いすゞ自動車のクラウド型運行管理システム「MIMAMORI(みまもり)」がこのほどフルモデルチェンジされた。
10月4日にリリースされた大型トラック「ギガ」2022年型と同時に発表されたものだが、「MIMAMORI」では、なにが新しくなっているのだろうか。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/いすゞ自動車、「フルロード」編集部
新MIMAMORIの革新性
トラックの運行管理システム(FMS:フリートマネジメントシステム)というのは、運行中の車両の現在位置情報や燃費、ドライバーの運転操作の状況(例:急ブレーキなど)、道路情報などを、運行管理者がリアルタイムでモニタリングできるもので、日報のような書類作成や、CO2排出量、運行経費などのデータ集計も簡単に行なえることから、物流業界でさまざまなFMSが導入されてきた。
その中でも「MIMAMORI」は、いすゞ、富士通とその関連会社・トランストロンの三社が共同開発したFMSで、初代の「みまもりくんオンラインサービス」以来、約20年におよぶ実績とアップデートを重ねてきた。そして、今回の「MIMAMORI」のフルモデルチェンジでは、三社が新たに構築した商用車情報基盤「GATEX(ゲーテックス)」を利用することが、最大の特徴となっている。
GATEXは、FMSや車両の稼働支援サービスの提供を目的に構築された情報基盤だが、荷主・運送事業者・倉庫事業者が使用している基幹システム(企業経営における中核的な業務システム)をはじめ、さまざまなシステムとのデータ連携を前提に構築されている。FMS、稼働支援サービスを外部システムと連携させることで、トラック物流のデジタライゼーション(DX)を進めていくことができるのだ。その点で非常に画期的といえるだろう。
新機能も追加
FMSとして、いくつかの新機能も実装されている。その一つが、ドライバーと運行管理者を対象とした「商用車ナビ」で、運行管理者が送信した運行指示書から、自動でナビにルートと行き先を反映する機能をもつ。停車してのナビ操作が不要で、スムーズに目的地へ案内できるため、CO2排出量を抑えた効率運行が可能となる。
また、「動画ドラレコ」では、運行車両に装着したカメラ(最大6基)のデジタル映像を、事業所からリアルタイムで取得・再生が可能である。これを効果的な安全運転教育に活用することもできる。
運転日報の自動作成機能では、ユーザーのニーズに合った帳票レイアウトが作成可能となり、その組み合わせは約10万通りになるという。自動印刷も可能である。
2024年4月からスタートするドライバー労働時間規制に対しては、労務管理帳票の管理・集計の自動化機能を実装、労務管理の効率化をサポートする。
インターフェースのデザインも一新
GATEXは、新「MIMAMORI」と、いすゞの稼働支援サービス「PREISM(プレイズム)」のほか、富士通・トランストロンの汎用FMS「ITPウェブサービス」も利用している。そのため「MIMAMORI」「PREISM」と「ITPウェブサービス」は相互連携が可能で、同一の画面上で車両管理も行なえる。
また、新「MIMAMORI」は、ITPウェブサービスをベースに、従来「MIMAMORI」に実装されていた機能(ジオフェンス機能、DPD/DTC表示機能、エコドライブトレーニング機能、省燃費レポート機能など)を独自に追加した面もあり、操作性やデザインなどのインターフェースは、ほぼ共通となっている。
併せて「PREISM」の専用ウェブ画面が一新され、PREISM搭載の全保有車両のコンディションをリアルタイムで確認可能となり、車検や定期点検のタイミングも一覧表示できる。
3タイプのMIMAMORI
新「MIMAMORI」は、ベーシックなスタンダードサービス(有償)を基本に、動画ドラレコサービス、動画ドラレコ+商用車ナビサービスを追加オプションとして設定する。
また、対応車種は、「2022年型ギガ」、「いすゞPEISM対応モデル」、「PREISM非対応モデルおよび他社製トラック・バス」の3種に分けられる。
22年型ギガでは、サービス加入で、標準装備のタッチパネル式7インチ・センターディスプレイにバージョンアップパックを組み合わせることで、「MIMAMORI」に対応できる。追加オプション選択時は、別体のアップグレードデバイスを装着する。
「いすゞPEISM対応モデル」と「PREISM非対応モデルおよび他社製トラック・バス」は、MIMAMORI専用端末として、タッチパネルディスプレイを備えた「汎用型MIMAMORI」を装着する。ただし、「PREISM非対応モデルおよび他社製トラック・バス」は、稼働支援サービスの対象外である。
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