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モビリティリゾートもてぎで行われた2022スーパーGT最終戦。GT500クラスは1周目からポジションの奪い合いが繰り広げられたほか、レースを通してアクシデントも多発するなど荒れた展開となった。

そんな中、ランキング首位でこの最終決戦に臨み、予選4番手からスタートしたCRAFTSPORTS MOTUL Zだったが、1周目の5コーナーでの8号車(ARTA NSX-GT)への接触によるドライブスルーペナルティが響き、念願のタイトルを手にできなかった。1周目の攻防戦について、ステアリングを握っていた千代勝正に状況を聞いた。

前日の予選では2.5ポイント差でチャンピオンを争う12号車カルソニック IMPUL Zに敗れ、悔しい表情をみせていた千代。「決勝では12号車の前に出るという仕事が残っているので、チームのみんなとともに達成したい」と語っていたのだが、その言葉通り、1周目からチャンスを探っていった。

1周目の3コーナーでWedsSport ADVAN GR Supraのインに12号車が飛び込んだが、外側に膨らんでしまい失速。それを好機と捉えた千代だが、逆に4コーナーの立ち上がりでARTA NSX-GTに並ばれてしまい、2台並んで5コーナーに進入したのだが、そこで千代がブレーキをロックさせてしまい、8号車を押してしまった。これにより8号車はスピンを喫し、最後尾まで後退。3号車はドライブスルーペナルティを受けることとなった。

「3コーナーで2台(12号車と19号車)がはらんだので、そこのインを狙って4コーナーのインに入っていったのですけど、ちょっと足りませんでした。それで4コーナーの出口で失速したところに8号車に並ばれてしまい、引くことはできなかったので、同じブレーキングポイントで(ブレーキを)踏んだのですが……イン側で少し滑ってしまったところがあって、当たってしまいました」

「向こうがスピンしなかったらペナルティにならなかったと思いますが……。勝たなきゃいけなかったし、2位はいらなかったので後悔はなかったけど、ペナルティが出たことで厳しいレースになってしまったので、チームには申し訳なかったです」

ペナルティを受けた後も、諦めずに挽回を開始した千代。その後、多重クラッシュが発生しFCY(フルコースイエロー)からセーフティカー導入となり、そこで前方とのギャップがリセット。レースが再開されると、ピットストップウィンドウが開いた22周目にピットインし、高星明誠に交代。後半では高星がAstemo NSX-GTとのバトルを制して4番手に浮上し、最後はトップ集団にも追いついたのだが、逆転には至らずチェッカーフラッグ。念願のチャンピオン獲得とはならなかった。

レース後、悔し涙を流した千代「チームも最後まで諦めないで、ベストな選択ができたと思うし、セーフティカーでギャップが詰まって、ピットのタイミングもうまくいきました。後半のミツ(高星明誠)もすごく頑張ってくれました。結果は結果なので……でも、悔しいです。また来年頑張ります」と、いつもより言葉少なめな千代。レース後には、多くの関係者から労いを受ける姿が見られた。