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車中泊ブームで引っ張りだこのハイゼットにエブリイ!! でも何でオラオラ顔ないの?

 商用バンの新顔スペーシアベースは、まさかのド派手フェイスで登場。でもよくよく考えてみると、この手の商用バンにギラギラ顔のモデルは今までなかったのだ。

 スズキ エブリイにダイハツ ハイゼットなど数十年に渡り販売されているモデルは軒並み、大人しい顔。まあ仕事の道具として使用するのが大半のため、べつにそこにお金を掛けなくても……という意見も多いハズ。

 でも今や車中泊ブームのおかげで軽バンは超人気カテゴリになりつつある。今後エブリイなど軽バンの老舗たちもオラオラ顔になる可能性はあるのか?

文/小鮒康一、写真/DAIHATSU、SUZUKI

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■さすがスズキはコストの鬼!! スペーシアベースの顔も既存品を流用するも新鮮さがスゴい

2022年8月、スペーシアシリーズに新たに加わったスズキ スペーシアベース

 2022年8月にスペーシアシリーズに新たに追加された新顔のスペーシアベース。これはシリーズ初の商用車であり、フロントシート以後は荷室と割り切って、ビジネスユースはもちろんのこと車中泊やアウトドアアクティビティのお供にも使ってもらえるようにとアレンジ可能なマルチボードを備えた新機軸の1台だ。

 エクステリアには商用車にありがちな大人しい顔ではなく、なんといわゆるオラオラ系の迫力あるものを採用している点も新しい。

 開発陣によると、当初は標準系の顔やスペーシアギアのような丸目フェイスも検討したが、最終的にこのブラックアウトされたオラオラ系の顔が最もコンセプトにマッチしていたため、採用になったとのこと。

 ちなみにこのスペーシアベースのフロントマスクは、2021年12月に登場した通称3型以前のカスタムに採用されていたものがベースとなっており、それをブラックアウトすることでコストを抑えながらも新たな印象を与えるフロントマスクを実現している。

 販売店によるとスペーシアベースへの反響は上々とのことで、特にレジャーユースで使用することを検討している個人ユーザーが中心となっているようだ。

 車中泊やアウトドアレジャーがブームとなっている現在、そこにうまくマッチしたとも言えるスペーシアベースであるが、それならスペーシアベース登場以前からもレジャーユースとしても人気の高いエブリイなどのワンボックスバンもオラオラ系の顔にしたらより人気が出るのでは? と思ってしまうのも仕方ないところだ。

■軽バンカスタム市場が激アツ!! アゲ系が超絶ヒット

 比較的安価な価格とアレンジしがいのあるスクエアな荷室スペースを備えることで、自分だけの秘密基地感覚でカスタマイズを施し、アウトドアレジャーのお供に活用している人も多い軽ワンボックスバン。

 最近では“アゲ系”が流行ってきており、サスペンションに手を加えて車高をアップさせ、大径のオフロードタイヤを装着したワイルドな姿となった軽ワンボックスバンを見る機会も増えてきた。

 アフターパーツメーカーからも豊富にカスタマイズパーツがリリースされており、より複雑な形状とした乗用車的なエアロパーツや、LED化が可能な灯火類など、クルマを彩るさまざまなものが存在している。

■商用バン全車オラオラ顔計画はダメ!! 法人ユーザーの数がハンパないのだ

エブリイの商用モデルは乗用モデルに比べておよそ4倍ほどの台数が販売されている。乗用利用での人気が上昇しているとはいえ、販売の主軸は商用利用にある

 それならいっそ、メーカーも軽ワンボックスバンをもっとオラオラ系の顔にしてしまえばもっと売れるのではないか、と思ってしまうが、実はそうもいかない理由がある。

 というのも、いくら軽ワンボックスバンが一般ユーザーのレジャーのお供として人気であるとはいえ、その販売台数の根底を支えているのは本当にビジネスユースで購入している法人ユーザーがほとんど。

 実際、2022年4月から9月までの上半期の販売台数を見ても、乗用モデルのエブリイワゴンが7500台ほどであるのに対し、商用モデルのエブリイバンはおよそ2万8000台と4倍もの差が存在しているのである。

 もちろんワゴンユーザーが全員個人であるわけでも、バンユーザーが全員法人であるわけでもないが、働くクルマとして購入されるケースの方が圧倒的に多いというのはこの数字からも察しがつくだろう。

 となると、ビジネスユースが主となる軽ワンボックスバンをオラオラ系の顔にしても、魅力を感じてくれる個人ユーザーよりも、その顔を敬遠して離れてしまうビジネスユーザーの方が多くなってしまうのでは本末転倒ということになる。

 逆に言えば大人しい顔のエブリイが存在しているからこそ、後から追加販売となったスペーシアベースでは思い切ったオラオラ系の顔を採用することができたとも言え、豊富なラインナップがあるからこその棲み分けをえすることが可能となったとも言えそうだ。

 逆にダイハツは大人し系フェイスを持ったハイゼットカーゴと、押し出しの強い顔を持ったアトレーバンという風にどちらも商用モデルでありながら差別化を図っている。

 オートサロンなどではさらにオラオラ系の顔を備えたコンセプトモデルを参考出品するなど、異なるアプローチで軽ワンボックスバン需要を探っているのも面白いところ。

 ダイハツと言えば、スペーシアベースと同じく乗用車であるウェイクをベースにした商用モデルをリリースした先駆者であるが、さらに大人しい顔かつ、リアシートが備わらない2シーターとしたことで販売面で大苦戦した経験があるだけに、こちらの次の一手にも期待したい。

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