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Image:mundissima/Shutterstock.com

今年6月、欧州連合(EU)が2024年秋までにスマートフォンやノートPC等の家電製品について、充電機器の規格をUSB-Cに統一することで合意に達していた。この通称「USB-C統一法」の成立には欧州議会の承認が必要だが、可決は間違いないとみられていた。

そして10月4日(現地時間)、欧州議会で圧倒的多数により正式に可決された。2024年秋までにスマートフォンやタブレット、カメラ等で充電端子としてUSB-C搭載を義務づけられ、2026年春にはノートPCにも拡大される。つまり、今後のiPhoneもLightning端子からUSB-C端子への移行が迫られる見通しだ。

この法律の主な目的は、消費者がスマートフォンなど新型の電化製品を買った際に、過去の充電器やケーブルを捨てるために生じる産業廃棄物を減らすことである。

当初EUで議論が起こった際は、様々な制約あるmicroUSBが一般的だったために動きが鈍かった。だが、最近AndroidスマートフォンでUSB-Cポートが普及してきたことから加速し、2020年1月には欧州議会で議論が本格化していた次第だ。

このUSB-C統一法の影響を最も受けるのは、今なお、iPhoneに独自規格のLightningを採用し続けるアップルだ。同社はEUでの動きに対して「技術革新を抑制する」として反対声明を出していたが、結局はブレーキが掛けられなかった。

とはいえ、アップルは早くから対応の準備を始めていたと思われる。同社がUSB-Cを採用したのは2015年の12インチMacBookまで遡る。その翌年にはMacBook Pro、さらにiPad Proにも採用され、最近ではiPad AirやiPad miniもUSB-C端子が実装されている。

そして主力製品のiPhoneについても、2023年の「iPhone 15 Pro(仮)」では、USB-C搭載がほぼ確実視されている。それは有名アナリストのMing-Chi Kuo氏や、アップルの社内事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者も述べていることだ

たとえEUの法律がなくとも、アップルはiPhoneを(転送速度の速い)USB-Cに移行する必要に迫られていたとの指摘もある。最新のiPhone 14 Proも依然としてLightning端子のままだが、その転送速度も従来通りUSB 2.0相当の最大480Mbpsのままであり、サイズが大きくなりがちな48MPのProRAW写真をMac等に転送する上でボトルネックとなりやすい。

おそらく、iPhone 15 Pro(および大型の「iPhone 15 Ultra」)はUSB-Cを採用するだろう。だが標準モデルはProモデルとの差別化、さらにはMFiプログラムによりサードパーティ企業から入るライセンス収入のために、Lightningが続投する可能性もありそうだ。