先日、オーストラリアの特許庁から出てきた1台のデザイン。スモールSUVを予感させ、次期C-HRではないかという声も挙がっている。
スポーツSUVという個性的な立ち位置ながら、多くの支持を集めたC-HR。今は後発のSUVたちに人気を譲っているが、今後の展開はいかに。C-HRの今と、最新情報をまとめていく。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
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■売れなくなった? スポーツSUV C-HRの今
乗用車ブランド通称名順位によると、2022年上半期におけるC-HRの販売台数は7,043台、前年比64.7%で38位につけている。かつてSUVの販売台数を争ったヴェゼルは12位、販売台数では3倍以上の差を付けられているというのが、C-HRの現状だ。
少なくとも2019年までは、年間5万台を超える勢いで売れていたC-HR。この勢いが急激に衰えたのが2020年の事だ。
ライズに続いてヤリスクロスが登場したこの年、室内が広く機能的なコンパクトSUVが大挙として押し寄せ、スポーツSUVのC-HRは影をひそめる。かつてスポーティセダンからミニバンへと売れ筋のクルマが変わったのと同じように、SUVの売れ筋も変化してしまった。
C-HRは、カッコよく走りは良いが、お世辞にも使いやすい(機能的)とは言いにくい。完成されたコンパクトSUVが少なかったデビュー当時は、脚光を浴びたが、その後に起こるニーズの変化には対応しなかった。
ここで大事なのは、対応できなかったわけではなく「しなかった」という事実。C-HRという存在は、単なるSUVではなく、トヨタのスポーツスピリッツを代表するものなのだ。やすやすと、普通のクルマに変えることは許されない。
■次世代のカタチが見えた! 今とこれからの違い
個性的なSUVとして考えると、売れ行きが極めて悪いというわけではない。個性の強さで行けば、日産 リーフやマツダ ロードスターなどと、肩を並べてもいいクルマだと思う。
リーフと言えば電気自動車、ロードスターはライトウェイトのオープンスポーツなど、C-HRとはこういうクルマだというキャラクターを、もっと強くつけたほうが、存在価値が大きくなる。新型は、現行型よりも尖がったクルマになってほしい。
オーストラリア特許庁から出てきた画像を見ると、ラジエーターグリルを備えているように見え、BEV専用車ではなさそうな雰囲気。元来通りにガソリンとHEVの二刀流で再起をかけるのだろう。
C-HRは、トヨタディーラーでも扱いが難しいクルマになってきた。車格の割に価格が高く、販売は難儀だ。その割にスペシャリティ感も少なく、推せるポイントが少ない。
販売現場でも「ノーマルのC-HRより、GR SPORTの方が興味を引く。GRシリーズの86、スープラ、ヤリスのように、スポーツラインナップとして存在する方が、扱いやすそうだ。今のままでは、個性が埋もれ、見向きもされないクルマになってしまうだろう。」と、C-HRを心配する声も多い。
スタイルの見えたC-HR、あとは中身がどうなるか。クラウンクロスオーバーRSを小さくしたような、個性あふれるクルマに仕上がるのを期待したい。
■登場は2023年? 次世代C-HRの最新情報
2022年9月現在で、C-HRの新車納期は6か月~7か月程度だ。この時点でオーダーストップという話は入っていないため、2023年3月までは現行型を続けて販売する可能性が高い。
昨今のトヨタは、生産調整に苦労しており、モデルチェンジのタイミングでは、生産ラインに余裕をもって改良を進めるため、早めにオーダーストップをかける傾向が強い。仮に来年春にC-HRがモデルチェンジをするのであれば、既にオーダーストップがかけられていてもおかしくはないだろう。
正確な情報はまだないが、C-HRのモデルチェンジ時期は、オーダーストップから半年後と考えるのが適当である。2023年初頭には、当年に改良されるモデルがあらかた判明するため、改めて年明けにC-HRの名前があるのかを確認したいところだ。
直近の8月29日に、特別仕様車「Mode-Nero Safety Plus III」を発売し、改良を加えた形のC-HR、本格的な改良が加えられるのは、約1年後の来年9月頃になるだろうか。
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走行性能に大きく振ったSUVという、世界的に見ても希少な存在となるC-HR。その存在は、86やスープラ、ランクルのように大切に扱っていきたいところ。初代は世界戦略車としての役割も十分に果たし、トヨタの孝行息子だったようにも思う。
不人気だと切り捨ててしまうのは簡単だが、C-HRはトヨタにとって強い思い入れがあるクルマでもある。モデルライフは2022年の12月で丸6年を迎える所だ。トヨタの長寿モデルは2023年中のテコ入れを待っている。
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