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米電気自動車大手・テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、ツイッター社の買収を再提案したことが分かった。ツイッター社が4日、マスク氏側から当初の予定通り、440億ドル(約6兆3000億円)で買収するとの申し出があったと発表した。

改めてツイッター社買収に意欲を示したイーロン・マスク氏(写真:ZUMA Press/アフロ)

4月下旬には買収合意も撤回

マスク氏のツイッター社買収を巡っては、今年春先から二転三転していた。今年3月下旬、マスク氏は自身のツイッターアカウントで、「言論の自由は、民主主義が機能するために不可欠だ。ツイッター社はこの原則を厳守していると思うか?」とツイッターユーザーに尋ねるなど、SNSで年々強まる言論規制に対抗する姿勢を明確化していた。

同時に、ツイッター社の買収を進め、4月上旬には同社の筆頭株主になったことが明らかになった。当初は、取締役として経営に参画するものとみられていたが、現経営陣と経営方針が折り合わず、買収をさらに進めていた。

そして今年4月下旬、マスク氏は総額440億ドルでツイッター社を買収することをツイッター社と同意したと発表していたが、7月には一方的に買収計画を撤回。マスク氏は、偽アカウントやスパムアカウントを評価するために必要なデータを、同社から得られなかったことが買収撤回の理由と金融当局に説明していた。

その後、ツイッター社は合意の通りに買収を実行するよう求める訴えを起こした。ブルームバーグによると、マスク氏と弁護団は裁判で勝てる可能性が極めて低いことから、今回の方針転換となったという。

マスク氏、新アプリ開発示唆

発表を受けて5日、マスク氏はツイッターを更新。買収について直接的なコメントはなかったが、「ツイッターの買収は、何でもありのアプリ『X』を作るための加速装置」「ツイッターはおそらくXを3年から5年加速させる。ただ、私の予想が外れる可能性もある」とツイートし、買収を機に新たなアプリの開発を示唆していた。

また、マスク氏のツイッター社買収の報道を受け、ツイッター社の株価は急騰。前日終値で42.54ドルだったツイッター社の株価は5日、一時、前日比+22.24%の52.02ドルに値上がりした。

この株価急騰で莫大な利益を得た人も出た。物言う株主として知られる、カール・アイカーン氏だ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、アイカーン氏は過去数カ月に1株あたり30ドル半ばで計5億ドルあまりのツイッター社株を購入していた。報道によると、同氏の投資会社「アイカーン・エンタープライゼズ」の推定利益は2億5000万ドル(約360億円)を超える可能性があるという。

過去にもツイッターなどで唐突に発表した計画を後から撤回するという騒動をたびたび起こしてきたマスク氏だが、今回は本当にツイッター社買収となるか。しばらくは、ツイッターユーザーはもちろん、投資家もマスク氏の言動から目が離せそうにないだろう。