もっと詳しく

 ランキング3位で最終戦もてぎに臨んだ17号車Astemo NSX-GT。予選10番手でQ1敗退となってしまい、決勝での巻き返しを狙い、一時は4番手まで順位を上げたが、最後は力尽きて5位フィニッシュ。優勝を100号車STANLEY NSX-GT、カルソニック IMPUL Zにタイトルを奪われる形で今シーズンを終えることになった。レース後の塚越広大に聞いた。

「残念でしたね。今日の前半、いい展開で(松下信治が)ポジションを上げてきてくれたし、ピットアウトしてからも、前半と違うタイヤを選択して、アウトラップもそのお陰もあって3号車を抑えられた。僕のスティント前半も調子がよくて、あのままのペースで行くことができればと非常にいい感触は得ていたのですけど、やっぱりそのスティントの後半から序々にペースが上がらなくなってしまい、3号車にも抜かれてしまい、どんどん力がなくなっていってしまった。最後は本当に力が足りなかったなという感じで終わってしまいました」

 17号車Astemoは10番グリッドからスタートした松下が周囲のアクシデントに巻き込まれずに徐々に順位を上げ、実質4番手で塚越に交代。アウトラップが勝負になると読んだ17号車は、ウォームアップ性の高いタイヤを選択。塚越が見事、アウトラップで先にピットインしてタイヤが温まっていた3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zを抑え、実質の4番手を守ることができた。

 しかし、51周目、塚越はタイヤのピックアップがあったようで、3号車にオーバーテイクを許して5位でレースを終えることになった。

「燃費は全然平気だったのですけど、トータルで力不足だったなという感じがあります。今年に限っては、ポイントを獲っているレースが偏りがあるというか、得意不得意がすごくはっきりしてしまったシーズンになってしまったので、そういった意味では、タイトル争いに残れたとはいえ、弱点もあったので、そこをどこまで底上げ出来るかが勝負になってくるんじゃないかなと思います」と、塚越。

 今シーズンの17号車は鈴鹿やオートポリスなど、高速サーキットでの結果がよかった一方、岡山やこのもてぎなど、低速コーナーが多いサーキットでは苦戦を強いられている。事前のもてぎテストでも調子がよかったと聞くが、17号車の田坂泰啓エンジニアも「それはウソですよ。ウチより速いチームがありましたし、クルマが決まっていたわけではなかった」と、振り返る。

「最近のレーシングカーは生ものみたいな感じで、ちょっと条件が変わっただけで『あれ!?』となる。簡単なことが原因なのかもしれないけど、それが発見できていない」と田坂エンジニア。

 今回のもてぎでポール・トゥ・ウインを果たした100号車STANLEYとは、クルマの性格が大きく違うようだ。「低速サーキット用のセットアップのベースを見つけないといけないと、今回改めて思いました」と田坂エンジニア。

 塚越も「昨日よりはクルマは良くなっているのですけど、正直、トップ4台の実力には結果的にはちょっとついていけなかった」と、決勝でのクルマの感想を話す。

「チャンピオンを獲れなかったのは悔しいですけど、チャンピオンを決めるレースだったから悔しい気持ちは大きいのかもしれないですけど、普通のレースだったとしても、臨んでいたようなレースができなかったし、先にこっちが脱落するようなレースだったので、そういうのを含めて悔しいですね。いろいろは反省があるので、それを来季につなげたいです」

 浮き沈みの多かった17号車の2022年シーズン。来季はさらに強くなってタイトルに再び挑むに違いない。

2022年スーパーGT第8戦もてぎ決勝
10番グリッドからスタートし、25周目にピットインして4番手をキープした17号車Astemo NSX-GT