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 SNSを駆け巡ったGR86の生産終了という情報。ベストカーWebでは独自の販売店取材などを敢行してきたが、事実として判明したことは2022年9月時点で受注を停止しているということ。

 つまりディラーに行っても現状はGR86を購入することができないのだ。当初はそれに尾ひれがついて「生産終了」という話題がSNSに広まったのかと思われた。編集部ではトヨタ広報部に質問を申し入れていたところ、正式な回答を得ることができた。

 今回はその回答をもとに深読みしていこう。

文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA

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■受注ストップをしていることは確かな事実

GR86はサーキットが似合う。ロードカーとしての性能も高く多くのファンに愛されている

 SNSで広まった「GR86の2023年生産終了説」。一般的に2021年に発売された新規車種が2年もせず消滅するとは考えにくい。開発コストなどを考えれば「元を取る」こともできず大赤字で生産終了になってしまう。

 また86というトヨタの思い入れの強い車種が公式に最終仕様車などを設けずにそのままフェードアウトというのも、一般的な自動車のモデルライフを考慮した場合はかなり不自然にも思える。

 ベストカーWebでは独自の販売店取材などで「2022年9月末時点での受注停止」という情報は得たものの、生産終了については販売店などにその情報はなく、「生産終了はしないと思われる」という記事を掲載していた。

 当然ながらトヨタ広報部へも確認をしていたのだが、トヨタ社内でも入念な調査が行われていたようで結果がわかるまでに数日の時間を要した。

■トヨタは生産終了を「否定」はしなかった

スポーツカーらしい内装だが、実用性も充分。シートも実はかなりの名作だ

 トヨタ広報部(正確にはGR広報部)からの返答はふたつあった。まず受注の現状について。

「全世界的な半導体不足による生産影響により、商品改良時期までに現行車両の納車が間に合わない可能性があるため、アルファード、ヴェルファイア、RAV4、GRヤリス同様に全社の販売店に対して店舗ごとの受注可能台数を提示させていただいている状況です」。

 消費者や販売店からすれば大きな打撃になるが、トヨタにしてもクルマが販売できなければ収益も下がってしまうわけで、苦渋の決断なのは間違いない(1日も早く納車問題が解決するのを祈るしかない)。

 ふたつめの回答は2023年6月生産終了という話題について。こちらについては「将来の商品計画にかかわるため回答を控えさせていただきたい」とのこと。

 前者の回答については「改良時期に間に合わないから受注停止」とのことだが、後者の回答では「生産終了の予定はない」という回答を避けている。こうなると今後の展開は複数の選択肢が挙がってくる。

■大幅改良か、それともGR86消滅か

スバルのエンジンを使用するGR86。スバルとの協業があってこそのモデルだが……

 まずは大幅改良だ。GR86はこれまでも改良が実施され現在「B型」と呼ばれるモデルが販売されていた。このあたりは兄弟車スバルBRZのフィロソフィーを継承しているともいえる。

 つまりGR86は徐々に進化や熟成を遂げるスポーツカーであり、当然ながらA型→B型の切り替え時にも受注停止は発生していた。こう考えると今回の騒動は、C型の登場を前に受注数と生産数の兼ね合いで「現行のB型の受注を止めた」と見る向きが自然だろう。

 いっぽうで少し残念なシナリオも考える必要がある。それが2023年での生産終了だ。通常であれば明言せずとも「生産終了の予定は”現段階では”ありません」など、少しフンワリした回答になるのだが、今回は回答できないとのことだった。

 肯定もしていないが否定もしていない状況だからどのようになるかは分からない。ただトヨタはGR86をはじめ、純内燃機関のスポーツモデルを出すためにもさまざまな規制をクリアすべくこれまで努力をしてきた会社だ。

 わずか2年足らずでGR86がなくなるとは考えにくいし、そしてそうなると考えたくないのがファンの本音だろう。

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