ライトウェイトスポーツの代名詞ともいえるロータスが、電動SUV「エレトレ」の詳細を発表した。ロータスにはすでに「エヴァイヤ」というEVハイパーカーが存在するが、電動SUVカテゴリーへの参入はこれが初めてとなる。「軽量の神様」ははたしてどんなクルマを作ったのか、詳細をお伝えしよう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/Lotus Cars Limited.
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全長5mを超える堂々たる電動SUV
最初に「ロータスがSUVを作る」という情報が飛び込んできたのは、2021年春のこと。この時、ロータスは「パフォーマンス・ヴィークル・アーキテクチャ」という新しいプラットフォームを発表したのだが、その中にSUVを想定した「プレミアム・アーキテクチャ」というEV車台が含まれていたためだ。
実際その噂は形となり、2022年春にはエレトレがワールドプレミアされた。とはいえそのときは価格などの詳細が明かされなかったため、この10月に改めて情報が公開されたという流れだ。
ロータスの伝統に乗っ取り「E」の頭文字で始まるエレトレだが、そのたたずまいは同社の過去には存在しなかった全長5m超の大型SUV。ちなみにロータスは2017年に中国の浙江吉利控股集団(メルセデス・ベンツの筆頭株主でありボルボの親会社)の傘下に入ったのだが、エレトレのエクステリアは、その吉利がロンドンに置いていたデザインスタジオを前身とするLTCC(ロータス・テック・クリエイティブ・センター)が手掛けたようだ。全幅も電動リバースディスプレイ付きが2135mm、通常のドアミラー付きが2231mmという堂々たるもの。ホイールベースは3019mmにもなる。
エクステリアの特徴は、あちこちに開かれた空気の通り道のような「ダクト」。フロントグリルにもボディ側面やボンネット上へと通じる穴が空いているのだが、ラジエターを持つ内燃機関車にはできない造形だ。「エヴァイヤ」にも共通するモチーフともいえるが、エアロダイナミクス的にも大きな効果を持つのだろう。いっぽうウィンドウエリアは薄く、流麗で、クーペSUV的な雰囲気に満ちている。
容姿に見合わぬ俊敏さで0-100km/hは2.95秒!
エレトレのグレードだが、「エレトレ」「エレトレS」「エレトレR」という3モデル。ベースモデルと「S」は450kW(603ps)/710Nmのモーターを積む「装備違い」なのだが、なんといっても注目はエレトレRだろう。モーターのパフォーマンスは675kW(905ps)/985Nmまで引き上げられ、0-100km加速2.95秒、最高速度265km/hを誇る。専用のトラックモードも備えており、「サーキット上等!」の走りを披露してくれるという。
次世代の運転支援やユーザーエクスペリエンスを提供することも、エレトレの自慢だ。LiDARも備える高度な自動運転システムはOTA(オンライン経由)でアップデートが可能なほか、自動車のデジタルコックピット設計を手がける「ECARX(吉利の関連企業)」が手掛けたインフォテインメントシステムを搭載する。このシステムはゲーム業界で有名な「Unreal Engine」という3D制作環境を用いており、クアルコム8155チップを2基搭載した圧倒的な処理能力を備える。センターコンソールには15インチの高精細有機ELディスプレイを横置き搭載し、ビデオゲーム機並みの表現を可能としているようだ。
現地でのエレトレの価格だが、ベースモデルで8万9500ボンド(約1500万円)、トップグレードのエレトレRは12万ポンド(約2000万円)となる。日本への導入だが、ロータスの総代理店を務めるLCI limitedによれば、導入予定はあるものの、本国でも2024年からの販売となるため具体的な検討はこれからとのこと。代わりに半導体不足などによってデリバリーが遅れていた「エミーラ」については、V6ファーストエディションが年内、直4仕様のファーストエディションについては来年夏にリリースできそうだとの情報をいただいた。
エレトレの登場により、ロータスが軟化したという向きもあるかもしれないが、ロータスは「パフォーマンス・ヴィークル・アーキテクチャ」の発表時に、「エレクトリック・スポーツカー・アーキテクチャ」というプラットフォームがそこに含まれることも発表しており、EVスポーツカーの領域でも戦う気満々だ。このプラットフォームは、同じ「軽さ」を武器としてきたライバル「アルピーヌ」も共有するとみられていて、EVの世界にあらたな地平を切り開く可能性がある。
電動化の波に洗われても、軽量スポーツカーの火を絶やしてはならないということは、かくいうロータスが一番感じているはず。エレトレはその「軽さ」を楽しむためにあえて用意された「もうひとつのロータス」なのかもしれない。
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投稿 ロータスよキミもSUVか!! ライトウェイトの雄が SUVに舵切りのなぜ は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。