ロシア政府の広範な軍事動員は、異例の全国規模での抗議活動や国境に向かう大規模な逃避を引き起こし、戦闘を望まない何十万人もの人々が国外に脱出している。8年前まではウクライナ国民だった人々をロシア政府が動員しようとしているクリミアほど、状況が切迫している場所はない。
先週強行された、仕組まれた「住民投票」によって、ロシアがさらにウクライナの4つの州に対する支配権を正式に主張したことで、こうした動きがさらに広がる可能性が大きい。ロシア軍は2014年にウクライナ東部ドネツク州とルガンスク州の一部を占領しており、ロシア政府は兵力不足を補うために既に両州の住民に大きく依存している。
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独立系人権団体「クリミアSOS」が現地コミュニティーの指導者らから集めたデータによると、クリミア半島から徴兵された徴集兵はクリミア・タタール人が半分以上を占め、その割合は恐らく最大90%に達している。タタール人は同半島の人口のわずか13%にすぎない。ウクライナの首都キーウ(キエフ)に拠点を置く同団体によると、ある地区では、28件の召集令状のうち27件が人口比で40%に満たないクリミア・タタール人に送られたという。
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2014年のロシアによるクリミア半島併合に強く反対を唱えて以降、クリミア・タタール人は厳しい弾圧にさらされてきた。タタール人グループのリーダーらによれば、タタール人の男性は現在、戦闘に加わるか、あるいは歴史的な父祖の地を恐らく永遠に放棄するかの選択を迫られている。クリミアにおいてタタール人の存在と固有のアイデンティティーは、ロシアを支配していた帝国により、しばしば脅かされてきた。
ソ連時代の元政治犯で、長年のクリミア・タタール人指導者である元ウクライナ国会議員、ムスタファ・ジェミレフ氏は、ロシア政府がタタール人を部分動員令の標的にすることで、若く身体の丈夫なタタール人男性を死に追いやるか、あるいは怯えさせて海外への脱出を促し、同国政府に反抗的な人間の数を減らすと同時に戦争の兵員を手当てすることを狙っていると指摘した。
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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9月27日、クリミア・タタール人が動員されている率が不釣り合いなほどに高いことについて、クリミアの先住民族に対する「明白なジェノサイド(集団殺害)政策だ」とロシア政府を非難した。同氏はロシア国内の少数民族の動員率も不釣り合いなほど高いとし、こうした人々に対しロシアの支配者に抵抗するよう呼び掛けた。
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苦難の道を歩んできた25万~50万人を数えるエスニック・グループであるクリミア・タタール人にとって、プーチン氏の部分動員令は新たな困難を強いるものとなっている。クリミア・タタール人は1944年、スターリンからナチス・ドイツに協力したと非難され、故郷の地から強制追放された。彼らは1980年代に故郷に戻り始めたが、自分たちの住居は大半が他の者に占拠されていた。
ジェミレフ氏のリーダーシップの下、彼らはクリミア半島内で最も活動的で最も組織化された政治グループの1つになった。彼らは2014年にロシアがクリミアを併合した際に抗議したが、クリミア半島を奪取するロシア軍の攻勢を防ごうとする試みは、ほとんど効果がなかった。
それ以来、クリミアのタタール人らは、最も忠実なウクライナ支持者に加わった。彼らは、ロシア政府ではなく、ウクライナ政府による統治を望んでいる。クリミアの地元当局は彼らに対し、家宅捜索、でっち上げのテロ容疑による何十人もの訴追、指導者の国外追放などの弾圧を行った。
ジェミレフ氏は、2014年にロシアへの入国を禁止された。彼はインタビューの中で、現在進められているロシア軍への動員は、80年前のクリミアでの民族浄化を思い起こさせると述べている。
クリミア各地の公設市場や検問所、さらには学校・病院でも、タタール人らに召集令状が手渡されている。モスクでの金曜礼拝の際に令状を渡されたケースもある。クリミアSOSのアナリスト、エフゲニー・エロシェンコ氏によれば、緊急救助を求めた人々にさえ令状が渡されたという。(以下ソース)
2022年10月4日 12:08JST
https://jp.wsj.com/articles/crimean-tatar-minority-is-in-crosshairs-of-putins-draft-11664852827
引用元: ・【ロシア】クリミアのタタール人、プーチン氏の徴兵標的に…かつてスターリンに追放されたイスラム系少数民族、多くが招集され戦場へ [樽悶★]
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