毎月足しげく新車ディーラーを回り、「生」の新車情報を届けてくれる流通ジャーナリストの遠藤徹氏。
今回はトヨタ ハリアーのオーダー再開予定時期、2023年のトヨタ車ニューモデル導入スケジュールに異変、ホンダ ステップワゴンの納期、マツダ SKYACTIV-Xエンジン生産中止の可能性、スバル 新型フォレスター登場時期……などなど、国内自動車メーカーの最新動向をお届け!!
※本稿は2022年9月のものです
文/遠藤徹、予想CG/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年10月10日号
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■トヨタハリアーは9月26日改良で「PHEV追加」
半導体の供給遅れなどによる生産の滞りにより、今夏納車待ちのオーナーすべてに「一部改良するので契約を取り直した」と連絡して騒ぎになったハリアー。今回の新型導入で新価格が公表されたが(3,128,000円~6,200,000円(PHEV6,200,000円))、一部店舗では引き続きオーダーが受けられない状況が続いている、という情報が入ってきました。
今回の一部改良によってグレードの再編などが行われ、PHEVが新設定されましたが、この改良モデルの初期の受注分はこれまで溜まっていたバックオーダーのユーザーへの納車が優先されます。
そのため今後の新たなオーダー分の受付開始は2023年春以降となり、これらの分の納車開始は2023年10月頃になるようです。つまり1年3カ月の納車待ちになります。そのいっぽうで「それでもいいから待つ」というユーザーもいるようで、ハリアーの人気の高さが伺える状況です。
■トヨタの2023年ニューモデル投入スケジュールに異変?
トヨタは今年(2022年)末から2023年にかけて、新規モデルやフル&マイナーチェンジなどのニューモデルスケジュールを組みつつありますが、半導体不足などによる生産の遅れがなかなか解消されていないことから、当初の計画からの変更を迫られそうな状況にあります。
既存のスケジュールでは、今年は年末にプリウス、2023年は5月にアルファード、夏にC-HRをそれぞれフルモデルチェンジし、クラウンの新規モデルの追加なども予定しています。
しかしこれらの登場時期は暫定扱いであり、先延ばしにする可能性もあるようです。ランドクルーザープラドは2023年夏に予定されていた世代交代が、2024年以降に延期される見込みです。
新型車はいずれも納期が長期化しており、完全な正常化にはあと2年程度かかるとの見方が強くなっています。
■トヨタで年内に納車が可能なのはルーミーと…クラウン??
トヨタの乗用車の納期は現在、ルーミー以外の大半のモデルが2023年初め以降と遅延状態になっています。ダイハツからOEM供給を受けているルーミーは2~3カ月待ちで年内納車が可能ですが、他モデルは軒並み6カ月以上の納車待ちになる…と、各店舗では案内中とのこと。
半導体不足などで生産が滞っているのが要因ですが、なかでも半導体部品の多いハイブリッドカーは、純ガソリン車よりも2カ月程度納期が長くなっています。
生産が追いつかずにオーダーストップしている車種もあります。ランドクルーザー300、アルファード、カローラクロスハイブリッド、プリウスなど。
一方で、1年以上の納車待ちになっていてもオーダーを受け付けている車種もあり、ノア/ヴォクシー、ヤリスクロスなどは納期が長いのですが、受注を続けています。
また、こうした情報があるいっぽうで、一部店舗では、一部車種の一部グレードに絞って急速に納車待ちの期間が短くなっているという現象があるようです。具体的には、新型クラウンの2.5L+モーターHV仕様と、新型シエンタの上級グレード。前者は年内、後者は2023年1月早々と、どちらも3カ月程度の納期で案内している店舗が出てきました。
これはトヨタが生産体制を「人気車の人気グレード」に絞りに絞って、集中的な体制に切り替えているから…という裏事情があると言われています。「欲しい」と思ってSNSやWebニュースで調べて絶望していた方は、一度最寄りの販売店で実際に営業マンから話を聞いてみましょう。
■次期型トヨタプリウスはPHVのエンジンが2Lに変更
トヨタは12月下旬または2023年初めにプリウスとプリウスPHEVをフルモデルチェンジしますが、ハイブリッドは従来モデルのように1.8Lベースを継続する一方で、PHEVのエンジンについては2Lに排気量アップするようです。近い将来にはハイブリッドも2L化する見通しです。
これまでプリウスはPHEVをハイブリッドとは別の車種としてカタログも分けていましたが、次期型からは1本化してデザインも集約します。グレード構成もAタイプを中心に絞る方針です。
■ホンダステップワゴンは納期がさらに延びて9カ月待ち
ホンダの販売店筋によると、5月下旬に発売した新型ステップワゴンのハイブリッド車が好調な受注を続けており、納期は8月下旬現在で2023年5月と9カ月待ちまで延びているといいます。一方、1.5Lターボ車の納期は、ハイブリッド車より2カ月早い2023年3月となっています。
なお、ステップワゴンは9月末までは特別低金利1.9%の残価設定ローンを実施しており、これが終了して金利が通常の3.9%になると、多少売れゆきが頭打ちに転じる可能性があります。
■ホンダがN-WGNを9月23日にマイナーチェンジ
ホンダは軽ハイトワゴンのN-WGNを9月23日にマイナーチェンジします。今回はフロントまわりのデザイン変更が“カスタム”を中心に行われ、車両価格は5万円程度の値上げとなります。
具体的な改良内容は、フロントグリルをより風格あるデザインへと一新。ドアハンドルやリアまわりに深みのある光沢を持つダーククロムメッキを採用します。さらにブラック塗装の15インチアルミホイールが設定されます。
室内はより質感の高い素材を使ったシートの仕様も用意します。ボディカラーは新色の3色を含む6色のラインナップとなります。
■マツダSKYACTIV-X車は生産中止の可能性?
マツダがマツダ3とCX-30に設定しているSKYACTIV-X搭載車の売れゆきが頭打ち傾向になり、今後の存在基盤が揺らぎそうな趨勢となっています。
SKYACTIV-Xは火花点火制御圧縮着火方式を採用した2Lエンジンで、マイルドハイブリッドと組み合わせることで、高性能と低燃費を高次元で両立させるのが売りです。
しかしながら価格が高いうえ、ハイオクガソリン仕様のため燃料費が高くつくのがデメリットで、両モデルとも販売構成比は全体の10%にとどまっています。
マツダ3は8月の一部改良で、ノーマルの直噴エンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせた廉価バージョンを設定して発売しています。そのため今後は販売の中心がこちらにシフトし、SKYACTIV-X搭載車の影がますます薄くなる可能性があります。
マツダ販売店筋では「近い将来、SKYACTIV-X車は生産中止に追い込まれるのではないか?」と危惧する向きが強くなっています。
■来年の秋にもスバルフォレスターはフルモデルチェンジへ
スバルは2023年秋にも主軸の上級SUVであるフォレスターをフルモデルチェンジする見通しです。次期モデルは最新型に進化させたスバルグローバルプラットフォームを採用し、キープコンセプトながら若干の上級シフトをさせてモデルチェンジします。
■スバル次期型XVは10月上旬に先行予約を受付開始
スバルは11月中旬にフルモデルチェンジする次期型XVの先行予約の受付を10月上旬に開始する方針です。次期モデルは従来モデルとほとんど同サイズで、クォリティアップを図ります。
従来は基本コンポーネンツを共用するインプレッサスポーツを先に世代交代し、数カ月遅れでXVを一新していましたが、次期モデルでは逆にXVのほうを先にフルモデルチェンジします。
これには、マーケットニーズがSUVタイプのXVのほうに移っているといった背景があるようです。なお、インプレッサスポーツの世代交代は2023年4月になる見込みです。
その次期モデルもインプレッサと基本コンポーネンツを共用しますが、パワーユニットは1.6Lが廃止になり、2Lマイルドハイブリッドのみとなる予定です。
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