’S GR Supra S.フェネストラズ/宮田莉朋
10位 #39 TGR TEAM SARD DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛/中山雄一
GT300クラスはポールスタートの#61 SUBARU BRZ R&D SPORT井口がトップをキープするも、すぐ背後にペースの良い#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT川合が迫り、数週に渡りバトルが展開されていた。GT500クラスがGT300のトップに追いつき混戦となった10周目、#52川合がGT500車両をうまく使い61号車を抜きトップに躍り出た。その後、GT500クラスが周回数の1/3を過ぎた時点で各チームがピットインをしタイヤ、ドライバー交代を行ったが大きな順位変動はなかったが、3番手には早めのピット作業を行なった#65LEON PYRAMID AMG Mercedes AMG GT3 蒲生 尚弥/ 拓朗となった。その後#52は、大きなマージンもあって終盤も安定したペースをキープし今季初のの優勝を飾った。
第7戦を終えた時点でのGT300ドライバーランキングトップは、52ポイントで#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラだ。2位は#本大会で2位獲得の#61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人/山内 英輝でわずか2.5ポイント差のランキング2位に浮上。以下#、10 TANAX GAINER GT-Rの大草りきと富田竜一郎※(今大会欠場)、#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹※/川合孝汰)、#11 GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍)、No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)までの6チームが ランキング1位の権利を残して、最終戦モビリティリゾートもてぎでタイトルを争うことになった。
GT300ポイント圏内リザルト
1位 #52 埼玉トヨペット Green Brave 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰
2位 #61 R&D SPORT SUBARU BRZ R&D SPORT 井口卓人/山内英輝
3位 #65 K2 R&D LEON RACING LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥/篠原拓朗
4位 #88 JLOC Weibo Primez ランボルギーニ GT3 小暮卓史/元嶋佑弥
5位 #56 KONDO RACING リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 藤波清斗/J-P.デ・オリベイラ
6位 #4 GOODSMILE RACING & TeamUKYO グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口信輝/片岡龍也
7位 #10 GAINER TANAX GAINER GT-R 大草りき/塩津佑介
8位 #96 K-tunes Racing K-tunes RC F GT3 新田守男/高木真一
9位 #20 SHADE RACING シェイドレーシング GR86 GT 平中克幸/清水英志郎
10位 #244 Max Racing HACHI-ICHI GR Supra GT 佐藤公哉/三宅淳詞
いよいよ今シーズンも11/5,6に栃木県のモビリティーリゾートもてぎで行われる最終戦を残すのみとなった。各車のサクセスウエイトもなくなり上位6チームは熾烈なレース展開を繰り広げるだろう。ガチンコ勝負となる最終戦は、感動のフィナーレとなることは間違いない。是非ともこの素晴らしいレースに足を運んで生のバトルの迫力を楽しんで頂きたい。
Photo/text:Hisao.sakakibara
【筆者の紹介】
Hisao sakakibara
モータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。