鳥取県が2025年度に開設する県立美術館の「目玉」として、約3億円をかけて、アメリカのポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルの作品「ブリロの箱」を購入したことがネットで物議を醸し、全国区の注目を集めている。
【賛否両論】鳥取県が3億円で購入、アンディ・ウォーホル作品に波紋https://t.co/9J3CSmQfGv
米国のたわしの包装箱を模倣した1964年の作品「ブリロの箱」5点を購入。2025年にオープンする県立美術館の目玉として期待が寄せられる一方、疑問の声も相次ぎ、県は急きょ住民説明会を開催する事態に。 pic.twitter.com/vtg6Trns1r
— ライブドアニュース (@livedoornews) October 27, 2022
“3億円の箱”は鳥取ローカルでは既に問題になっており、県議会や教育委員会内でも疑問の声が噴出。平井伸治知事は10月27日の定例記者会見で、専門家が購入を検討した経緯を振り返り「何か非常に思い込みだとか、すごくねじまがった議論ではなかった」と強調。シャガールやルノワールなどの著名な作品を観たいとの要望は想定されるものの、「何十億(円)、何百億(円)になりますと。とてもちょっと今の財布では」と述べ、価格面が“リーズナブル”であることも考慮した様子だ。
そして県は今月3日、米子市内で住民説明会を開催。地元のテレビ局、山陰放送(TBS系列)によると、「ポップアートとか意味すら分からない人が大多数。投資目的で買われたのであれば大きな間違いだと思います」と批判的な意見から、「知見のある専門家の方々にお任せするのが良いと思うので、今回の事がなぜこんな大騒動になっているのかさっぱり分かりません」と理解を示す人もいるなど賛否が分かれた。
しかし、コトは全国的にも注目を集めつつある。山陰放送の記事が同日夜、ヤフーニュースに配信されると、コメント欄は瞬く間に炎上。
3億円を贅沢に使ってただの箱を買う大量消費主義という意味では、この作品の意味を正しく表現していると言えそうです。
これだけ高額かつ「箱」という見た目であればある程度県民や周囲のコンセンサスを得るべきとは考えなかったのだろうか
批判的な書き込みが相次ぎ、24時間で3000を超えるコメントが並んだ。 ヤフーの記事はツイッターにも飛び火し、4日には「3億円の箱」がトレンド入りしたが、減税派も呆れる展開に。ただ、一味違うのは鳥取の財政規模の「身の丈」を超えた買い物をしているのではないかという疑問だ。
減税派と見られるある女性は「県の買い物って言っても鳥取なんて自主財源少ないし交付税だよね」と指摘。「美術館だから展示物は必要とは思うけど、税収もどんどん減るし東京の美術館ほど入場料収入もないから常設展示物を購入する必要はないと思うな」との持論を述べていた。
鳥取県の人口は54万人と47都道府県で最小。地方税による自主財源は20年度決算では17.4%で、これは全国平均の33.2%を下回って42位。国から配られる地方交付税を除く自主財源比率のランキングでは例年40位以下が続く。
他方、東京都からは、国による偏在是正措置で法人事業税と法人住民税が過去10数年で3兆円規模が地方に流出してきた。都民としては「仕送り」として召し上げられた莫大な税金が、地方で無駄遣いされる構造を見せつけられてはたまったものではない。
減税派の旗振り役で知られる渡瀬裕哉氏は「アンディー・ウォーホルの箱に3億円かける県庁が存在していることが、鳥取の主な衰退原因の一つであることはほぼ間違いない」と述べ、自治体の経営感覚がマヒしている可能性を指摘していた。
アンディー・ウォーホルの箱に3億円かける県庁が存在していることが、鳥取の主な衰退原因の一つであることはほぼ間違いない。
— ワタセユウヤ (@yuyawatase) November 4, 2022