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 ドイツ・ハノーバーで9月20日~25日にわたり開催された「IAAトランスポーテーション2022」は、それまでの商用車トレードショーから、将来のトラック輸送を各社が提案するイベントへと趣旨を変えたものだ。そのトレンドを現地取材から紹介する。

 毎回大規模な出展を行なっている欧州の大手トラックメーカー5社の第2回目は、MANトラック&バスとスカニアをお送りする。両社ともTRATONグループを構成するが、前者はEVとディーゼル車、後者はEVとバイオ燃料車という特徴を見せている。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部


MAN/長距離大型EVトラック以外はディーゼル車メイン

MANの次世代大型EVトラックとして発表された「eトラック」

 TRATONグループのMAN(本来はエムエーエヌだがマンとも呼ばれる)は、2024年に導入予定の長距離大型EVトラック「eトラック」プロトタイプを公開した。意外なことに、それ以外の大型・中型トラックはディーゼル車で、電動車は、小型商用車「TGE」のEVバージョン「eTGE」のみだった。

 eトラックは、「TGX」4×2セミトラクタをベースに、将来の長距離トラック輸送のエミッションフリー化をプロトタイプで、メガワット充電設備に対応し、航続距離600~800km、さらに1000kmを目指している。モーターは出力407~475psで、ドライブラインに4段ギアボックスを備えるという点も興味深い。

 eトラックの航続性能は、現在少量生産中の大型EVトラック「eTGM」の3~4倍となる。eトラックは長距離輸送に限らず、温度管理配送や建設、ごみ収集などさまざまな用途にも展開するとしており、eTGM後継を含めてMANの本命EVトラックとなるのは間違いないだろう。

 一方でディーゼルエンジンの改良もしっかり進めており、今回発表された12.4リッター直6エンジン「D26(D2676LF)」は、最高出力がプラス10馬力・最大トルクもプラス50Nmとしながら、燃費を3%も改善させたという。

改良された12.4リッター直6エンジン・D2676LFを搭載した「TGX 18.520」。最高出力520ps・最大トルク2650Nmを発生し、Euro-6e排ガス規制に適合する

 小型EV商用車「eTGE」は、4年前の前回IAAでデビューしたモデルで、フォルクスワーゲンの小型EV商用車「eクラフター」のMANブランド車である。

スカニア/EVトラックとバイオガスエンジン

スカニア「Rシリーズ」(高床キャブモデル)のバイオディーゼル燃料対応車。21年末発表の新世代DOHCエンジンを搭載するもので、今回発表のオットーサイクル・バイオガスエンジンとは異なる

 同じくTRATONグループのスカニアは、屋内外および試乗用に計14台を出品したうち、5台が大型EVトラック、1台が大型EVバス、さらに1台が大型プラグインハイブリッドトラックで、半数が電動車だった。また、新型バイオガス燃料エンジンも発表するなど、独自のカーボンニュートラル路線を示す内容となった。

 メインはやはり大型EVトラックで、初公開のRシリーズ(高床キャブ車)「45R」4×2セミトラクタ、Pシリーズ(標準床キャブ車)「25P」6×24スワップボディキャリア、Lシリーズ(低床キャブ車)「25L」6×24塵芥車、屋外にPシリーズ「25P XT」4×2ダンプを展示した。もう1台はフックリフト(脱着ボディ)を架装した試乗用車である。

初公開されたスカニア「Rシリーズ」4×2セミトラクタの610馬力EVモデル「45R」

 大型EVトラクタは、Rシリーズのほか超高床キャブ車Sシリーズも設定し、出力544ps(400kW)と610ps(450kW)が選択可能。シャシーはセミトラクタとフルトラクタ(単車トラックベース)が選べる。高電圧バッテリーパックを6基搭載するタイプは容量624kWhとなり、連結総重量(GCW)40トンのセミトレーラで航続距離350km、また特に北欧で普及しているGCW64トンのノルディック型フルトレーラ(フルトラクタ+コンバータドーリ+セミトレーラ)で航続距離250kmを確保するという。

 新たに発表されたガスエンジンは、バイオメタノール・ガス燃料を用いることでCO2排出量を90%も削減可能とした内燃エンジンだ。従来のオットーサイクル・12.7リッター直6エンジンを改良したもので、出力は420psまたは460psの高馬力を発生し、かつ液化バイオメタノールガス燃料(LBG)を使用すれば、GCW40トンのセミトレーラでも航続距離1400kmを実現できるとしている。

 なお、MANとスカニアはブースが隣接しているが、前回と異なってTRATON色は出しておらず、グループのVWカミノス・エ・オニブスも出展していない。

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